公開日 2022/07/21 11:33

使用者の表情を“ソナー”で読み取る、イヤホン型デバイス「EarIO」【Gadget Gate】

ビデオ会議などのアバターに反映できる
Munenori Taniguchi
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
コーネル大学の研究者が、使用者の顔の動きをリアルタイムで読み取りスマートフォンに送信、ビデオ会議などのアバターに反映させられるイヤホン型デバイス「EarIO」を開発している。

Image:Ke Li/Cornell University

EarIOは、内蔵するスピーカーから使用者の顔に向けて音を発し、その反響のしかたをディープラーニングによって見分けることで、表情を再現するという仕組みになっている。

コーネル大学といえば、2020年にはオーバーヘッド型ヘッドホンのイヤーカップ部分にカメラを備え、頬の輪郭から表情を読み取ってアバターに再現するデバイスを開発していた。しかし、研究チームのひとりで情報科学助教授のCheng Zhang氏によれば、「カメラを使って顔の動きを追跡しようとすると、どうしても大きく、重く、エネルギー消費量も大きくなってしまうため、ウェアラブルには向かない」という。また光学的なカメラを使用すると、使用者の個人的な情報に結びつくものが多く写り込んでしまう問題もあった。

その点、現在取り組んでいるEarlOの顔トラッキング方式では、音響を利用することで、プライバシーを確保しつつ、省エネ、低コストそして快適さを提供できるようになったという。とくにエネルギーはカメラに比べて、1/25の消費量で動作させることができるようになったとのことだ。今回の発表時点では、EarIOは内蔵バッテリーで約3時間使用できるが、将来的にはさらに駆動時間を延長したいとしている。

16人を対象に試験を行ったところ、EarIOは使用者が座っているとき、また歩いているときも問題なく動作することがわかった。このとき、風や道路の騒音や多少の背景音は、表情の読み取りには影響しなかったとのこと。ただし、センサーの検知感度が高すぎるといくつかの問題が発生する可能性があったという。

「センサーは非常に微妙な動きを追跡できるのだが、周囲で何らかの音が発生したり、頭のわずかな動きであってもそれを拾ってしまい、具合が悪かった」と、研究チームのひとりRuidong Zhang氏は述べており、研究チームでは今後、周囲の騒音や雑音を遮断する機能を向上させたいとしている。

また今回の発表時点では、EarIOは使用者の表情を学習するために、あらかじめ32分間にわたり顔データの収集を行わなければならない。これに関しても研究チームは、いわゆるプラグ・アンド・プレイデバイスのように、装着してすぐに使い始められるようにしたいと考えているそうだ。

この技術が一般でも利用可能になれば、たとえばウェブカメラの付いていないデスクトップPCでも、ビデオ会議にアバターで参加できるようになるだろう。またVtuberなども、カメラやモーションキャプチャーでなく、イヤホンを身に付けるだけでアバターを動かすことが可能になるかもしれない。

Source: ACM Digital Library
via: Cornell Chronicle, Engadget

テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」のオリジナル記事を読む

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 BRAVIAが空飛ぶ時代? 動画コンテンツの楽しみ方に押し寄せた大きな変化を指摘するソニーショップ店長。超大画面はさらに身近に
2 ネットワークオーディオに、新たな扉を開く。オーディオ銘機賞の栄えある“金賞”、エソテリック「Grandioso N1」の実力に迫る
3 Nothing、最大40%オフのウィンターセール開催
4 LG、世界初のDolby Atmos FlexConnect対応サウンドバー「H7」。オーディオシステム「LG Sound Suite」をCESで発表へ
5 「ゴジラAR ゴジラ VS 東京ドーム」を体験。目の前に実物大で現れる“圧倒的ゴジラ”の臨場感
6 衝撃のハイコスパ、サンシャインの純マグネシウム製3重構造インシュレーター「T-SPENCER」を試す
7 AVIOT、“業界最小クラス”のANC完全ワイヤレス「TE-Q3R」。LDAC、立体音響にも対応
8 ソニー「WH-1000XM5」に“2.5.1”アップデート。Quick AccessがApple Music/YouTube Musicに対応
9 「HDR10+ ADVANCED」が正式発表。全体的な輝度向上、ローカルトーンマッピングなど新機能も
10 クリプトン、左右独立バイアンプ機構のハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-55HG」新色 “RED”
12/19 11:02 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX