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公開日 2026/08/18 06:30
サブスクも直接受信、高品位に楽しめる

LANに組み込み、音も利便性も向上!HIFIMANの“Wi-Fiヘッドホン”「HE1000 WiFi」「Arya WiFi」の実力に迫る

岩井 喬

平面磁界ヘッドホンの定番ブランドとして実績を重ねるHIFIMANから、“Wi-Fiヘッドホン” 「HE1000 WiFi」「Arya WiFi」が登場した。


これまでWi-Fiヘッドホンというと、送信用のドングルを端末につけて、端末とヘッドホンとを1対1で接続するタイプが多かったが、HIFIMANは異なる。LANの中にヘッドホンを接続することで、Qobuz Connectなどサブスクを直接受信して高品位に再生するヘッドホンを開発したのだ。


リスニングスタイルに新風を吹き込むその実力を、VGP審査員の岩井 喬氏が詳しくチェックする。



「HE1000 WiFi」オープン価格(直販価格:456,500円/税込)




「Arya WiFi」オープン価格(直販価格:236,500円/税込)



Wi-Fi接続で独自音響技術のポテンシャルを引き出す


ワイヤレスヘッドホンはBluetooth伝送であることが当たり前のようになってきているが、ここに一石を投じたのがHIFIMANだ。Wi-Fi接続に対応した2つのワイヤレスヘッドホン「HE1000 WiFi」「Arya WiFi」が登場し、ファンから高い関心を集めている。


ワイヤレスヘッドホンは赤外線通信の時代から2.4GHz帯でのデジタル無線通信時代となり、現在はBluetoothが標準的な手法となっているが、HIFIMANのWi-Fi接続ワイヤレスモデルは送信側にドングルを使わず、直接最寄りのWi-Fiルーターへ接続できるユニークな提案だ。


DLNAやUPnPに対応できる操作アプリを使えば、同一ネットワーク内のNASからの音楽再生も簡単にできるうえ、Qobuz Connectにも対応しているので、Qobuzアプリからの操作でヘッドホンから直接ハイレゾストリーミングを楽しむことも可能だ。


ではこれまでのBluetooth接続との違いはどこにあるのか。Wi-Fi接続の最大のメリットは伝送速度の高さ、低遅延である点にあろう。同じ2.4GHz帯での伝送だが、Bluetoothの伝送帯域の理論値は3Mbpsに対し、Wi-Fi接続では約3.5Gbpsと桁が違う。


ハイレゾストリーミングで要求される伝送帯域としては数10Mbpsとなるため、Wi-Fi接続では問題はないが、Bluetooth伝送では圧縮処理も加わり、ボトルネックとなってしまうため、Wi-Fi環境で伝送した方が無理がない。



HE1000 WiFiとArya WiFiは、再生端末と直接接続するのではなく、スマホと同じように自宅のネットワーク(Wi-Fiルーター)に接続する。そのため、ヘッドホンがインターネットに直接アクセスでき、Qobuz Connectを使いサブスク音源を受信できるようになる、という仕組みだ。
このメリットは単純に伝送できる情報量がBluetoothよりも多いことから高品位再生が狙えるのと、再生端末の置き場所に縛られずに音楽を楽しめる点にある。AirPlay再生にも対応するので、Apple端末なら遅延を感じずに再生も楽しめるし、外出時はBluetooth接続に切り替えれば使う場所を選ばない


 


定評ある音響技術、安定感ある装着性、シンプルな操作系を兼ね備える


HE1000 WiFiとArya WiFiはヘッドホンのアコースティック技術においても新世代となっており、音質、装着性の点で進化している。


上位のHE1000 WiFiでは、振動板はナノメートル厚の極薄フィルムにナノメートル厚の導体をプリントしているため、軽量かつワイドレンジ(8Hz - 65kHz)、低歪みで過渡応答特性も高い。


