公開日 2014/03/14 10:30

PHILIPS「S2」を高橋敦がレビュー − Fildelioシリーズのカナル型イヤホン上位機

ロック&ポップスの再現性を中心にチェック
PHILIPSの全製品のサウンドは、厳しいテストをくぐり抜けた“Godlen Ear”の手によって音作りがされている。それはセミオープン方式を採用したイヤホン“Fidelio”「S2」も例外ではない。今回のFidelio Journalでは、その“ユーザー目線”に定評のある高橋敦が「S2」の魅力を独自の視点から解析していく。

PHILIPS“Fidelio”「S2」 ¥OPEN(予想実売価格12,800円前後)

■音作りのエキスパート「ゴールデンイヤー」が手がけたイヤホンFidelio「S2」

“Fidelio”はフィリップスが展開するプレミアムラインだ。同社が誇るサウンドエンジニアにしてブラインドテストのエキスパート「ゴールデンイヤー」による幾度ものチェックなどによって、最終的な完成度を彼らの納得するステージにまで引き上げている。製品分野や価格帯は様々だが、そのどれもがフィリップスを牽引するフラッグシップと言える。

「ゴールデンイヤー」はPHILIPS全製品のサウンドを担う音のエキスパートだ

今回紹介する「S2」はその“Fidelio”のカナル型イヤホン。同時に発売された「S1」のアルミハウジングに対してこちらは銅合金ハウジングを採用するなどの違いがあり、価格帯としては上位モデルとなる。

試聴では「S2」のブラックを用いた。

まず基本設計の面で特徴的なのは、セミオープンバック型(半開放型)構造の採用だ。ハウジングの耳の外に向く側、ドライバーの背面の部分がメッシュで半開放構造になっている。

イヤホンやヘッドホンの構造は大きく、オープン型(開放型)とクローズド型(密閉型)に分けられる。前者は音の自然な抜けや広がり、後者は低音の濃厚さを出しやすいことなどが特長だ。

セミオープン型はその中間的な特性を狙った構造と言えるだろう。S2はこのセミオープン型を採用することで、バランスの良さと深みのある低音を共に実現している。音量を上げたときの音漏れは密閉型よりはあるので、屋外利用ではそれなりに注意が必要だが、それも含めて使いこなしたい。

セミオープンバック構造がバランスの良さと深みのある低音を実現する

続いての大きな特徴は前述の銅合金ハウジング。オーディオで銅といえば、ケーブル導体の他に、インシュレーター等の制振アクセサリーの素材としてもおなじみ。「スピーカーの下に十円玉を置くと音が良くなる!」というあれも、十円玉が銅合金でできているからこそだ。

整った振動特性と制振性を備える銅合金は、イヤホンのハウジングにも適する。本機の場合は、反響や振動を軽減して音の細部までを忠実に再現するという狙いでの採用だ。

ドライバーは13.5mm径のダイナミック型で、多層構造ダイヤフラム(振動板)を採用。異なる振動特性を持つ層を重ね合わせることで、癖が少なく好ましい振動特性を得ているものと思われる。これの前後にフィルターを設置してチューニングし、迫力ある低音や透明感のある中音域を実現しているとのことだ。

イヤホンとしての仕上げも手抜かりがない。ケーブルはフラットタイプでスリット入り。幅と厚みを備えたしっかりとしたフラットケーブルは、絡みにくく、絡んだときにもほぐしやすい。スリットはその点をさらに強化する。なおこのケーブルは1ボタンリモコン&マイク搭載だ。

1ボタン式のマイク付きリモコンがケーブルに備えられている

専用ケースも付属する


イヤーピースはシリコン5サイズに加え、低反発素材を用いたコンプライ2サイズも付属

端子はL字型の3.5mmステレオミニを採用

イヤーピースは、カナル型イヤホンの装着感と音質、遮音性を大きく左右する。本機には一般的なソフトシリコンが5サイズと低反発素材のコンプライが2サイズ付属。多くの方の耳にどれかしらがベストフィットするだろう。

次ページ“Fidelio”「S2」の優れた再現性に迫る

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