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公開日 2017/07/31 10:20

【製品批評】LUXMAN「ES-1200」− 独自の補正回路を搭載したクリーン電源

最大1200VAの超低歪出力を実現
井上千岳
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製品批評


クリーン電源システム
LUXMAN
ES-1200
¥580,000(税抜)



ラックスマンが電源機器を取り扱ったのは、実は本機が初めてだ。まずは本機、ES‐1200の構成と特徴を探ってみることにしたい。

電源波形は50Hzまたは60Hzのサイン波だ。電圧100V。ノイズや電磁波などによって、波形には棘が乗ったり凹凸が生じたりする。また電圧が足りずに頭が潰れてしまうこともある。これらは結局歪みと言っていい。補正というのはこの歪みを排除して正しいサイン波に戻すことである。

ここでまず必要になるのが、基準となる「正確な」サイン波である。アナログ式に生成することも可能だが、ラックスマンでは別の方式を採用した。デジタル方式と呼んで差し支えなかろう。内蔵のROMに50kHz16ビット相当のPCM波形を記憶させてあるのだ。これをD/A変換してローパス・フィルターを通し、基準のサイン波とするわけである。電源ラインの方はどうか。100Vのままで補正動作させることはできないので、比較用としてトランスを介して減圧した信号を取り出す。これと先ほどの基準サイン波とを比較するのである。


背面出力には、パナソニックのホスピタルグレードのACアウトレットが8口用意される
この比較で得られるのは、電源ラインの歪み成分にほかならない。そこで、その歪んだ波形だけを元の信号、つまり電源ラインに戻してやれば、「正確な」サイン波になるはずである。ではどうやって戻すか。

比較用の電源波形は減圧されている。そこで元の電圧と同じ大きさにしてからでないと、戻すことはできない。このため増幅素子を6個パラレルに接続して増幅を行い、適正な電圧にしてから電源ラインと合成するのである。

以上が本機の動作の概要である。本流からサンプルを取り出して歪みだけを検出し、それを増幅してもとに戻す。この動作は、実は同社のアンプ製品で採用されている回路、ODNFとよく似ている。


本機の内部構造の説明を受ける。補正電圧作成のために高精度なパワー素子を6パラレルで接続するなど、これまで高級モデル開発で培っていたノウハウがふんだんに投入されている。サイドに静音ファンが取りつけられており、必要に応じて作動する
ひとつだけ強調しておきたいことがある。電源ラインのホット側は出力コンセントまで真っ直ぐで、間に何も入っていない。最終的に歪み成分を合流させるのもコールド側なのである。要するにダイレクト・カップリングで、音質を阻害する要素が極めて少ない。

アンプとCDプレーヤーを接続して比べた結果は、明らかなS/Nの向上と位相の正確さとなって表れた。特にノイズが減少するのは電源コンディショナーの第一の役割だが、それが明確でしかも音調に対する影響が全くない。ここが大事なところで、電源機器は音が変わってしまうから嫌だというユーザーが少なくないのである。ピアノやオーケストラなど、ホールで録音されたソースは奥行きの深さと周囲の静寂感が明らかに変わる。またスピーカーユニットの位相がぴったり揃ってくるのも興味深い。このため音の焦点が合って音楽が一層生き生きとしてくる。

Specifications
●定格出力容量:1,200VA(内部損失分を含む) ●入力電圧範囲/周波数:AC90V〜110V/50/60Hz ●出力電圧/周波数:AC100V( 固定)/50/60Hz ●全高調波歪率:0.1%以下 ●冷却方式:自然空冷+強制空冷(一定内部温度以上で動作) ●フロントパネル部付属:電源スイッチ、電源インジケーター、モードスイッチ、ディスプレイスイッチ、7 セグLED ディスプレイ、LED バーメーター ●リア端子部: AC インレット、AC アウトレット×8 ●外形寸法:440W×179H×415Dmm ●付属品:電源ケーブル

※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」162号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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