公開日 2026/04/10 06:30

10万円以下・Dolby Atmos対応のサウンドバーを一斉比較! “いい音”のリビングで新生活を迎えよう

JBL/ヤマハ/デノン/ビクター/ソニー/Bose/harman kardon/PHILIPS/Marshallの9ブランドを横並びでレビュー

10万円以下・Dolby Atmos対応サウンドバーを、9ブランドで一斉比較

「10万円以下のサウンドバーの音質を横並びで本気(ガチともいう)で試してみた!」と、勢いよく書き出してしまったが、いま最も注目されるオーディオビジュアル製品のひとつがサウンドバーだ。新年度に入り、新しい生活を始めたり、そうでなくても心機一転、「そろそろ、リビングの音を良くしたいなー」 と思われている方も多いと思う。

サウンドバーはその根本的な解決策となる。声の明瞭度が大きく上がり、迫力も桁違いに。テレビの直下に置いて、HDMIケーブル1本で接続できるシンプルさもメリットだ。

今回比較試聴したサウンドーは、JBL「Cinema SB580 All-in-One」/ヤマハ「SR-B30A」    デノン「DHT-S218」/ビクター「TH-WD05」/ソニー「BRAVIA Theatre Bar 6(HT-B600)」/Bose「Bose Smart Soundbar」/harman kardon「Enchant 900」/PHILIPS「TAB8750」/Marshall「Heston 60」の9モデル

近年は、DSP(デジタル信号処理)の進化によって、単一筐体からサラウンド空間を生成する技術が飛躍的に向上し、天井反射やビームフォーミングといった技術を駆使し、リスニングポイントに対して立体音響を成立させる設計も一般化しつつある。

だから、テレビの横幅を大きく超える広大なサウンドステージが眼前に現れ、部屋がちょっと映画館に近づくような体験ができる。

筆者は、自宅に7.2.6chのリアルスピーカーによる本格的なサラウンドシステムを構築しているが、率直に言うと、最近のサウンドバーはDolby Atmosの再現性がもはや“疑似”という言葉では片付けられないレベルに達しているものもある。

ということで、今回は10万円以下でDolby Atmosに対応するモデルから9機種をピックアップし、横並びで徹底試聴を行った。しかも今回は「音質」を主軸に据えた“本気の比較試聴”だ。

なお、各機種で10項目で採点した音質チャートを作成したが、この特集で取り扱う9本の中での相対評価で点数を決定した。

試聴環境とコンテンツ

音元出版のシアター視聴室BLACKにて取材。テレビはパナソニックの55型4K液晶テレビ「TV-55W90B」を組みわせ、ドラマと映画の再生にテレビ内蔵のFire TVを利用。空間オーディオの再生にApple TVを接続した。

ドラマ(Netflix):『グラスハート』第4話 『PLAY OUT LOUD』 
<ポイント>セリフの明瞭度と屋外/室内の環境音
00:19:00〜主人公・西条朱音のセリフの明瞭度と屋外環境音(鳥のさえずり)
00:22:00〜セリフの明瞭度と室内環境音(空調と思われるわずかな暗騒音のリアリティ

 映画(Netflix):『ウォー・マシーン: 未知なる侵略者』
<ポイント>戦闘シーンの迫力、映画におけるDolby Atmosの再現性
01:25:25〜主人公スタッフ・サージェントと地球外生命体のロボットとの戦闘シーン

空間オーディオ(Apple TV):LA SSERAFIM 「CRAZY」
<ポイント>空間オーディオにおけるDolby Atmosの再現性
0:07〜360度グルグルと回るシンセサイザーの後方までの回り込みを再現できているか
0:46〜バックコーラスの180度左右方向の広がり
0:59〜バックコーラスが背面から視聴者を通り過ぎ前方へ移動する表現を再現できているか(サウンドバーだとこの部分の表現が難関課題となる)

Bluetooth音楽再生(Spotify):HANA「ROSE」
<ポイント>帯域バランス/分解能/質感表現/低音の迫力/明瞭度のバランス/音楽性

JBLCinema SB580 All-in-One

JBL「Cinema SB580 All-in-One」29,700円(税込/直販サイト)

オーディオファンから絶大な信頼を持つJBL。実はサウンドバーに大変力を入れているメーカーで、記事執筆時点で10モデルもラインナップしている。

「Cinema SB580 All-in-One」は最エントリーモデルだが、仕様は充実しており、スピーカー構成はフロント左右に45mm×80mm径メインユニットが2基、そして、独立した専用センターチャンネルスピーカーを1基搭載、70×88mm径のウーファーユニット1基搭載し、3.1chの音声処理に対応し、操作は本体およびリモコンを使用する。

