公開日 2016/07/08 10:00
デザインと音質を両立する「B&O PLAY」のものづくりとは?企画担当&セシリエ・マンツ氏にインタビュー
新製品「A1」「H5」誕生背景も訊く
デンマークのAV機器メーカー「Bang & Olufsen」のディフュージョンブランド「B&O PLAY」から、コンパクトで持ち運びやすい円形Bluetoothスピーカー「A1」と、ネックバンド式のBluetoothイヤホン「H5」が登場した。
「A1」はブランド史上最もコンパクトなサイズを実現し、いつでもどこでも持ち運べる“ソーシャルスピーカー”。外観から想像する以上のボリュームある低音再生が可能で、最大24時間連続駆動というバッテリー性能も特徴だ(製品詳細)。
「H5」はハウジングに埋め込んだマグネットを活用し、首にかけて持ち運びやすく、充電もマグネット式チャージングキューブにくっつけるだけでOKなのがユニークな製品。アプリを使い、楽曲にあった最適なサウンドに調整することもできる(製品詳細)。
外観もサウンドも高品位な製品づくりを行っている同社。B&O PLAYブランドのコンセプトや新製品にこめたこだわり、機能と音質、デザインの関係について、同社グローバル・プロダクトマネージャーのソフィー・H・キルドセン氏、そして「A1」のデザインを担当したセシリエ・マンツ氏にお話しをうかがった。〈文中敬称略〉
―― まずは「B&O PLAY」というブランドの特徴について、改めて教えていただけますか?
ソフィー:私たちBang & Olufsenは「90年の歴史を持つスタートアップ企業」だと考えています。これまで培ってきた技術をもとに、いい音、いい商品をみなさんにお届けしたいというのが願いです。
B&O PLAYがターゲットとしているのは「若くてクリエイティブなプロフェッショナル」。アクティブな方々にとって製品のポータビリティは重要になります。細部までこだわりを持ち、デザイン性を重要視する方も多いですから、プレミアムな素材を使った美しい外観、そして良い音はマストです。
―― 現在の市場トレンドと成長領域について、「ヘッドホン」「ワイヤレス」「ネットワークスピーカー」と分析されているようです。
ソフィー:ここ数年でヘッドホンとBluetoothスピーカーのラインナップを増やしてきたので、ネットワークスピーカーも強化していきたいですね。今後もこの3つの領域には引き続き力を入れていくつもりです。
―― セシリエさんはこれまでに「Beolit15」や「A2」などの製品を手掛けていらっしゃいます。デザインのインスピレーションはどんなところから湧いてくるのでしょう。
セシリエ:そうですね…まずは「それがどんな製品なのか」ということからでしょうか。その機能上、何が大事なのかを考えることからスタートします。アイディアは天から突然降りてくるものではなく、何度も何度もスケッチしたりモデルを作ったりの繰り返しなんです。
―― B&Oと一緒に製品をつくるというのはどんな体験でしたか。
セシリエ:最初オファーがあったときは驚きました。何せ国宝級の職人が手掛けているブランドですから、受けていいのか最初はちょっと迷ったんです。数年前までB&O製品はどちらかというと男性的なイメージのものが多かったですし。
―― そんななかご自身は女性として、多くの方に受け入れられる製品を作るためにどんなことをされましたか?
セシリエ:引き受ける際に色々交渉したんです。たとえば「黒い製品でなければダメならやりません」とか。それで色々好きにやっていいという了承をもらえたので、製品が前に進むための正しい方向を自由に選ぶことができました。
たとえば「A1」の裏面の樹脂を使った部分はライトグレーですが、以前のB&Oだったら黒になっていたはずです。でも今回は違いました。「A1」はポータビリティを重視した製品ですから、女性から見ても魅力的なデザインにしたかったんです。ここを変えるのは、簡単なようで大きなステップでした。外観がかなり違ってきますから。
―― 「A1」のデザインは、フォルム的にも素材的にもユニークだと感じています。
セシリエ:「A1」のことを私たちは「BENTO BOX」と呼んでいるんです。制作にあたってこれまでの歴史を紐解いてみたら、1950年代のB&O製品で革のストラップを使っているものがあったんですね。これは持ち運びにも非常に便利では、ということで今回も採用しました。
ソフィー:プレミアムな、本物の素材を使うことは私たちのモットーのひとつです。実際に手にされたら、手触りや質感を気に入っていただけると思います。もちろんサウンドも、このサイズからは想像できないほどの低音、驚くほどの音量が出るんですよ。
―― このサイズ感は、企画当初から決まっていたのでしょうか?
