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公開日 2026/06/15 06:35
映画『Michael/マイケル』公開記念

マイケル・ジャクソンの超人的パフォーマンスを映像で楽しむ。ブカレスト&ウェンブリーのライブ映像は必見!

山之内 正

音楽とダンスを極めた唯一無二の存在


音楽の革新性とダンスの超人的パフォーマンス。どちらか一方ではなく、同時に2つの領域で高みに到達したという点で、マイケル・ジャクソンは唯一無二のアーティストだった。


その存在の大きさを再認識したのは、以前ロンドンで観た「MJ ザ・ミュージカル」の公演がきっかけだった。ジャクソン5時代から同世代の音楽ファンの一人として接してきたので、マイケルの半生を再現した舞台はとても懐かしかったが、「MJ ザ・ミュージカル」の舞台に感動した理由はそれだけではない。



2025年5月の渡英時に、ロンドン「Prince Edward Theatre」にて「MJ ザ・ミュージカル」を鑑賞


舞台に接する1年ほど前、ミュージカル公演と共通のメンバーが録音した音源を聴き、演奏のキレの良さに感服。それを受けて見た実際の公演では、リズムの躍動と身体の動きが相乗効果を生み、耳と目への刺激が見事にシンクロ、ドーパミンの分泌量が一気に増えた。


見るべき価値ある2つのライヴ映像


マイケルが作り出した音楽と身体表現には普遍性があるが、6月12日に公開された映画『Michael/マイケル』を見ると、その先進性にも思いが至る。現代の視点で見るからこそ、非凡な非凡な存在であったことがよくわかるのだ。


映画をきっかけにマイケルの身体表現の次元の高さに興味を持ったら、どうしても見ておきたい映像作品がいくつかある。


現代の音楽ファンはCDやストリーミングで容易にマイケル・ジャクソンの功績に接することができるが、音源に比べると彼が残した映像は意外に限られている。


「Thriller」のMVがあまりに有名なので無数の映像が残されていると勘違いしがちだが、膨大な観客を動員したツアーの公式ライヴは生前に発表された1992年の『ライヴ・イン・ブカレスト』のみ。1988年に行われたロンドンでのライヴ映像『ライヴ・アット・ウェンブリー』はマイケルが亡くなった後にようやく発売された。



マイケル・ジャクソンのライヴ映像として残されている『ライヴ・イン・ブカレスト』と『ライヴ・アット・ウェンブリー』。いずれもDVDのみ


そのほか、生前最後のリハーサル映像などをまとめた『This Is It』、自ら製作したミュージカル映画『MOONWALKER』がパッケージメディアで入手できるが、20世紀後半に活躍したスーパースターとしては映像作品の数が少ないのはいかにも残念だ。



 『This Is It』と『MOONWALKER』。DVDならびにBlu-rayで入手できる


しかも前述の2つのライヴは、HD収録が一般化する前の1990年前後の公演なので、当時のビデオ機材で収録されたSD映像しか残っていない。残念ながら、画質はあまり良くないのだ。


だが、その制約を超えて、この2つのライヴ映像は見るべき価値がある。マイケルのファンかどうかは関係ない。前人未到の表現力と、現代の音楽シーンにつながる圧倒的なパフォーマンス。それを実感するだけでも見る価値がある。というより、クリエイティブな表現に関心があるなら、必見だ。


『Dangerous』ツアーの一環として行われたブカレストのライヴは、ルーマニアが民主化された数年後に行われた待望の公演で、マイケルが登場する前から観客は極度の興奮に包まれている。奈落から跳ね上がる「トースター」で登場した後、身じろぎせず2分間立ち尽くすマイケル。それだけで観客は興奮を通り越して沸騰状態。そのテンションが最後まで切れ目なく持続する。


「Beat It」ではクレーンで宙を舞うものの、舞台の仕掛けはシンプルでストレート。マイケル自身の歌唱と演技、そしてダンスにすべてがかかっている。休むことなく歌い動き続ける集中力の強さと強靭な身体能力に舌を巻き、かのフレッド・アステアをうならせたムーンウォークのなめらかな動きなど、ライヴならではの高揚が生む異次元のパフォーマンスも目に焼き付く。


命がけで歌うマイケルの熱量に圧倒


ブカレストの4年前、『BAD』ツアーのなかで収録された『ライヴ・アット・ウェンブリー』は、公演のクライマックスが『Michael/マイケル』のなかで再現されているので、映画とオリジナルを見比べる楽しみもある。映画で見せるジェファー・ジャクソンの渾身のパフォーマンスも必見だが、文字通り命懸けで歌い、踊るマイケル本人の熱量の高さは圧巻だ。


マイケルが主導した振り付けと舞台の演出は主役のマイケルに絡むダンサーたちの動きにも強いテンションをもたらし、BTSに代表される現代のグループダンスが見せる一体感と立体的な躍動を先取りしていることに気付く。40年近く前のステージでここまでの完成度に到達していたのかと、思わずうならされること必至だ。


アンコールで歌う「Man In the Mirror」の熱唱まで約2時間。見始めたら最後まで止まらないし、興奮が一瞬たりとも緩まない。画質が云々という話をしたが、それを意識するのは最初の瞬間だけだ。


映画では『ライヴ・アット・ウェンブリー』のライヴ音声を映像に被せて使っているほどなので、DVDやYoutubeでも音は良い。何よりマイケルの真摯な歌唱に心を強く動かされる。


映画『Michael/マイケル』


監督:アントワーン・フークア(『イコライザー』シリーズ、『トレーニング デイ』)
脚本:ジョン・ローガン(『アビエイター』『グラディエーター』)
製作:グレアム・キング(『ボヘミアン・ラプソディ』)、ジョン・ブランカ、ジョン・マクレイン
出演:ジャファー・ジャクソン、ジュリアーノ・ヴァルディ、コールマン・ドミンゴ、ニア・ロング、ケンドリック・サンプソン、マイルズ・テラー、ローラ・ハリアー、ケイリン・ダレル・ジョーンズ他
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ 映倫:G



映画『Michael/マイケル』、大ヒット上映中!  (R)TM & (C) 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.


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