バイワイヤリングは専用ケーブルが効く!オーディオクエスト「Lone Ranger」&低域専用「Big Foot」を検証
井上千岳矢継ぎ早に新製品を投入し勢いに乗るアメリカのケーブルブランド、AUDIOQUEST(オーディオクエスト)。中核ラインとなる「Folk Heroes」(伝説のヒーロー)シリーズには新たに「Lone Ranger」が登場、そしてそのバイワイヤリング用の低域側として専用設計された「Big Foot」も加わった。その音質を井上千岳氏がレポートする。
上位モデルの技術を投入、取り回しがさらに容易に
「Dragon」や「Firebird」など、“Mythical Creature”つまり伝説の生き物シリーズに続いて、今度は“Folk Hero”(伝説のヒーロー)シリーズが始まっていて、先に発売された「Brave Heart」に続く第2弾がこの「Lone Ranger」だ。また低域用の「Big Foot」も発売されたので一緒に紹介したい。
構造は上級モデルを引き継いでいる。導体はPSC+の単線で、プラス/マイナスそれぞれ個別にPPで絶縁し3本ずつ搭載している。そしてその周囲に配列してあるのが、新機構グラフェン+カーボンメッシュ・ネットワークだ。
これはメッシュ/カーボン/メッシュの3層にグラフェンを追加したシールドで、RFノイズを極めて効果的に消散させる。このグラフェンという素材がいま各所で注目されているが、その優れた性能による強化が鍵と言えそうだ。
もうひとつオーディオクエストでは従来からRF対策用のドレイン線を使用しているが、以前のRobin Hoodなどでは0.5%シルバーであったのに対し、Brave Heart以降は4%となっている。このことも伴って、高周波への耐性がより強化されているのが、シリーズとしての特徴とも言えそうである。
おなじみのDBS(絶縁体バイアス・システム)は72V。またZERO Techも従来どおりで、接続機器との特性インピーダンスの不合致を解消し信号の流れをより滑らかなものにする。
なおプラス/マイナスは分離された構成である。導体径はBrave Heartが12AWGに対しLone Rangerは14AWGとやや細身になり、ケーブル自体の柔軟性もさらに高まって引き回しが容易になった。
その他端子の冷間圧接など様々な特徴があるが、いずれ詳しく取り上げることにして先を急ぎたい。
Lone Ranger -解像度の高い音を正確に構築
端正で解像度の高い音調だ。音数が多い。それはバロックでも端的に現れていて、弦楽器のきめ細かく緻密な出方を聴くとよく分かる。立ち上がりが細かく、アンサンブルがていねいに描き分けられて光沢が繊細に変化する。オーボエの音色にも細かな表情が込められ、ハーモニーが潤い豊かに響いて荒々しいダイナミズムとは無縁だ。
ピアノは華麗な響きに満ちた色彩感豊かな作品を力任せでなく、楽器の質感を忠実に描き出す品位の高い鳴り方である。弱音部の繊細な音色もニュアンスに溢れて、雄弁に聴こえてくる。
コーラスはたっぷりとした余韻に包まれるような感覚が味わえる。教会堂の中の空気が五感で感じられるようなリアルな手応えで、空気が見えてきそうな雰囲気だ。
オーケストラはそれをいっそう拡大したようなスケールでホールの空間が描かれ、その中にちょうどよいサイズでオーケストラが収まっているというイメージが見えてくる。楽器の音がどれも柔らかく純粋で汚れがなく、温かくそして透明度が高い。
大仕掛けの誇張されたスケール感やダイナミズムではなく、細かな音を正確に丹念に積み上げてゆくことでリアルな音楽像が作り上げられている。そういう音の出方をするケーブルということができそうだ。
Big Footを追加 -雄大な3次元的パノラマの世界
Big Hootは低域用のケーブルで、導体はやはりPSC+。グラフェン+カーボンメッシュ・ネットワークによるシールド構造も同様だが、ドレイン線は最上位導体PSSによる100%銀単線としている。
バイワイヤの低域に接続するといままでとまた景色が変わり、今度はスケール豊かな音楽像が自然に浮き上がってくる。上下左右に大きいだけでなく奥へも深く、3次元的なパノラマが雄大に展開される印象である。
こういう音でバロックを聴くとまた別の再現性を感じることができる。等身大で肉質の温かな温度感に溢れた鳴り方を感じるのである。弦楽アンサンブルが有機的なつながりを増し、オーボエはいっそう表情が濃く影が深い。
ピアノは細かな余韻がより豊かに明瞭に湧き上がってきて、和音の響きがますます華麗さを高めている。低音部の彫りが深く、淡彩的だったのが濃密な油絵のように表情を厚くし、表現のサイズが一回り大きい印象になる。
コーラスは息遣いの熱さが感じられるほど、音像が身近に迫ってくるようだ。清楚で純粋なハーモニーに込められた表現は意外なほど強い。またオーケストラは楽器ひとつひとつに豊かなエネルギーを注ぎ込んだように鳴り方が充実している。
芯の奥から力がにじみ出てくるような、本物のエネルギーをひたひたと感じさせる鳴り方なのだ。こういう音が引き出せるケーブルだと実感するのである。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.201』からの転載です
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