筐体デザインは、ブラックカラーのスタンダードなデザイン、市場にある製品の中では中型に位置し、低音の迫力に関わるキャビネット容量は確保されている。ステータスはフロントのLEDで確認する方式だ。

出入力端子は、HDMI(eARC)入力×1、光デジタル音声入力×1、USB Type-A(アップデート専用)×1

ドラマのセリフでセンタースピーカーの恩恵を実感。サラウンドも360度まわる

ドラマ『グラスハート』をサウンドモード「MOVIE」で試聴。屋外での2人の会話シーンのセリフは(若干キャビネット鳴きによる付帯音はあるものの)明瞭で、センタースピーカーの恩恵を実感できる。室内シーンの暗騒音はしっかり表現され、シーン特有の雰囲気が伝わってくる。

映画『ウォー・マシーン』は、後で聴いた高価格モデルと比べると再生能力は劣るものの、雷やダイナマイトの爆発音の迫力は十分に感じられる。予想以上に良かったのがDolby Atmosの空間再現性で、横や後方には環境音と爆発音がムラなく広がり感心した。

Bluetoothによる音楽再生は音声モードを「MUSIC」にして試聴。低音域は標準ボリュームでもしっかり出るため、リモコンのBASSボタンでやや低音量を下げてもキックドラムとベースの重量感は強めで、ややキャビネットの共振は感じるが、価格を考えれば健闘している印象。

空間オーディオのLE SSERAFIMも「MUSIC」モードで視聴。音の抜けが良く、楽曲冒頭のシンセサイザーが360度回るギミックは表現できている。

付属のリモコン。入力切り替えサウンドモード選択、低音強度の調整などが操作できる。アプリには非対応

JBL「Cinema SB580 All-in-One」の音質傾向

ヤマハ「SR-B30A

ヤマハ「SR-B30A」オープン(実勢価格:税込36,300円前後)

日本を代表する楽器/オーディオメーカーのヤマハは、古くからサウンドバーに参入している。執筆時点で4モデルをラインナップし、本機は最エントリーモデルの位置づけ。

スピーカー構成は、フロントに46mm径メインユニットが4基、25mm径のツイーターが2基。サブウーファーは75mm径を搭載し、7.1chの音声処理に対応する。操作は本体およびリモコンを使用し、スマホ用の操作アプリ「Sound Bar Remote」も用意されている。

デザインは全面ファブリックで、景色に溶け込む落ち着いた雰囲気。基本となるサウンドキャラクターは楽器メーカーらしい、装飾の少ないストレート志向の音。そのうえで、高音域はややシャープで、締まりのある低音と組み合わされている。

出入力端子は、HDMI(eARC/ARC)×1、光デジタル音声入力×1、サブウーファー出力×1、USB Type-A(アップデート専用)×1

自然でリアルな質感のサウンド。音楽再生にも癖がない

ドラマと映画は、サウンドモード「STANDARD」「MOVIE」で視聴。ドラマ『グラスハート』の会話シーンでは、女性の声の帯域はキャビネットの付帯音も抑えられており、質感も自然で、さすが楽器メーカーのモデルだと感じた。屋外シーンを印象づける小鳥のさえずりもリアルに聴こえる。

映画『ウォー・マシーン』におけるダイナマイトの爆発音は基本的にリアル傾向だが、やや迫力不足を感じる。リモコンで低音量を上げたところ、迫力は向上するものの、飽和気味になった。Dolby Atmosの効果は派手に出さないタイプで、フロント中心の音像はリアルだが、真後ろの表現はやや控えめに感じた。

Bluetoothによるステレオ再生は「STEREO」で試聴。HANAは全体的に音色に癖がなく、イントロのピアノの質感も優れ、音楽再生中心の用途で安心して聴ける。その反面空間オーディオは、フロントの音質が良い分、リアや左右の表現力にやや不足を感じる。

付属のリモコン。入力切り替え、サウンドモード選択、別売りサブウーファーの音量調整などが操作できる

スマホアプリ「Sound Bar Remote」に対応。基本操作のほか、高音/低音/サブウーファーそれぞれ個別でのトーンコントロールが利用できる

ヤマハ「SR-B30A」音質傾向

デノン「DHT-S218

デノン「DHT-S218」オープン(実勢価格:税込36,300円前後)

