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公開日 2022/03/24 06:30

システムの音をワングレード高めるラックスマンの電源ケーブル「JPA-17000」。音離れの良い有機的なサウンドが魅力

【特別企画】上流・下流のどこが効果的かも検証
岩井 喬
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■ケーブルやセレクター等のアクセサリーにも力を入れるラックスマン

ラックスマン製品の中でも人気のある分野の一つが、ケーブルやスピーカーセレクターといったアクセサリー製品群である。その中でも電源ケーブルは国内で標準的な2P仕様のプラグを用いた使い勝手の良いつくりであり、ラックスマンのコンポーネントの組み合わせだけではなく、単品アクセサリーとしての需要も多いという。この電源ケーブル分野から新たにフラグシップモデル「JPA-17000」が登場し、話題となっている。

LUXMANの電源ケーブル「JPA-17000」(52,800円/税込)※ケーブル長は1.8m

新製品であるフラグシップパワーアンプ「M-10X」など、最新の上位プロダクトに同梱される音質重視の電源ケーブルとして企画された製品でもあるといい、これまでの上位クラス電源ケーブルであった人気モデル「JPA-15000」をベースに、さらなるクオリティ向上を目指し、導体構成から見直しを図っている。

「JPA-17000」はフラグシップパワーアンプ「M-10X」の付属ケーブルとして開発されたものでもある

今回、このJPA-17000のサウンド効果を確認すべく、同社製のCDプレーヤー「D-03X」とプリメインアンプ「L-507Z」の付属ケーブルとの比較を行いつつ、それぞれ単体で付属電源ケーブルとJPA-17000を交換し、どのような音質変化があるのか。また両機の電源ケーブルをJPA-17000に交換した時のサウンドについても検証したい。

■7N-Class D.U.C.C.とOFCを組み合わせた高純度な導体が特徴

まずはJPA-17000の詳細について、紹介しておこう。JPA-17000の導体断面積はJPA-15000と同じ3.5mm2であるが、導体そのものはφ0.26mmの高純度無酸素銅OFCを66本用いる構成から、99.99998%以上のより高純度な7N-Class銅となる、φ0.26mmの大口径7N-Class D.U.C.C.を20本用い、OFC(φ0.26mm)も46本用いた構成に進化している。導体に用いる30%を7N-Class D.U.C.C.とし、OFCの導体を7N-Class D.U.C.C.の導体で包み込むように配置することで、低インピーダンス化をさらに推し進め、パワー損失をより少なく高純度かつスピーディーに伝送できるようにしている。

「JPA-17000」のケーブルの断面図。2芯ノンツイスト構造で楕円形状となっている

導体の絶縁体には半硬質PVC、内側シース、外側シースにはPVCを用いており、外観は同社ケーブルの特徴となっている、2芯ノンツイスト構造を採用。聴感上の周波数のうねりを排除し、伸びやかな音質を得られるようにしている。またケーブル外径9.1mm×13.4mmの楕円形状・帯状スタイルはJPA-15000と同じサイズであり、取り回しの良いしなやかな仕上げだ。そして外側シースはこれまでの黒色から、フラグシップモデル共通のブルー基調のカラーリングを取り入れ、高級モデルとしての差別化を図っている。

モールド一体構造のプラグ部は金属端子に金メッキを施し確実な接触性を実現させるとともに、プラグ部に突起状の極性マークも設けて接地側をわかりやすくしている。冒頭でも述べたように国内の電源事情を踏まえ、ACプラグ側は2P仕様としているので、3P変換プラグを用いず接点を増やすことなくスムーズな接続を行えることも美点だ。

もう一方である機器側のIECプラグ部についてはJPA-15000と同様に、接続時のぐらつきをなくすようモールド樹脂の2重構造を取り入れており(ピン周辺に白色樹脂を使用)、3点で確実に受け止める内側ピン周辺の隙間を減らし、嵌合性を高めている。接点接触の確実性に加え、振動の影響を抑え込み、高音質化に貢献している。

IECプラグ部の内部は白色樹脂を採用(JPA-10000では黒となっている)

試聴ではCDプレーヤーD-03XとプリメインアンプL-507Zの付属電源ケーブル交換を試してみるが、D-03Xでは付属ケーブルは「JPA-10000」(※「D-03X」の発売時。現在は「JPA-10000i」が付属する)、L-507ZはJPA-10000の進化モデル「JPA-10000i」を採用している。JPA-10000はJPA-17000とも同じ2芯ツイスト構造であるが、φ0.26mmのOFC導体は37本、導体断面積は2mm2だ。

