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公開日 2026/05/11 06:30
コネクターのメッキが違う2モデルを聴き比べ

コード・カンパニーが日本市場向けに新規開発。電源ケーブル「Vega」の説得力ある音質をいち早く体験!

井上千岳

日本ではPSE(電気用品安全法)の規定により、特に海外ブランドの電源ケーブルの多くが入手できない。そんな状況のなかで、英国CHORD COMPANY(コード・カンパニー)が一石を投じた。日本国内専用設計の電源ケーブルとして「Vega(ベガ)」をリリースしたのだ。井上千岳氏による初の試聴レポートをお届けする。



CHORD COMPANY 電源ケーブル「Vega Power Cable」。左が「Type G」159,500円(1.5m)、右が「Type S」220,000円(1.5m)※ともに税込


長年の技術とノウハウを日本市場向けに投入


日本で初めて発売される、コード・カンパニーの電源ケーブルである。


開発には長い年月が費やされたが、その理由のひとつにPSEというわが国特有の問題がある。本来なら独自の絶縁材であるTylonやXLPEを使用したいところだし、実際に本国ではこうした素材を使用した電源ケーブルがすでに存在しているが、これまでに例のない素材はなかなか認可が下りないらしく、一般的なPVCを絶縁材として開発を進めざるを得なかったという特殊な事情があったそうだ。


従ってこの製品は日本専用開発の新設計モデルで、製品名も「Vega」という新たなネーミングが付けられた。


ただ重要なのは素材だけで全てが決定されるわけではないということ。PVCならPVCで導体とのコンビネーションやシールド設計その他の構成を最適に練り上げることができる。今回の「Vega」もそのように開発され、長年の技術とノウハウを盛り込みながらコード・カンパニーならではの電源ケーブルが完成した。


ケーブル本体は共通で2つのプラグ仕様を用意


ラインアップは2種類で、ケーブル本体は共通。導体には錫メッキ無酸素銅の撚線を使用し、PVCで絶縁した後、2層のホイルと1層の編み組みでシールドを施している。


違いはプラグでタイプGはフルテック製オーディオグレード金メッキタイプ、タイプSでは同じくフルテック製の最高峰NCF銀メッキタイプを搭載している。そして組み立て時にアンダンテラルゴ社の接点安定剤SuperTMDを、全12か所に2度塗りして仕上げているのも違いである。


タイプG - エネルギーに満ち溢れた彫りの深い音楽


タイプGは情報量に富んだ再現性で、特にピアノでは高域方向でのディテールが非常に精密に引き出されてくる。伸びやかさが一段高まり、細部の隅々までエネルギーが行き渡っている印象だ。このため細かな凹凸に力があり、それが表情を鮮明なものにしている。


また音の流れがよく、刺や引っ掛かりがないのも特徴で、それはフォルテになっても変わることがない。大音量での耳障りな硬質感や歪みっぽさが消え、一音一音が明瞭に浮き上がってくるような冴えた鳴り方が感じられる。


オーケストラは弦楽器のハーモニーがより自然な響きを帯びて、和音の質感にふくよかな膨らみが現れる。立ち上がりが速いうえにきめ細かくなっているため、手触りが柔らかく感じられるのである。同時に鮮明さが向上し楽器それぞれが明確に表に出てくるのは、ノイズが減少して解像度が高まったからに外ならない。質感も洗い上げたように汚れがない。


コーラスは瞬発力が高まり、ダイナミズムの幅が広がって活気が増す。表現の幅が大きくなるのである。音と音の間の彫りが深く、一音一音のエネルギーが高い。それが瞬発的な起伏を幅広いものにして、それが表現に陰影を与えるという仕組みである。いずれにしてもノイズと歪みの減少が根本にあるわけだ。


タイプS - 広大で奥行きある空間表現


タイプSは肉質感に厚みが増し、ノイズもいっそう引いて静かさが際立つ。背景がしんとして、ピアノでは楽器の音だけが闇の中に浮いている感触である。タッチの質感が厚手に有機的な手触りを加え、ころころとして輝かしい響きに機械的ではない人間の手が触れているという感覚を強くするのである。いっそうリアリズムを高めた鳴り方と言っていい。


オーケストラでもハーモニーの実在感が明瞭に描き出されて、生の感触がより強く感じられる。弦楽器の和音がふくよかな響きで表情が色濃く引き出されて流れてゆくのも、ディテールの微小な凹凸が取り落とされずに音に乗ってくるからだ。それが音楽の大きな起伏にもつながって、クライマックスでの力強いフォルテを効果的なものにしている。スケールがひと回り違うのである。


コーラスは一段と明るく輝かしい。隅々まで光が溢れて明快に照らし出されているような鳴り方で、瞬発的な勢いに富んでいるため少年合唱の表現も活きがいい。男声ソロにしてもオーケストラにしても肉質感が高まって手触りが弾力を増し、表情の陰影が深い。


そして合唱もオーケストラもパート間の分離がよく、空間的な奥行きや位置感の前後感覚もより明瞭に聴き取れる。これら音楽全体の有機的な一体感が説得力の高い音質を引き出しているのである。


【その他のラインナップ】
「Type Sf」NCF銀メッキ→スリムプラグ、SuperTMD 2度塗り(組立時 /全12か所)
「Type Sm」NCF銀メッキ→メガネプラグ、SuperTMD 2度塗り(組立時/全10か所)
「Type Gf」オーディオグレード金メッキプラグ→スリムプラグ
「Type Gm」オーディオグレード金メッキプラグ→メガネプラグ




(提供:アンダンテラルゴ)


※本記事は『季刊・アナログ91号』からの転載です。


 

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