公開日 2017/07/12 10:00
音はワイヤレスが主流に、では映像は? 半導体メーカーに聞いた将来像
<山本敦のAV進化論 第138回>
米ラティス・セミコンダクターが、Wireless HD規格に準拠した4K/30p映像のワイヤレス伝送に対応するモジュールのリファレンスキットを発表した。ラティス日本法人のキーパーソンを訪ねてWireless HDの現状をうかがい、今後の4K対応を含むワイヤレスインターフェースの将来像を考えてみた。
■ラティスが発表した4K/30p対応のWireless HDモジュールとは
Wireless HDは60GHz帯(ミリ波)を使った高速無線伝送技術だ。生みの親は2004年に設立された米SiBEAM社だが、2011年にHDMIやMHLなどオーディオ・ビジュアル関連のデジタルインターフェースを手がける米Silicon Image社が同社を買収。今ではSilicon Image社を買収したラティスの傘下にある。
Wireless HDは誕生の頃から「Beyond HDMI」をスローガンに、HDMIケーブルによる高速・大容量のデータ伝送をワイヤレス化できる技術として注目を集めてきた。オーディオ・ビジュアル機器では、エプソンのホームプロジェクター“ドリーミオ”「EH-TW8300W」がWireless HDの技術を採用している。
現在はSoCの省電力化、小型化を推し進めた最新バージョン「Gen3」が引き続きブラッシュアップされているが、今回、ラティスは新しいモジュール「MOD6320-T」(送信側)、「MOD6321-R」(受信側)をメーカーや開発者向けのリファレンスキットとして発表した。近日中に出荷もスタート予定だ。
大きな特徴は4K/30p、4K/24pまでの映像信号がワイヤレスで送受信できること。デバイスメーカーはこのモジュールを製品に組み込むことで、4K/30p映像をワイヤレスで送受信できるプロジェクターやSTBなど映像機器を、開発にかかる期間とコストの負担を圧縮しながらつくれるようになる。
ただし、このモジュールには性能の限界もある。4K/60pのハイフレームレートや4K/HDRなど、Ultra HDブルーレイに収録できるハイスペックな映像の伝送には対応していないのだ。
モジュールに内蔵されているSiBEAMのコンパニオンチップ「Sil9396」は、4K/30p/4:4:4(300MHzのHDMI信号)の映像がソース機器から入力された場合、映像の色信号に独自の変換処理をかけて4:2:0相当(150MHzのHDMI信号)にいったんマッピングし直してからトランスミッター「MOD6320-T」に無線で伝送。この信号をレシーバー「MOD6321-R」側のSil9396が再び4K/30p/4:4:4の信号に復元してディスプレイなどに送り込む。
今回ラティスが発表したモジュール「MOD6320-T/MOD6321-R」は米国のFCC、欧州のCE、中国のSRRCをはじめとする世界各国の無線通信認証を取得しており、各国の機器メーカーはモジュールを組み込むことでWireless HD対応の無線映像機器を比較的ローコストで開発、販売できるようになる。
今後4K/30p・24pまでの映像を無線伝送できるAV機器が一気に増える期待も膨らむが、一方で日本ではモジュールに加えて、これを組み込んだ機器についても国内の無線設備の認証試験機関であるTELECの規定に基づいた認証を取得する必要がある。このことが、国内でのWireless HD対応機器の普及にブレーキをかける不安もある。
■過去にはソニーやパナソニックもWireless HD対応製品を発表してきた
Wireless HDの技術が誕生以来、これまでどんな製品が商品化されてきたのだろうか。Wireless HD対応製品の歩みを振り返ってみよう。
メジャーどころでは2009年にパナソニックが発表した薄型テレビ“VIERA”「Zシリーズ」がある。チューナー/STB部とセパレート設計としたことで、ディスプレイ部の薄型化を図って壁掛け設置もできる魅力を謳った当時のVIERAのフラグシップだった。Wireless HDの技術は、ディスプレイとチューナーの間で非圧縮の1080p映像や音声信号を送るために活用された。
Wireless HD技術は、送信機から受信機まで距離が約10m離れていても、安定した信号伝送ができると言われている。SiBEAM社が開発したビームステアリング技術(無線信号の指向性をコントロールして安定性を高める技術)により、送受信機の間に遮蔽物がある場合も部屋の壁反射などを利用して信号を送り届けることができる。
ちなみにWireless HDでは無線信号伝送のレイテンシー(遅延)も5ミリ秒という高性能を実現している。同じ60GHz帯を使う無線伝送技術のWiGig(802.11ad)の遅延性能とされている10〜15ミリ秒に比べるとその差は明白。ホームシアターで映画を楽しむ際のリップシンク、あるいはビデオゲームのコンテンツ表示などで優位性が見えてくる。