一方JPA-10000iはφ0.18mmのOFCを84本用いた構造で、導体断面積が2.14mm2とJPA-10000より約9%アップしている。しかし取り回しの良さと柔らかさを追求するため、ケーブル外径はJPA-10000の8.9mm×12mmから6.0mm×9.5mmへとスリム化。ケーブルそのものの伝送性能を向上させつつ、スリム化によって取り回しの良さも獲得した新世代の仕様となっているのだ。加えてJPA-10000iはJPA-17000と同じようにIECプラグ側がぐらつきを抑えた新形状としているため、さらなる音質向上を実現している。

「JPA-17000」(上段)と、「JPA-10000i」(中段/L-507Zに付属)、「JPA-10000」(下段/D-03に付属)。17000ではシースの色が青になっている他、ケーブル径は太くなっているが、しなやかで取り回しも容易

■まずは上流のCDプレーヤーの電源ケーブルをグレードアップ

まずはMQA-CD再生にも対応したD-03Xと、新世代の増幅帰還回路LIFESをプリメインアンプとして初めて取り入れたL-507Zの組み合わせで聴いてみる。L-507Zは3段ダーリントン3パラレル・プッシュプル構成でAB級110W×2(8Ω負荷)というセパレートアンプ並みの大出力を実現。D-03Xは「D-05u」の流れを汲むDAC部を持っており、TI製DACチップ「PCM1795」をデュアル構成モノラルモードで搭載。アナログ出力は完全バランス構成としている。

スピーカーはB&Wの「803 D3」を使用してケーブルの比較試聴を実施

スピーカーはB&W「803 D3」を接続したが、ローエンドも太くどっしりと伸びやかに描き出し、アタックも力強くL-507Zの駆動力の高さを実感。高域はスッキリとしたヌケ良く爽やかなキメの細かいナチュラルな傾向のサウンドを聴かせてくれる。オーケストラは管弦楽器を含め、音像は厚みがあり、旋律の流れもスムーズだ。ジャズのホーンセクションやシンバルの響きは軽快で爽快感がある。リズム隊は密度良く弾んでおり、ピアノのアタックは穏やかで耳馴染み良い。女性ボーカルは肉付きよく、口元は僅かにウェットだ。ロック音源のディストーションギターは中低域の厚みがリッチで、リフの刻みも粘りがあり力強い。ベースラインも逞しく、スネアのリムショットは太さがある。

MQA-CDの再生も可能なCD専用プレーヤー「D-03X」(価格:294,800円/税込)

まずは上流であるD-03Xの電源ケーブルをJPA-17000へ交換。サウンドは中低域方向の階調性が高まるとともに、音像の周囲に感じられた僅かな滲み感がなくなり、音離れの良いクリアなものとなった。音場の見通しも深く、シンバルワークの緻密さやオーケストラのホールトーンの細やかな残響感もわかりやすい。管弦楽器の旋律はハキハキと歯切れの良いタッチで描き、各パートのニュアンスも鮮明かつ丁寧に引き出す。余韻も収束が早く、音場の透明感が高い。ローエンドの締まりも良く、定位感も鮮明だ。

「D-03X」に「JPA-17000」をつないだところ

ジャズのホーンセクションは生き生きとした抑揚良い表現であり、音伸びも良い。リズム隊の引き締めは弾力感を残して滑らかさもある。ピアノのハーモニクスはほぐれ良く、空間性の高い音場を実感した。ボーカルの輪郭はフォーカス感が増し、口元の動きもクールに際立ちキレが良い。ロック音源も全体的に締まりの良いくっきりとしたサウンドで、ギターリフやボーカル、コーラスワークも爽やかにまとめてくれる。全体的に解像度の高さが感じられ、音場もS/Nの高い高純度なサウンドとする印象だ。