セシリエ:いえ、最初は「Bluetoothポータブルスピーカー」としか聞かされていませんでした。そこからだいたいの体積を決めて、20種類くらいの形状のうちどれが一番いいかを決めていきました。そもそも最初から丸いかたちにしようとしていたわけではありませんでしたね。
―― 今回は小型化を目指したとのことで、コンパクトさを維持しつつ様々なパーツを詰めこむのに苦労されたのではないでしょうか。
セシリエ:そうですね。「このサイズだと入れたい部品が入らない!」「なんとか収めて!」なんてやりとりもありました。お互い無理を言い合っていると、誰かからそれをクリアする良いアイディアが出てきたりするんです。それゆえ「A1」は、他のどの会社もできなかった次のステップに進めたんだと思っています。でなければ今よりも一回りほど大きいものになっていたでしょうね。
―― 「A1」の技術的な部分について教えてください。ポータブルスピーカーということで、屋外で使用する方も多いと思います。しかしIPX認証等は取得されていませんね。これは何故ですか?
ソフィー:ええ、防水ではありません。防水対応にするにはコネクター部分を全部シーリングしないといけませんから、デザインが変わってしまいます。
そして最も大きな理由は「要らないフィーチャーを付け足したくなかった」ということです。私たちの想定した使用シーンは、ビーチでブランケットの上に置いて聴いたり、自転車にひっかけて森のなかで使ったり……というもの。そうしたシーンで十分な機能を備えた製品であればいいと思うのです。
―― それは「H5」についても同じ考え方でしょうか?
ソフィー:その通りです。IPX認証は取得していませんが、水や汗がかかっても問題なく動くようテストしています。もちろん、水に浸けたりしたらダメですよ!
―― NFCなどの機能についても「必要ない」という判断だったのでしょうか。
ソフィー:そうです。元々B&O PLAY製品のBluetoothペアリングはとてもシンプルで簡単ですから。フィーチャーを足せば、素材やサイズなど、必ず何かのかたちになって影響がでます。ですからしっかりと見極めなくてはいけません。
―― 「H5」についてですが、充電を行うチャージングキューブが非常にユニークですよね。このアイディアはどこから生まれたのでしょうか?
ソフィー:私たちは製品を作るときにまず「装着性」と「サイズ」を考えるんです。特にH5はインイヤータイプのイヤホンなので、そのふたつはとても重要ですよね。
それで、通常ヘッドホンと同じmicroUSB経由での充電方法だと、本体のサイズが大きくなってしまうな、と考えたんです。サイズが変わるとバッテリーの大きさも変わるし、音も変わってしまいます。だからチャージングキューブは、デザイン性を損なわず、音質もそのままに充電の効率性を確保できる、素晴らしいアイディアだと思っています。付属のもののほか、別売りもしますので、ひとつは持ち歩き、もうひとつはオフィスや家に置いておくなんてこともできますよ。
―― 日本市場についてどう捉えていらっしゃいますか?
セシリエ:日本のデザインやクラフトマンシップは、シンプルで自然に敬意を払うという点でスカンジナビアンデザイン、そしてB&Oと共通するものがあると思うんです。私自身、尊敬する日本のデザイナーは大勢いますし、日本には数え切れないくらい来ていて大好きな国です。
ソフィー:デザイン、そしてクオリティを理解してくれる市場だと感じています。そこにB&O PLAY製品はぴったりフィットするのではないでしょうか。今後はブランドをもっと知っていただくこと、そして何よりみなさんに喜んでいただける製品を作り続けていくことが重要だと考えています。
―― 今後の製品も楽しみにしています。有り難うございました。
「A1」はブランド史上最もコンパクトなサイズを実現し、いつでもどこでも持ち運べる“ソーシャルスピーカー”。外観から想像する以上のボリュームある低音再生が可能で、最大24時間連続駆動というバッテリー性能も特徴だ(製品詳細)。
「H5」はハウジングに埋め込んだマグネットを活用し、首にかけて持ち運びやすく、充電もマグネット式チャージングキューブにくっつけるだけでOKなのがユニークな製品。アプリを使い、楽曲にあった最適なサウンドに調整することもできる(製品詳細)。
外観もサウンドも高品位な製品づくりを行っている同社。B&O PLAYブランドのコンセプトや新製品にこめたこだわり、機能と音質、デザインの関係について、同社グローバル・プロダクトマネージャーのソフィー・H・キルドセン氏、そして「A1」のデザインを担当したセシリエ・マンツ氏にお話しをうかがった。〈文中敬称略〉
―― まずは「B&O PLAY」というブランドの特徴について、改めて教えていただけますか?
ソフィー:私たちBang & Olufsenは「90年の歴史を持つスタートアップ企業」だと考えています。これまで培ってきた技術をもとに、いい音、いい商品をみなさんにお届けしたいというのが願いです。
B&O PLAYがターゲットとしているのは「若くてクリエイティブなプロフェッショナル」。アクティブな方々にとって製品のポータビリティは重要になります。細部までこだわりを持ち、デザイン性を重要視する方も多いですから、プレミアムな素材を使った美しい外観、そして良い音はマストです。
―― 現在の市場トレンドと成長領域について、「ヘッドホン」「ワイヤレス」「ネットワークスピーカー」と分析されているようです。
ソフィー:ここ数年でヘッドホンとBluetoothスピーカーのラインナップを増やしてきたので、ネットワークスピーカーも強化していきたいですね。今後もこの3つの領域には引き続き力を入れていくつもりです。
―― セシリエさんはこれまでに「Beolit15」や「A2」などの製品を手掛けていらっしゃいます。デザインのインスピレーションはどんなところから湧いてくるのでしょう。
セシリエ:そうですね…まずは「それがどんな製品なのか」ということからでしょうか。その機能上、何が大事なのかを考えることからスタートします。アイディアは天から突然降りてくるものではなく、何度も何度もスケッチしたりモデルを作ったりの繰り返しなんです。
―― B&Oと一緒に製品をつくるというのはどんな体験でしたか。
セシリエ:最初オファーがあったときは驚きました。何せ国宝級の職人が手掛けているブランドですから、受けていいのか最初はちょっと迷ったんです。数年前までB&O製品はどちらかというと男性的なイメージのものが多かったですし。
―― そんななかご自身は女性として、多くの方に受け入れられる製品を作るためにどんなことをされましたか?