一方Arya WiFiはナノメートルに極めて近い薄さの「第2世代ネオスーパーナノ振動板」を採用。ナノメートル厚には及ばないものの、初代のスーパーナノ振動板からは60%の薄さとなっているため、HE1000 WiFiに迫る特性(高域端が55kHz)を実現している。



HIFIMANは、2025年の秋モデルから、振動板やマグネットなど音響技術のコアの部分を大幅に刷新した。HE1000 WiFi(写真)に搭載される振動板は100万分の1という薄さで、これはフラグシップ級のモデルに採用される素材。
一方のArya WiFiに採用された「第2世代ネオスーパーナノ振動板(NsD Gen.2)」は、初代との比較で60%も薄型化。それぞれの振動板表面は、モデルごとに異なる独自のナノケミストリーでコーティングされる


そしてマグネットについてはレアアースを含まないエンハンスドマグネットを両モデルとも採用。レアアースを含まない永久磁石を用いた最適設計によって、レアアースを用いた場合と同等またはそれに近しい感度を実現したという。


ただし、全てエンハンスドマグネットで構築するのではなく、ネオジウムマグネットと半々で磁気回路を構築。なお磁石の形状については音波の流れを阻害しない半円断面形状のステルスマグネットデザインを引き続き用いている。


さらにヘッドバンドについても人間工学に基づいた設計をより推進し、洗練されたデザインの次世代仕様へとアップデート。全体の意匠もスマートさが増すとともに、重量をバランスよく拡散し、長時間の装着でもストレスの少ない快適さを追求している。



ヘッドバンドも第2世代となる「Headband Gen.2」を採用。平面磁界型のヘッドホンは、重さのある棒磁石を、振動板を挟み込むように配置して強磁力を得る構造上、ダイナミック型と比較してどうしても質量が大きくなってしまう。そのため、ヘッドバンドの安定性は重要なポイントだ。
HE1000 WiFi、Arya WiFiともに剛性の高いメタルアーム/スライダーを採用しており、ヘッドバンドのぐらつきはほとんど感じない。イヤーパッドの肌に触れる部分はファブリック素材になっていることもあり、装着性は良好。質量は452gとやや重めだが、数字ほどの重さは感じないだろう


また、両モデルともストリーミング部やDAC/アンプなどの電子回路は共通となっており、DACは独自のR-2R方式ディスクリート構成をコンパクト化した「HYMALAYA Mini DAC」を搭載。最大PCM 768kHz/32bit、DSD 22.5MHzの再生が可能だ。


USB Type-Cの有線接続のほか、Bluetooth接続も可能で、aptX HDやLDACコーデックに対応している。



外見こそ有線ヘッドホンの「HE1000 UNVEILED」「Arya UNVEILED」に近似しているが、Wi-FiモデルではWi-Fi/Bluetooth通信、DAC、アンプなど様々な機能を内蔵する必要がある。
そのため、HIFIMANは独自のR-2R DACモジュール「HYMALAYA DAC」をベースに、幅8mm、高さ7.5mmの超小型DACモジュール「HYMALAYA Mini DAC」を新規開発。省電力や高S/Nといった特長はそのままに、基板スペースに制約があるなか、ノイズの発生源になりやすいストリーミング部とDAC/アンプ部を離したレイアウトを採用している。
その結果、高音質はもちろん、Bluetooth接続で23時間という再生時間、有線モデルと遜色のない452gという重さを実現した


 


Wi-Fiヘッドホンの音質を深掘り〜 濃密で自然なHE1000、爽快で澄んだArya


まずはHE1000 WiFiでQobuz Connectの音を聴く。柔らかく豊潤なサウンドで、余韻の階調性も極めて細やか。重層的で密度が高く、丁寧に個々の楽器をトレースするように再生する。


ローエンドはふっくらとして音の伸びがよく、クラシック音源の諏訪内晶子『シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲』では、緻密で情報量の多いハーモニーを上品に表現する。ソロヴァイオリンが奏でる弦の艶感も滑らかかつ自然に浮き立ち、爽やかな余韻が広がる。楽器のボディ感もふくよかでリッチなサウンドが展開する。


