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公開日 2022/11/15 00:00

NTT、最先端技術展「R&D FORUM」。超低遅延・大容量なネット通信「IOWN1.0」や独自音響「PSZ」技術など披露

11/16 からオンライン開催/プレス向け内覧会レポート
編集部:松永達矢
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日本電信電話株式会社は、同社が2019年より取り組む「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」に基づく研究開発の発表を行なう「NTT R&D FORUM - Road to IOWN 2022」を11月16日(水)から18日(金)までオンライン上で開催する。これに先立ちプレス向けの内覧が開催され、IOWN構想を実現するための主要技術や最先端技術が披露された。

「NTT R&D FORUM - Road to IOWN 2022」一般向け展示はオンラインで開催される

内覧に先駆け、会場では同社代表取締役社長の島田明氏による基調講演を実施。2023年3月よりサービス提供を予定する「IOWN1.0」による、ネットワーク通信のトラフィック増や、消費電力増、ネットワークの遅延などといった課題を解決するビジョンを語った。

日本電信電話株式会社 代表取締役社長 島田明氏

IOWNとは、先進的な光電融合技術を活用したフォトニクス(光)関連技術となっており、ネットワーク通信においては2030年までに電源効率を100倍、伝送容量を125倍、エンドエンド遅延を1/200にしていくことを掲げる。まず、低遅延・大容量化を実現させる「オールフォトニクス・ネットワーク(APN:All-Photonics Network)」をIOWN1.0にて提供する。

その概要としては、ユーザーがエンドツーエンドで光波長を共有する100Gbps(OTU4)専用線となっており、「PPP(Point-to-Point Protocol)」通信にてサービスイン(P2MP形式は今後拡大予定)。遅延に関しては、先記したように従来の1/200、通信容量については「既存の送信機を使用している」とのことから従来比約1.2倍を実現させている。

「IOWN1.0」概要

「IOWN1.0」サービスの特徴。従来比1/200の低遅延を実現している

特長として遅延揺らぎの無い高い通信品質を誇ることから、手術支援ロボットを介した遠隔医療ソリューションや、僅かな遅延も勝敗に影響するeスポーツなどの競技シーンにおいても、遠隔会場間で公平な対戦環境の提供するソリューションが期待できると意気込みを示した。

技術展示は“いま使えるIOWN”にフォーカスを当てた「IOWN Now」、2030年までにIOWNが描くスマート社会を中心に紹介する「IOWN Evolution」、IOWN構想のさらなる進化の礎となる「IOWN Future」からなる3つのタイムラインに沿って展開される。

IOWN Nowのブースでは、今回発表されたAPNサービスにまつわる技術として、一例として挙がった遠隔医療のデモンストレーションを紹介。展示ブース内では(株)メディカロイド製の手術支援ロボット「hinotori」本体と、遠隔操作用のコックピットを配置。それぞれの機器を120kmの光ファイバで接続しながら、遅延時間を僅か1msec以下に抑え、違和感の無い執刀が可能になるといった実例展示が行われた。

株式会社メディカロイド製の手術支援ロボット「hinotori」

このシステムでは、遠隔地でアームを操作する側に向けて、患部を確認するためのヘッドマウントディスプレイ用映像だけでなく、手術室全体を写す非圧縮の8K映像データも同時に伝送。これにより、遠隔操作する側は、ヘッドマウントディスプレイで患部の状態を診ながら、別途ディスプレイに映しだされた全体の状況も確認出来るため「同じ部屋で手術を執り行っている」ような使用感を実現できたという。

会場では操作体験も可能だった

eスポーツでの取り組みについては、展示会場である武蔵野と、そこから離れた秋葉原とを繋いだ通信対戦を実施。さらに、ゲームデータは横須賀に設置したサーバーから飛ばし、対戦相手の映像やマイクでの通話を双方向で繋ぐために多数の通信回線を密に接続。通信速度は各プレーヤーの異なる環境を8.8mm秒と均一にしながら、新たに開発した転送ボードにより、フルHDのHDMI信号を240Hzという高リフレッシュレートでの遠隔地転送を実現させている。

低遅延の通信による遠隔地間の格闘ゲーム対戦デモも

対戦デモンストレーションは、カプコンより発売される格闘ゲーム『STREET FIGHTER V CHAMPION EDITION』を使用。プレーヤーとしてプロゲーミングチームBurning Core所属の立川選手が武蔵野から、遠隔地の秋葉原会場からは同チーム所属のかずのこ選手が参加。プレイ前には、お互いに対戦相手との通信環境の違いによる通信遅延や、オンライン大会における通信のラグによって「普段の練習の成果が出しづらいのも悩みの一つ」だとコメント。日本国内のみに絞っても北海道や沖縄に住まうユーザーとの対戦は「遅延が目に見えてわかる」といったシチュエーションもあるとのことだ。

Burning Core所属のかずのこ選手。秋葉原からのリモート参加ながら映像、音共に非常にシームレスな配信を実現

「隣で対戦しているかのような雰囲気で楽しめた」と高品質な通信環境を評価する立川選手

対戦に入る前からではあるが、上記のやり取りも映像と音声が非常にシームレスに伝送されており、IOWN APNによる伝送性能の高さをアピール。『ストV』の対戦においても、対戦者、ゲームデータがそれぞれ遠隔間の通信でありながらもスムーズに、公平な環境でのオンライン対戦が実施された。

勝負はコーリンを使用する立川選手(かずのこ選手はいぶきを使用)の勝利となったが、立川氏はその試合内容よりも「隣で対戦しているかのような雰囲気で楽しめた」と高品質な通信環境を評価。かずのこ選手も「真横で友人と対戦するような気分でやれた。ゲームの楽しさも高まると思う」とコメント。eスポーツシーンにおけるIOWN APN通信に大きな期待を寄せていた。

その他の展示として、パーソナライズドサウンドゾーン(PSZ技術)に関する技術展示なども実施。11/9にグループ会社のNTTソノリティより、同技術を搭載したイヤホン2機種が発表されたのも記憶に新しい。

「nwm MWE001」

「nwm MBE001」

展示ブースには、搭載機のドライバーが発する音波(正相)に対し、逆相の音波を当てることで音波同士を打ち消し、オープン型の構造でありながら音漏れが非常に少ないイヤホン「nwm MWE001」「nwm MBE001」を用意。ハンズオン体験が出来るようになっていた。

車載所望音透過型ANCの概要

会場ではANCの効きを体験することが出来るデモンストレーションを用意

また、PSZ技術を応用した新たなソリューションとして、乗用車への搭載デモンストレーションを会場内で実施。実際に高速道路を走行した際に発生するロードノイズを車室内で再生し、ヘッドレストに備えられたスピーカーユニットによってロードノイズを抑制するアクティブノイズキャンセリング技術を披露した。また、緊急車両のサイレン音のみをAIに検知させて、密閉された車室内に透過させるヒアスルー機能も試すことが出来た。

ヘッドレストにPSZ技術を応用したスピーカーユニットを装備

このように車の運転をサポートするような側面でも音の技術は有用だと同ブースのスタッフはコメント。各メーカーへの採用を目標に、日々研究開発を進めているとアピールした。

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