■下流のプリメインアンプを変更すると、パワー感の変化を感じられる

続いてL-507Zだけ電源ケーブルをJPA-17000に交換。D-03XはJPA-10000に戻して試聴を行う。よりパワフルで躍動感あふれるサウンドとなる印象で、音場感もより広大でリッチさが増す。オーケストラはローエンドが太く逞しく描かれ、どっしりと堂々とした響きに満たされる。管弦楽器の旋律は溌溂としており生き生きとしたハーモニーが展開。低域方向は適度なダンピングもあり、厚みはあっても見通しは確保されている。定位感もクリアで快活なサウンドだ。

LIFESを搭載した初のプリメインアンプ「L-507Z」(価格:698,000円/税込)

ジャズのホーンセクションはヌケ良く鮮やかに浮き上がり、アタックも素早くスムーズな描写である。ロック音源のパワフルさも印象的で、リズム隊のファットさ、ボーカルの口元の厚みも確保され、落ち着きのあるサウンドとなった。エレキギターのリフの小気味よさやライドシンバルの澄んだ余韻、コーラスワークの丁寧さなど、細部の描写力も向上しており、表情の豊かさも実感できた。

ケーブルの外装には7N D.U.C.C.と記されている

しかしここで気付いたことがある。空間性の良さは感じる一方でリズム隊やピアノのハーモニクスなど、輪郭表現は若干甘めに推移している点だ。L-507Zの電源ケーブル交換におけるパワー感の変化量が大きく、立ち上がりや立ち下がりのスピードの速さ、エナジーに満ちた表現が向上する。直前のD-03Xだけでの交換時は解像度方向の変化であったが、その音の変化の記憶が残っているせいもあり、解像感は控えめに感じられた。これはD-03Xの改善前の音質傾向がより拡大されているということでもあり、それだけL-507Zが入力ソースに対して忠実に再現、色づけなく増幅してくれるという証しでもある。

気付きを得た上で最後にD-03X、L-507Zともに電源ケーブルをJPA-17000へ交換。最良の状態で試聴してみた。各々の試聴時に感じた点を融合したバランス良い音質傾向で、解像度の高さ、音場のS/Nの良さ、ダイナミックで抑揚に富んだ力強い押し出し感を兼ね備えたサウンドである。ロック音源でもリズム隊はパワフルだが輪郭を引き締め、それぞれのアタックを明確に描き出す。ボーカルやスネアのリムショットもスカッと爽快に浮き上がり、音離れの良いシャープな定位を決める。

音像の輪郭表現も倍音を強めたエンハンス的な強調感がなく、ナチュラルな際立ちであり、楽器や声のディテールも実に滑らかだ。ジャズのホーンセクションは流麗でキレが良く、余韻も爽やか。リズム隊の描写も滲みがなくスマートで、ピアノの響きは低域から高域まで密度良く存在感のある響きを見せる。シンバルワークも丁寧で透明度が高い。ボーカルの口元はフォーカス良くトレース。ボディの厚みも自然で潤い良く生々しい描写である。ふと音が立ち上がる瞬間のエアー感も克明に描き、有機的で生々しい。

オーケストラについても太さとコシのある管弦楽器の描写を安定的に描き、豊かなローエンドの音伸びもコントロール良く引き締め、音場のクリアさを確保。余韻のキレも良くハーモニーの緻密さを的確に拾い上げ、ニュアンスの細やかな楽器の質感と雄大でスケールの大きな音の広がりを両立している。確実にシステムの音がワングレード向上している印象であり、コンポーネントにパワーを供給する電源ケーブルの重要性を再認識した次第だ。

■1本だけ変更するならば、音の上流を担う機器がまずは有効

ここまでの試聴を通し、JPA-17000の持つ改善効果の高さを実感したが、複数のコンポーネントで構成されているシステムのどこに重点を置くかによって、その音質の改善効果も変わってくる。好みもあるとは思うが、まず1本だけ交換するならば、CDプレーヤーやDACなど、音の上流を担う機器の電源ケーブルを選びたい。

後段を担うアンプに対しても効果は高いが、ウィークポイントを増幅してしまい、判断を誤る可能性もある。上流のコンポーネントの音質向上によって付帯感のないクリアな信号を受け取ることで、電源ケーブル交換のメリットも感じやすい。その改善効果に納得できたならば、ぜひ後段のアンプに対しても電源ケーブルの交換を試していただきたい。

JPA-17000は癖や歪み感のないパワフルな電力伝送を実現する、C/Pの高いハイグレードな電源ケーブルであり、様々なコンポーネントに対してオススメできる製品だ。

(提供:ラックスマン)

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