ソニーもWireless HD対応の商品を発売している。ヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T3W」だ。頭部に装着するHMDと、映像処理やI/O端子を備えるプロセッサーユニットの間の信号伝送を無線化している。最大1,280×720の映像と音声の非圧縮・低遅延伝送に加えて、60GHz帯の電波を使う製品であるため、Wi-Fiの2.4GHz/5GHzを利用する無線機器との干渉が発生しないことをメリットとして掲げていた。
■ラティスが発表した4K/30p対応のWireless HDモジュールとは
Wireless HDは60GHz帯(ミリ波)を使った高速無線伝送技術だ。生みの親は2004年に設立された米SiBEAM社だが、2011年にHDMIやMHLなどオーディオ・ビジュアル関連のデジタルインターフェースを手がける米Silicon Image社が同社を買収。今ではSilicon Image社を買収したラティスの傘下にある。
Wireless HDは誕生の頃から「Beyond HDMI」をスローガンに、HDMIケーブルによる高速・大容量のデータ伝送をワイヤレス化できる技術として注目を集めてきた。オーディオ・ビジュアル機器では、エプソンのホームプロジェクター“ドリーミオ”「EH-TW8300W」がWireless HDの技術を採用している。
現在はSoCの省電力化、小型化を推し進めた最新バージョン「Gen3」が引き続きブラッシュアップされているが、今回、ラティスは新しいモジュール「MOD6320-T」(送信側)、「MOD6321-R」(受信側)をメーカーや開発者向けのリファレンスキットとして発表した。近日中に出荷もスタート予定だ。
大きな特徴は4K/30p、4K/24pまでの映像信号がワイヤレスで送受信できること。デバイスメーカーはこのモジュールを製品に組み込むことで、4K/30p映像をワイヤレスで送受信できるプロジェクターやSTBなど映像機器を、開発にかかる期間とコストの負担を圧縮しながらつくれるようになる。
ただし、このモジュールには性能の限界もある。4K/60pのハイフレームレートや4K/HDRなど、Ultra HDブルーレイに収録できるハイスペックな映像の伝送には対応していないのだ。
モジュールに内蔵されているSiBEAMのコンパニオンチップ「Sil9396」は、4K/30p/4:4:4(300MHzのHDMI信号)の映像がソース機器から入力された場合、映像の色信号に独自の変換処理をかけて4:2:0相当(150MHzのHDMI信号)にいったんマッピングし直してからトランスミッター「MOD6320-T」に無線で伝送。この信号をレシーバー「MOD6321-R」側のSil9396が再び4K/30p/4:4:4の信号に復元してディスプレイなどに送り込む。
今回ラティスが発表したモジュール「MOD6320-T/MOD6321-R」は米国のFCC、欧州のCE、中国のSRRCをはじめとする世界各国の無線通信認証を取得しており、各国の機器メーカーはモジュールを組み込むことでWireless HD対応の無線映像機器を比較的ローコストで開発、販売できるようになる。
今後4K/30p・24pまでの映像を無線伝送できるAV機器が一気に増える期待も膨らむが、一方で日本ではモジュールに加えて、これを組み込んだ機器についても国内の無線設備の認証試験機関であるTELECの規定に基づいた認証を取得する必要がある。このことが、国内でのWireless HD対応機器の普及にブレーキをかける不安もある。
■過去にはソニーやパナソニックもWireless HD対応製品を発表してきた
Wireless HDの技術が誕生以来、これまでどんな製品が商品化されてきたのだろうか。Wireless HD対応製品の歩みを振り返ってみよう。
メジャーどころでは2009年にパナソニックが発表した薄型テレビ“VIERA”「Zシリーズ」がある。チューナー/STB部とセパレート設計としたことで、ディスプレイ部の薄型化を図って壁掛け設置もできる魅力を謳った当時のVIERAのフラグシップだった。Wireless HDの技術は、ディスプレイとチューナーの間で非圧縮の1080p映像や音声信号を送るために活用された。
Wireless HD技術は、送信機から受信機まで距離が約10m離れていても、安定した信号伝送ができると言われている。SiBEAM社が開発したビームステアリング技術(無線信号の指向性をコントロールして安定性を高める技術)により、送受信機の間に遮蔽物がある場合も部屋の壁反射などを利用して信号を送り届けることができる。
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