公開日 2010/11/26 14:37

まさに“オーディオファン向け”カードの実力 − クリエイティブの最新モデルをレビュー

PCI Express接続の最上位機を聴く
岩井喬
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前回レビューした「Sound Blaster Digital Music Premium HD」に続き、今回は「Sound Blaster」シリーズの原点ともいえるサウンドカードの実力を、“オーディオ向け”を謳う最上位機「Sound Blaster X-Fi Titanium HD」で確認していこう。

「Sound Blaster X-Fi Titanium HD」

PCのサウンド環境を整えるには、一般的にはサウンドカードタイプが主流だ。しかしピュアオーディオファンのあいだでは、「Sound Blaster Digital Music Premium HD」など外付けUSBオーディオの方が、PC内部のノイズの影響を軽減できるなどの理由で有利という見方もある。

もちろん、USBオーディオ機器のサウンドの品位は各方面で認められているわけだが、ノイズ低減対策を施して高音質パーツをふんだんに搭載した、高品位なサウンドカードであれば事情は変わってくる。

サウンドカードはUSBオーディオ機器に比べ、PCに装着する際の手間がかかるなど、導入の手軽さという面ではややハードルが高くなるものの、PC内部にセットできるため省スペースだし、電源もPCに一本化でき、配線もゴチャゴチャしないなど、多くの表面的なメリットがある。

また、本機はPCI Expressで接続するのだが、この拡張スロットは以前のPCIに比べ、大幅に高速かつ大容量のデータ伝送が行える。製品の仕様やデータの種類によっては、USBオーディオより大容量のデータが伝送できることもある。さらに、その余裕ある幅広い帯域により、伝送ロスを低減できる可能性もある。

今回は一般的なWindows7のデスクトップモデルに「Sound Blaster X-Fi Titanium HD」を装着し、試聴を行うことにした。

■オーディオファンに向けて贅沢な仕様を盛り込んだ最上位機

それでは「PCI Express Sound Blaster X-Fi Titanium HD」のプロフィールや機能を紹介していこう。

本製品は「Sound Blaster」シリーズの最上位機にあたる、贅をこらしたモデルだ。直販価格は19,800円。独自の強力なX-Fi Xtreme Fidelityオーディオプロセッサを積み込み、オーディオファンに向けたこだわりの仕様を備えている。なお、音楽だけでなくゲームや映画も含めたエンターテイメント全般に主眼をおいたソリューションでは、拡張ベイつきの「Sound Blaster X-Fi Titanium Fatal1ty Champion Series」も存在する。

基板はケースで覆われており、ノイズの侵入を防いでいる。THXロゴも見える

オペアンプの交換も可能。ただし自己責任となるので注意しよう

カバー付きのボードには高級オーディオ用パーツの数々を投入し、中高域における音場のダイナミクスを向上させたという。これらの各パーツの詳細はメーカーからは明かされていないが、実物を確認する限り、オーディオファンにとってなじみのあるパーツが投入されているのが分かる。その結果、メーカー実測のS/N比が122dBという優れた値を実現。後述するが実際の試聴環境においても、驚くほどクリアでノイズ感のないサウンドを獲得している。

本機の内部回路。端子部には金メッキがふんだんに奢られている

高品位なチップやパーツを数多く採用した

ボードには、一般のオーディオ機器等との接続性を意識してシリーズとして初採用された、RCAライン入出力を搭載。また、ヘッドホン出力、ボイスチャットなどで用いるマイク入力が装備され、ライン入力端子は96kHz/24bit対応の光デジタル入出力も兼用しているので、AVアンプやDACの接続など、発展性が高い点もポイントだ(対応ケーブルが付属する)。また192kHz/24bitに対応しているのもポイントだ。ヘッドホン出力は高級機に多い300Ωのハイインピーダンス・ヘッドホンも楽にドライブできる。

さらに通好みな特徴として、フロント出力部のオペアンプはソケットタイプで、自分で交換して楽しむことも可能だ。ただしオペアンプ交換は補償対象外のため自己責任の上で楽しんでいただきたい。

機能面では、ゲームやDVDビデオ再生時に効果を発揮する『THX TruStudio PCテクノロジー』の採用が特徴的だ。これによりバーチャルサラウンド機能や、MP3ファイルなどで圧縮時に失われるダイナミックレンジを自然に最適化するクリスタライザー、サブウーファーがなくても豊かな低域感が得られるスピーカー、音量差のある音楽を適切なレベルに調整するスマートボリューム、映画の会話を聞き取りやすくするダイアログ・プラスなど、様々な機能が実現している。そのほか『Dolby Digital Live』『DTS Connect』も採用。AC-3やDTSのパススルーも可能なので、AVアンプとの接続にも適している。

またASIO2.0にも対応し、音楽制作環境での活用も可能。さらにPC上で再生中のサウンドと、マイクやラインから入力された音声などの複数ソースをミックスして録音できる再生リダイレクト機能も搭載しているので、動画配信やUSTREAMなどのコンテンツ制作に役立てることもできるだろう。

音声は出力だけでなく入力も可能。様々な用途に活用できる

次ページでは、いよいよ“オーディオ向け”サウンドカードのクオリティを検証する。

次ページ“オーディオ向け”サウンドカードの実力とは?

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