TOTO『Gift Of Faith』のキックドラムは厚みがあるアタックを聴かせ、ベースも力強く押し出す。ボーカルの輪郭も滑らかにまとめ、耳馴染みがよい。エレキギターのリフもマイルドな傾向で穏やかさが伴う。


丁(てい)の『呼び声』では、ストリングスのキメの細やかさに対して、リズム隊の豊かさやアコースティックギターの柔らかい爪弾きとのコントラストを見事に表現した。ボーカルは肉声感があり落ち着きのある描写で、声の輪郭にはハリがある。幾分甘めの音質傾向だが、情報量の多いハイレゾ音源も硬くなりすぎず、品よく艶やかなサウンドだ。


BluetoothモードではLDACで接続したが、Wi-Fiモードよりも音像が引き締められる印象で、シャープなサウンドとなる。ボーカルやエレキギター、シンバルの描写は特にキレのよさを感じるポイントだ。


そしてUSBでの有線デジタル接続で「HYMALAYA Mini」のDACが持つ実力をチェック。11.2MHz音源ではDSDの持つ爽やかな空間性を丁寧に引き出し、音像の素直で柔らかい質感も見事だ。ハイレゾならではの楽器の分離感、爽やかでヌケのよい描写を堪能でき、ボーカルの息継ぎの生々しさや、ドラムセットのエアー感もナチュラルに聴かせてくれた。



ヘッドホンで行える操作は非常にシンプル。写真の上から順番に、電源ボタン/ファンクションボタン/音量調整ボタンの3種だけだ。USB Type-C端子は充電と有線の音楽再生の際に使用する。
普段使いでは、電源を立ち上げるだけでネットワークに自動接続されるので、あとはスマホの音楽再生アプリから再生したいヘッドホンを選べばOKだ。
ただボタンがシンプルすぎるゆえ、機器操作に慣れている編集部でも初期設定には少し時間を要した。迷った時は公式サイトから解説動画「WIFIネットワーク設定ガイド」を見ることをお薦めする


一方、Arya WiFiは全体的にシャープな描写性で、HE1000 WiFiのナチュラル志向とは異なり、透明度を重視したサウンドとなる。


Qobuz Connectでの試聴では、HE1000 WiFiの濃密さと対照的な爽快な音質傾向となるが、オーケストラではウェットで艶やかさも持ち合わせる。抑揚も丁寧にトレースしてくれた。ほどよくボーカルの肉声感もあり、音離れもよい。ピアノやソロヴァイオリンの爽やかさ、倍音の艶の表現も聴き取りやすい。


LDACでのBluetooth接続ではより一層タイトさが増し、解像度感の高いサウンド傾向となり、USBでの有線接続では分離感の強い澄み切ったサウンドが展開。Arya WiFiは情報量の多さと爽快感を同時に味わえる、軽やかな音調が魅力といえよう。


 


【SPEC】


「HE1000 WiFi」
●形式:平面磁界型 ●周波数特性:8Hz - 65kHz(±0.5dB) ●最大対応サンプリング周波数:PCM 768kHz/32bit、DSD 22.5MHz ●接続:Wi-Fi、Bluetooth、USBオーディオ ●対応Bluetoothコーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDAC ●再生時間:約23時間(Bluetooth)/約6.5 - 7.5時間(Wi-Fi) ● 質量:約452g


「Arya WiFi」
●形式:平面磁界型 ●周波数特性:8Hz - 55kHz(±0.5dB) ●最大対応サンプリング周波数:PCM 768kHz/32bit、DSD 22.5MHz ● 接続:Wi-Fi、Bluetooth、USBオーディオ ●対応Bluetoothコーデック:SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDAC ●再生時間:約23時間(Bluetooth)/約6.5 - 7.5時間(Wi-Fi)●質量:約452g




(提供:HIFIMAN JAPAN)


※本記事は「プレミアムヘッドホンガイド Vol.34」所収記事を転載したものです

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