公開日 2025/09/12 19:27

ソニー「Xperia 1 VII」不具合の根本原因は「基板の製造工程」。対策や他モデルへの影響を幹部が説明

再発防止策など詳細を説明
編集部:成藤正宣
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ソニーは、同社フラグシップスマートフォン「Xperia 1 VII」に関するメディア向け説明会を開催。本製品において発生していた不具合、その原因と対応策について、同社モバイルコミュニケーション事業部 事業部長の大島正昭氏から改めて説明が行われた。

ソニー モバイルコミュニケーション事業部 事業部長 大島正昭氏

同社は今年7月4日、Xperia 1 VIIの使用中に電源が落ちる、再起動がかかる、電源が入らないといった事象が発生することを発表。製品の出荷/販売を一時停止するとともに原因究明に取り組み、ソフトウェア・アップデートや不具合が発生した製品の無償交換対応などを行ってきた。その後再発防止策を実施し、8月27日から順次製品販売を開始している。

まずこの度の不具合が生じた大元の原因は、基板の製造工程にあったと大島氏。基板の製造工程にて温度や湿度の変動があり、その影響を受けて基板に不具合が発生したという。

“温度/湿度変動の影響” とは具体的にどのようなものか。典型的な例をあげると、各工程ごとの適切な温度/湿度が保たれていない場合、精密機器にとっての大敵である静電気の発生リスクが高まることが考えられる。もちろん、同社では温度や湿度の管理自体は行っていたのだが、その管理基準が甘かったと大島氏は語る。

この問題に対し、同社ではまず基板製造における管理基準の見直しを図り、温度や湿度の影響を適切に制御する工程を追加した。これにより、温度/湿度の変動に関わらず、安定した基板製造品質を確保できるようになったという。

続いてXperia 1 VIIにおいて、本件の原因が関連する類似の工程や、機能に影響する各設定値の総点検を実施。今後の機種の製造においても、品質管理の強化のため、製品特性や状況に応じた点検体制を構築/運用していく。

さらに、製造工程において、品質に影響するリスク検証/評価を強化する新たな管理体制を構築。すでにXperia 1 VIIの交換用製品や、現在製造している製品において、新管理体制を運用開始しているとのこと。

今回の不具合について大島氏は、製品設計や、どの工場で製造したかは問題ではなく、あくまで製造工程が原因だったと説明。製品の輸送中からユーザーの手元にいたるまで、不具合はどの段階でも発生しうると述べた。ちなみに問題となった製造工程はXperia 1 VIIのみに存在するため、本日発表されたミドルクラスモデル「Xperia 10 VII」など他のモデルには影響はないそうだ。

原因究明の経緯としては、Xperia 1 VIIの発売後、6月末にユーザーからの不具合報告が急増したことを受け、調査を開始。7月4日の段階ではソフトウェア・アップデートで対応可能と見ていたが、さらに解析を続けた結果ハードウェアそのものに原因があると判明し、以降の対応に移ったとしている。

不具合製品の交換対応状況については、各キャリアの協力もあり回収が進んでいるものの、まだ全数回収には至っていないと報告。上述のとおり、この度の不具合はいつどこで発生するか分からず、発生してしまえば最終的に端末の電源が入らなくなり、データ復旧も困難になるため、対象製品の交換を呼びかけていくとした。

大島氏は、この度の不具合の原因究明と対策には同社の総力をあげて取り組んだが、それでもユーザーを待たせてしまったことに謝罪の意を示し、「お客様に多大なご迷惑をおかけしたことを重く受け止め、再び信頼を得られるよう取り組んでいく」とコメント。同時に、ソニー全体にとって重要な「通信」、その基点であるスマートフォン事業には、これからも注力していくと表明した。

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