セシリエ:引き受ける際に色々交渉したんです。たとえば「黒い製品でなければダメならやりません」とか。それで色々好きにやっていいという了承をもらえたので、製品が前に進むための正しい方向を自由に選ぶことができました。
たとえば「A1」の裏面の樹脂を使った部分はライトグレーですが、以前のB&Oだったら黒になっていたはずです。でも今回は違いました。「A1」はポータビリティを重視した製品ですから、女性から見ても魅力的なデザインにしたかったんです。ここを変えるのは、簡単なようで大きなステップでした。外観がかなり違ってきますから。
―― 「A1」のデザインは、フォルム的にも素材的にもユニークだと感じています。
セシリエ:「A1」のことを私たちは「BENTO BOX」と呼んでいるんです。制作にあたってこれまでの歴史を紐解いてみたら、1950年代のB&O製品で革のストラップを使っているものがあったんですね。これは持ち運びにも非常に便利では、ということで今回も採用しました。
ソフィー:プレミアムな、本物の素材を使うことは私たちのモットーのひとつです。実際に手にされたら、手触りや質感を気に入っていただけると思います。もちろんサウンドも、このサイズからは想像できないほどの低音、驚くほどの音量が出るんですよ。
―― このサイズ感は、企画当初から決まっていたのでしょうか?
セシリエ:いえ、最初は「Bluetoothポータブルスピーカー」としか聞かされていませんでした。そこからだいたいの体積を決めて、20種類くらいの形状のうちどれが一番いいかを決めていきました。そもそも最初から丸いかたちにしようとしていたわけではありませんでしたね。
―― 今回は小型化を目指したとのことで、コンパクトさを維持しつつ様々なパーツを詰めこむのに苦労されたのではないでしょうか。
セシリエ:そうですね。「このサイズだと入れたい部品が入らない!」「なんとか収めて!」なんてやりとりもありました。お互い無理を言い合っていると、誰かからそれをクリアする良いアイディアが出てきたりするんです。それゆえ「A1」は、他のどの会社もできなかった次のステップに進めたんだと思っています。でなければ今よりも一回りほど大きいものになっていたでしょうね。
―― 「A1」の技術的な部分について教えてください。ポータブルスピーカーということで、屋外で使用する方も多いと思います。しかしIPX認証等は取得されていませんね。これは何故ですか?
ソフィー:ええ、防水ではありません。防水対応にするにはコネクター部分を全部シーリングしないといけませんから、デザインが変わってしまいます。
そして最も大きな理由は「要らないフィーチャーを付け足したくなかった」ということです。私たちの想定した使用シーンは、ビーチでブランケットの上に置いて聴いたり、自転車にひっかけて森のなかで使ったり……というもの。そうしたシーンで十分な機能を備えた製品であればいいと思うのです。
―― それは「H5」についても同じ考え方でしょうか?
ソフィー:その通りです。IPX認証は取得していませんが、水や汗がかかっても問題なく動くようテストしています。もちろん、水に浸けたりしたらダメですよ!
―― NFCなどの機能についても「必要ない」という判断だったのでしょうか。
ソフィー:そうです。元々B&O PLAY製品のBluetoothペアリングはとてもシンプルで簡単ですから。フィーチャーを足せば、素材やサイズなど、必ず何かのかたちになって影響がでます。ですからしっかりと見極めなくてはいけません。
―― 「H5」についてですが、充電を行うチャージングキューブが非常にユニークですよね。このアイディアはどこから生まれたのでしょうか?
ソフィー:私たちは製品を作るときにまず「装着性」と「サイズ」を考えるんです。特にH5はインイヤータイプのイヤホンなので、そのふたつはとても重要ですよね。
それで、通常ヘッドホンと同じmicroUSB経由での充電方法だと、本体のサイズが大きくなってしまうな、と考えたんです。サイズが変わるとバッテリーの大きさも変わるし、音も変わってしまいます。だからチャージングキューブは、デザイン性を損なわず、音質もそのままに充電の効率性を確保できる、素晴らしいアイディアだと思っています。付属のもののほか、別売りもしますので、ひとつは持ち歩き、もうひとつはオフィスや家に置いておくなんてこともできますよ。
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