• ブランド
    特設サイト
公開日 2016/09/05 16:00

<IFA>有機EL/液晶/4Kプロジェクター…次世代画質を競う各社製品を山之内正がレビュー

ソニー/パナソニック/JVC/LG/サムスン
山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
IFAはラジオやテレビなど放送受信機器と密接に関連しながら長い歴史を重ねてきた。最近は領域をダイナミックに広げながらも、現在に至るまで受信機器を中心に据える「ブレのなさ」には心底感心させられる。特に、放送局のブースでレトロなデザインのデジタルラジオを見つけたりすると、90年以上タイムスリップしたような錯覚に陥ってしまう。

もちろんラジオはいまや脇役だが、テレビは依然として主役の座を守っている。特に今年は液晶の次を担う次世代デバイスの優位を実際の商品で競う展示が活況を呈し、見応えのある展示が多かった。

<有機EL>
■鮮やかな色彩とコントラストが印象に残るLG


LGの77型OLEDテレビ「77G6」。もちろんこの角度から見てもコントラストは変化しない。
次世代ディスプレイデバイスの筆頭と目される有機EL(OLED)は、LGがシグネチャーGシリーズを中心に画質メリットをアピールした。

なかでもモネ、ゴッホ、クリムトの作品をモチーフにした静止画風のCGを映し出したコーナーでは、それぞれの画家が工夫を凝らした光の扱いの巧みさを抽出して見せ、OLEDの鮮やかな色彩とコントラストを印象付けていた。映画ファンとして気がかりな暗部階調を確認できるような展示がなかったのが残念だが、IFAのように一般来場者が多く訪れるイベントではコントラストに重点を置いたデモ映像を使うのは仕方のないことだ。

■暗部階調の再現に注力したパナソニック

一方、パナソニックはLGとは対極の低輝度映像をあえてOLEDで見せることによって、映像処理技術の優位性をアピールした。パナソニックは欧州で昨秋以降LGのパネルをベースにした湾曲型の有機ELテレビを発売しているが、今年のIFAで展示したプロトタイプは、改良されたパネルをベースに同社が独自の映像処理技術を駆使して画質改善を果たしたもの。価格や発売時期は未定とのことだが、来春以降の発売を見込んでいると思われ、同社が液晶と並んでOLEDをテレビの主軸に据えることも十分に予想できる。

パナソニックから参考出展された有機ELテレビのプロトタイプ

その注目の試作機だが、まずはブース内のひときわ目立つ場所に展示し、コントラスト性能の高さを訴えるデモ映像を公開していた。一方、壁際のバックヤード的な場所に設けられた暗室では湾曲型の現行機種との比較を行い、薄暮の森のなかの映像と、日本の映画スタジオで撮影したと思われる時代劇仕立ての暗い映像を使って、暗部階調と低輝度部の色再現の違いを見比べることができる。現行機種と試作機の間にはOLEDのマスターモニターが置いてあり、階調、色再現、ガンマいずれも試作機の映像がオリジナルに近いことを瞬時に見分けることができた。

一番の見どころは暗い森のシーンでの緑の再現性だ。現行機種は色乗りが渋く、最暗部は階調も足りないのに対し、試作機ではマスターモニターにかなり近い発色を示し、最暗部の明暗差もつぶさず、ていねいに描写している。時代劇風の映像では、人物の左右に並ぶ建物の軒下など、従来機では完全につぶれしまった部分にしっかりと階調が存在することを確認することができた。今回のデモンストレーションには映画が用意されていなかったが、どうやらこの映像は映画を想定して製作されたらしく、マスターモニターの映像からわかる通り、平均輝度が低いなかに豊かな階調情報が詰まっている。

そこがまさにこの展示の狙いである。今回の試作機における画質改善のポイントは、前述の階調、色再現、ガンマの3点に絞られるとの説明を受けた。たしかに改善の度合いは非常に大きく、ここまでの画質を実現できるのなら真剣に購入を検討しても良いかもしれないと思わせるだけの説得力がある。ただし、その画質改善の一部にはパネル性能の向上も寄与しているとのことなので、最終的には他社の製品と比較しなければ結論は出せない。発売までにどこまで画質を追い込むことができるのか、じっくり注目する必要がある。

次ページ続いてソニーとサムスンをレポート

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 Apple Musicも聴ける高コスパ ネットワークプレーヤーeversolo「DMP-A8」。音質と使いこなしを徹底検証
2 Amazon Prime Videoの人気8チャンネルが2ヶ月間99円に!GW期間中キャンペーン
3 アップル製品がAmazon/ヨド/ビックなどで最安値級セール。どこが一番安い?
4 コンパクトでハイコスパ、そして音が良い! Kanto Audio「YU2」がデスクでのスピーカー再生を楽しくする
5 ソニー、4スピーカーで立体音響を実現するシアターシステム「HT-A9M2」。新スピーカーで高音質化
6 Netflixで「ご利用世帯の登録」画面が表示された場合の対処法は?
7 クリプトン、内部配線材と吸音材を強化したピアノ仕上げ・密閉型スピーカー「KX-0.5P II」
8 『鬼滅テレビ -柱稽古編放送直前SP-』5/4 13時25分から無料配信。公開生放送の観覧受付開始
9 ソニー、新フラグシップサウンドバー「HT-A9000」。単体で独自立体音響に対応/約36%の小型化も
10 ネット動画も大画面で手軽に楽しめるREGZA「40V35N」が初登場1位 <AV製品売れ筋ランキング3月>
4/30 11:19 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー192号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.192
オーディオアクセサリー大全2024~2025
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2024~2025
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.21 2023 WINTER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.21
プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.31(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2023受賞製品お買い物ガイド(2023年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2023年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX