公開日 2018/03/01 16:26

“部屋の形”がオーディオに重要な理由とは? アコースティックラボ「蔵前ヴィレッジ」での試聴会を密着レポート!

【特別企画】「Acoustic Audio Forum」を編集部記者が取材
編集部:小野佳希
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
オーディオファン向け物件の防音工事を多数手がけるアコースティックラボ。同社は、その豊富な経験とノウハウを元につくった“音がいい防音ショールーム”「蔵前ヴィレッジ」を会場に、オーディオ試聴会「Acoustic Audio Forum」を開催している。「オーディオルームの室内音響設計について(1)〜部屋の形状と定在波について〜」をメインテーマに据えた最新回が先日開催された。


イベントでは、オーディオにとって部屋の形がいかに重要であるかを説明。部屋もオーディオの一部であるという同社の考え方を、実例紹介や音出しデモを通じて体感できるような仕組みになっていた。

当日はステレオ再生だけでなくサラウンド音源の再生も行われた

同社の鈴木代表は「オーディオでより次元の高い再生を求めるなら、部屋の響きが重要。いくらいい機器でも、部屋がダメだと性能を充分に引き出せない」とコメント。「また、部屋の響きというと吸音材などでいかに調整するかという方向に考えがちだが、それ以前に『部屋の形』が重要だ」と説明する。

アコースティックラボ 鈴木氏

なぜ“部屋の形”が重要なのか。それは部屋の形によって定在波の分布形態が決まってしまうからだ。例えばブーミングなどは定在波の分布が偏ることが原因。部屋の形が悪いと、このようなオーディオ的な悪影響が出やすくなってしまい、しかもそれはルームチューニングアイテムなどでは根本的に解決できるものではないという。

形がいい部屋では定在波が各帯域で偏らず満遍なく存在している

そして、“部屋の形がいい”とはつまり“部屋の寸法比がいい”ということ。タテ・ヨコ・高さ(天井高)の寸法比によって、部屋の響きは大きく変わるのだ。寸法比のいい部屋では、低音の膨満感がなく音が明瞭であったり、中高音も響きが素直であったり、さらにリスニングのスイートスポットも広いなど、オーディオ的なメリットを多いのだと解説された。

望ましい寸法比、避けたほうがいい寸法比はいくつも存在している

とある参加者は、「いままであまり定在波について意識したことがなかったが、たしかに、この部屋は変な音のクセを感じることがない」とコメント。「ほどよい残響があり、音楽をより魅力的に再生できているように感じる」と、オーディオにおける部屋の重要性を認識していた様子だった。

部屋の形がよければオーディオでのメリットも大きい

一方、「ふだんから定在波に悩まされており、半ばあきらめている」という参加者も。「(定在波に偏りがない)この部屋は響きが自然で、音楽を心地よく聴ける」と、こちらも同社ショールームの音の響きに感心している様子を見せた。

悪い寸法比の部屋を改善するための方策も紹介

なお、同社“蔵前ヴィレッジ”には複数の防音室が設けられており、この日のイベントでも希望者は別の部屋でのオーディオ試聴を体験することもできた。

そちらの部屋は楽器のレコーディングスタジオなどを意識し、イベントのメイン会場となった部屋よりも響きを若干デッドにつくられている。参加者のひとりは「部屋によって音が違うことがよく分かって面白い」と興味を示し、「吸音が多いこの部屋のほうがスピーカーの音(の傾向)がよく分かる。でも自分はさっきの(メイン会場の)部屋のほうが好きかな(笑)」などと話す一幕も見られた。

一般ユーザーも利用できる音響特性測定アプリがあることなども紹介された

また、イベントではサラウンドオーディオのデモも実施。東京佼成ウインドオーケストラの『吹奏楽燦選〜ザノーニ』をデモ音源に用い、96kHz/24bitのステレオ音源と、5.0chサラウンド音源を同じ曲で聴き比べた。

一見すると間接照明のようだが実はリアスピーカーが隠されている。インテリア性を損なわずマルチチャンネル環境を構築できるという工夫だ

「サラウンドだからといってわざとらしさはあまり感じない作品ではないかと思う」と同社鈴木氏はコメント。参加者からも「音楽BD/DVDのようなわざとらしい立体感ではないので、これはこれでありだと思う」「この音源ではそれほど極端な違いは出なかったが、サラウンド音源は音の響きの消え方が特徴的だと感じた」などの感想が挙がった。

そして最後に鈴木氏は「寸法比に気をつければ、音のいい部屋はもう8割がたできたようなもの。残りは好みでいかようにも調整できる」と改めてコメント。オーディオにおける部屋の重要性を再度指摘した。

なお、次回の本イベントは3月16日(金)・17日(土)に開催。会場は同じく“蔵前ヴィレッジ”で、テーマには「オーディオルームの室内音響設計について(2)〜オーディオルームの最適残響時間とは?〜」を据える。

同社では、部屋の響き具合によってオーディオ再生音の印象は大きく変化するとし、「『コンサートホールの残響時間は2秒が良い』などと言われていますが、小さい部屋の残響時間はどのくらいが良いのかを蔵前villageモデルルームを例にして検討する」と説明している。

現在、公式サイトのメールフォームおよび下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。

【問い合わせ先】
アコースティックラボ
TEL/03-5829-6035
MAIL/kusakai@acoustic-designsys.com
担当:草階(くさかい)氏

(特別企画 協力:アコースティックラボ)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX