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PR 公開日 2023/12/08 06:30

Kinera Imperial超ハイエンドへの挑戦、イヤホン「Loki」レビュー。正統派に個性を兼ね備えた魅力あるサウンド

複雑で大規模なドライバー構成を使いこなしている
高橋 敦/PHILE WEB編集部
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2010年に設立され各社のヘッドホンのOEMを請け負うなどしてその地力を高めたYutai Electronics。そして自ら立ち上げたイヤホンブランド「Kinera」はエントリー価格帯で好評を獲得。続いて展開され始めたのがハイエンドブランド「Kinera Imperial」だ。

北欧の神々の名を冠した各モデルは、それぞれ異なるドライバー構成などによってその神々と同じく豊かな個性を発揮。シェルに施された美しいアートワークと共に、イヤホンファンに強いインプレッションを与えてきた。

そのKinera Imperialのさらなる挑戦の先駆けとなるのが、新たなフラグシップモデル「Kinera Imperial Loki」だ。

既存ラインナップの実売価格はおおよそ7万円から20万円の価格帯に分布するが、このLokiは一気に468,000円(税込)にジャンプアップ。限られたブランドしか進出できず、選ばれたブランドしか生き残れない超ハイエンド市場への、挑戦の狼煙を上げた格好だ。


Lokiは確かな実力があるからこそ成立したチャレンジングなモデル



現在ではマーベルキャラクターやボカロ曲でその名が身近になっているロキ。このモデルの名も同じく、北欧神話の火の神、ロキに由来する。カラー名「ファイヤーウォーリア」が示すように、青を基調としたところに鮮烈な赤が入り混じるフェイスプレートは「大地に噴出し世界に衝撃を与えるマグマ」を表しているのだという。なおこのフェイスプレートの模様はハンドペイント。左右を見比べればひとつひとつが異なる仕上がりになっていることを確認できる。



その「大地を揺らし衝撃を与えるマグマ」がこれを表しているのかはわからないが、技術面でのこのモデルの特徴のひとつは、ハイブリッドドライバー構成の中に「革新的な骨伝導ユニット」が含まれていることだ。

骨伝導ドライバーはKinera Imperialとして初採用とのことだが、同社の年表を見るとブランド設立以前に骨伝導技術の特許を取得していたりもするので、長年温めてきた技術なのかもしれない。何にせよ「骨伝導ドライバーによる低周波特性の大幅な最適化」が謳われている。

ドライバー構成全体としては、
●EST×4:Sonion製
●高域BA×2:Knowles製カスタマイズ品
●中域BA×4:Knowles製カスタマイズ品
●骨伝導×1
●低域DD×1:自社開発6mm径
のクアッドブリッドだ。既存モデルで最も複雑なドライバー構成はKIinera Imperial Baldr 2.0のDD×1/BA×2/EST×4だったので、そこからまさにジャンプアップ的に一気に、より複雑で大規模なハイブリッド構成に進んできたと言える。

Lokiのドライバー構造イメージ。クアッドブリッドの計12ドライバーを搭載している

そのイヤホン本体のポテンシャルを引き出すためのケーブルとイヤーピースのセレクトも、超ハイエンド機にふさわしく豪華。

ケーブルはEffect Audio製で、導体はUP-OCC高純度銅、4.4mmバランス駆動仕様のプラグはロジウムメッキ。イヤーピースはAZLA SednaEarfit Crystal、Spinfit CP145、final TYPE E、フォーム素材のSymbio Fが付属。アジア各国、そしてハンガリーと、世界中からセレクトされたアクセサリーが付属する。特にイヤーピースは装着感、遮音性、音質のすべてに関わるので、そのフィットのための選択肢が豊かに用意されているのは嬉しい。

高品質なEffect Audio製ケーブルを標準で付属

イヤーピースも複数種類を取り揃えるなどハイエンドのふさわしいアクセサリーを用意

フィットといえばその樹脂シェルが美しさとフィットを兼ね備えていることもこのモデル、このブランドの特徴だ。彼らはカスタムイヤーモニターも手がけており、シェル周りのノウハウも豊富。Lokiのようにチャレンジングなモデルを成立させられるのも、ベーシックな部分の実力が確かであるからこそだ。

美しいシェルはデザイン性だけでなく、装着性も高い仕上がりになっている

サウンドは超正統派、ニュートラルかつLokiらしいキャラクターも感じさせる



いよいよ、お楽しみのサウンドについて。試聴時のイヤーピースは筆者の耳へのフィットが良好だったfinal TYPE Eを使用した。

破壊的な火の神の名を冠するこのモデル。しかしその音はむしろ超正統派だ。特におそらくは静電型ドライバーの活躍による、高域から超高域のしなやかさが絶妙。対して骨伝導ドライバーはその存在を主張しない。低音楽器が柔らかさと同時に明瞭さも兼ね備えるところなどにその貢献がありそうだが、そのサポートはさりげなく自然だ。その自然さこそが見事。

どんなスタイルの楽曲を聴いても満足であったが、なかでも特にフィットすると感じたのはジミ・ヘンドリックス「Little Wing」とKeleketla!「International Love Affair」だった。プリミティブ、オーガニック、レア。そういった言葉で表現される音色やグルーヴの再現はこのイヤホンが最も得意とするところと言える。

ドラムスの胴の中の空気の響きを感じさせる、「スカン」ではなく「モコン」とした感触を存分に味わわせてくれ、その柔らかな音がこもらずに抜けてくるところまで完璧。ベースも、バキバキのスラップのアタックへの追従も問題なくこなすが、それよりもスラーで滑らかにつなぎつつ要所をスタッカートや休符で締めるスムースなグルーヴの描き出しが秀逸。硬さを出してしまうことなく、あくまでも滑らかだ。

ボーカル表現でもその特性が生かされる。しなやかさ、響きの豊かさのおかげか、声の湿度感が強く引き出される印象。田村ゆかり「雨のパンセ」を聴くと春先や秋の冷たい雨の風景が浮かびがちなのだが、このイヤホンで聴くとそこは五月雨。吐息の生々しさ、響きの湿り気に引き込まれる。

超ハイエンドオーディオでは「究極的にニュートラル」なサウンドも歓迎されるが、一方で「適切なニュートラルさを満たした上で適度なキャラクターも発揮」というサウンドも歓迎される。本機の音はその後者として魅力十分だ。華やかなだけではなく物語性のあるデザイン、ハイエンド体験をサポートする手厚い付属品やパッケージングといったラグジュアリー要素も嬉しい。

Kinera ImperialはLokiを皮切りに、さらにハイグレードな製品の開発にも取り組んでいくという。ブランドの超ハイエンド進出に力強い説得力を与え、今後の展開への期待も膨らませてくれる逸品だ。


(高橋 敦)

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