日本を代表するオーディオビジュアルメーカーのサウンドバー。スピーカー構成はフロントに90mm×45mm径の楕円形メインユニットが2基、25mm径のツイーターが2基。サブウーファーは75mm径を2基搭載し、最大7.1chの音声処理に対応する。操作は本体およびリモコンを使用する。

筐体デザインは天板中央を境に、フロント側はファブリック、リア側はプラスチックと素材を使い分け、センター部にソース切り替えやボリュームボタンを配置。限られたコストの中で上手くデザインされている印象だ。全体の音質は自然で、質感表現も正確。

出入力端子は、HDMI入力×1、HDMI(eARC/ARC)×1、光デジタル音声入力×1、AUX入力×1、サブウーファー出力×1、USB Type-A(アップデート専用)×1

声・ボーカル帯域の質感がよく、長時間でも疲れにくい音質

最大の魅力は、ハイエンドオーディオを含む同社製品に携わるサウンドマスター山内慎一氏がチューニングを行っている点にある。ドラマおよび映画は「PURE」と「MOVIE」で視聴。ドラマ『グラスハート』では、主人公の声の刺さり感が抑えられ、肉声の質感も表現できている。一方で男性の声の帯域には、ごくわずかに付帯音を感じる。

低音域はディテールはしっかりしているものの、映画『ウォー・マシーン』のダイナマイトの爆発シーンでは、より低い帯域である重低音の迫力はやや抑えられる傾向にある。

Dolby Atmos効果は派手さを抑え、フロント中心に展開する。「MOVIE」ではより音の広がりが増し、臨場感が向上する。本機によるドラマや映画鑑賞は、ボーカル帯域での質感の良さもあり、長時間の試聴でも疲れにくいはず。

Bluetooth接続による2chステレオ再生は「PURE」で試聴。全帯域で自然な質感を保ち、空間オーディオは基本的に自然でソースに忠実な低音も表現できるが、サイドやリアへの回り込がもう少し欲しい。

付属のリモコン。入力切り替え、サウンドモード選択、「ダイアログエンハンスモード」の強度調整などが操作できる。アプリには非対応

デノン「DHT-S218」音質傾向

ビクター「TH-WD05

ビクター「TH-WD05」オープン(実勢価格:税込60,000円前後)

ビクターの一体型サウンドバー。スペック上の大きな魅力は大きく2つ。1点目は所有欲をかき立てるデザインで、濃いブラウンと薄いナチュラルの2色の木目調が用意されている。いずれもインテリアに溶け込みつつ、上品な個性を備えたデザインだ。横幅697mmと小型で、筐体天板に配置されたニッパーマークが音質への期待を高めてくれる。

2点目はスピーカーユニット。左右の60mm径コーン型とセンターの60mm径平面型の3基すべてがウッドコーン振動板なのだ!サブウーファーは49mm×157mm径の楕円型を採用。音声処理は最大7.1ch。天板のボタンはタッチ式で、フロントは文字表示に対応しており、入力ソースがわかりやすい。

出入力端子は、HDMI(eARC)×1、光デジタル音声入力×1、AUX入力×1、USB Type-A(アップデート専用)×1

ウッド振動板の“音色の良さ”。セリフや環境音のディテールが明瞭

試聴すると、ウッド振動板の大きな魅力である“音色の良さ”が聴き取れる。サウンドモードによって音のキャラクターが大きく変化するが、ドラマ『グラスハート』は「TV」モードで試聴。ここでもウッドコーン振動板の特長が活きており、セリフの質感は良好。キャビネットの不要な共振も抑えられているため、セリフや環境音のディテールが明瞭だ。

映画『ウォー・マシーン』は「映画」モードで試聴。サウンドステージは大きく広がり臨場感は高いが、スピーカーユニット数が少ない分、DSP処理でステージを広げている印象があり、わずかに自然さに欠ける部分もある。

Bluetoothによるステレオ再生は、滑らかな高音域の質感が好印象。イントロのピアノの音も良好で、キックドラムの低音は迫力よりも質感やダンピングを重視した傾向。一方でエレクトリックベースなど、より低い帯域の楽器はやや不明瞭で、EDMよりもポップス向きの印象だ。空間オーディオは「映画」モードで試聴。左右方向には大きく広がるものの後方の表現は控えめ。

付属のリモコン。入力切り替え、サウンドモード選択、高音/低音それぞれの音量調整などが操作できる。アプリには非対応

ビクター「TH-WD05」音質傾向


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