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公開日 2025/07/10 06:30
「VGP2025 SUMMER」金賞受賞

装着性にも音質にもこだわり満載、機能も豊富なイヤーカフ型!「EarFun Clip」レビュー

山本 敦

EarFunはアイデアとテクノロジーの両側から、エッジの効いたプロダクトを連発しているブランド。7月4日に発売となった「EarFun Clip」は、筆者がこれまでに試してきた同社のワイヤレスイヤホンの中でも特に先進性を感じる最新モデルだ。


アワード「VGP2025 SUMMER」において “Bluetoothオープンイヤー型イヤホン/イヤーカフ方式(8千円未満)” 部門金賞にも選ばれた、そのポイントをさっそく深堀りしてみよう。



「EarFun Clip」(税込7,990円前後)


 




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流行りの「イヤーカフ型」に独自の味付け。10.8mmドライバー+LDAC対応でサウンドにもこだわり


デザインは流行の耳に挟んで装着するクリップスタイルを採用。10.8mmという大口径のダイナミック型ドライバーを搭載しながら、本体のサイズをコンパクトにキープした。肌にやさしい液体シリコン素材と、しなやかに曲がる形状記憶ワイヤーを組み合わせた「ダブルC構造」により、耳の後ろまでしっかり支え、安定した着け心地を実現している。





 



ニッケルチタン合金製、直径0.55mmの形状記憶ワイヤーを芯に、柔らかく肌に優しい液体シリコン素材で包んだ「ダブルC構造」を採用。2万回以上の開閉試験をパスした耐久性と、汚れや経年劣化への耐性を備えるとのこと


クリップスタイルのイヤホンは苦手という方もいるだろうが、本機のダブルC構造はクランプ圧が穏やかなので、筆者は負担を感じなかった。ジムのトレッドミルで走りながら試したが、耳もとにしっかりと固定されたまま動かない。ゆえに音の聴こえ方がブレないのも良い。



耳の挟み込みは強すぎず弱すぎず。運動途中でズレて段々と聴こえ方が変わる……ということが無い


イヤホンのサイズはやや大きめに見えるかもしれないが、質量はAirPods Pro 2とほとんど同じ5.7g。ケースを含めてコンパクトに携帯できる。筆者の試したブラックはグロッシーな仕上げとしており、本体の左右が直感的に区別できるよう色分けもされている。



左右の向きは決まっていて、区別しやすいよう色分けされている


本機のようなクリップスタイルのワイヤレスイヤホンはデザインの斬新さばかりが目立ちがちだが、EarFun Clipはサウンドにもこだわり、LDACによるハイレゾワイヤレス再生にも対応した。これは大きな特長のひとつだ。


Google「Pixel 9a」にペアリングして音質を確かめた。AndroidスマートフォンとはGoogle Fast Pairにより、簡単にペアリングができる。LDACで聴くためには「EarFun Audio」アプリによる設定が必要。「Bluetoothオーディオの品質」から「音質優先 LDAC」の選択をオンにする。音質の設定を切り替える際はイヤホンの再起動が求められる。



「EarFun Audio」アプリは、機能のオンオフや設定のカスタマイズなど多くの役割を担う


Reiのアルバム『FRUIT』から「SODA!」を再生すると、ボーカルの声やエレキギターのサスティーンが気持ちよく伸びる。クリップスタイルのイヤホンはフルオープン形状であることから、並み程度の製品では肉付き良くエレキギターの音を響かせることが難しい。


それに対し、EarFun Clipのサウンドは重厚だ。アプリのイコライザー機能でブーストをかけなくてもベースやドラムスの低音がしっかりと響く。LDACらしい、きめ細かな高音域の質感にも触れられる。



10.8mmドライバーの音は、開口部から耳穴へダイレクトに向かうよう設計。この開口部の配置もこだわりのひとつだという


続いてNEVERMINDのアンサンブル『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』を再生する。弦楽器、トラヴェルソの音色の柔らかさと温かみが感じられる。おおらかで鳴りっぷりが良い。チェンバロのしっとりとした質感もいい。音場は広々と描かれる。EarFunのプロダクトらしく、音にむやみな色づけをしない。装着スタイルに起因する開放感と相まって、生の演奏を聴いているような音が自然と耳に馴染む。アコースティック楽器による演奏を中心とする楽曲との相性が、とりわけ良いイヤホンだと思う。


「ピッカーン!」(feat. 松田里奈&森田ひかる)を聴きながら、開放型イヤホンが苦手とする低音再生を再度念入りに確かめた。やはりイヤホンの構造上、意図的に重心を低音に傾けた楽曲についてはバランスの乱れを感じることがある。EarFun Audioアプリに搭載するイコライザー機能から「低音ブースト」を選択すると、低音域の迫力が増して全体のまとまりが良くなった。


このイコライザー機能には「デフォルト」から変更できる21種類もの多彩なプリセットが用意されている。さらに、先述の「低音ブースト」のようなプリセットを選択してから、10バンド対応のカスタムイコライザー機能を使って音のバランスを好みに応じて細かく整えることもできる。


イコライザーはLDACによる音質優先のリスニングモードと併用可能だ。オープンスタイルのイヤホンはリスニング環境によっては、その実力が十分に発揮されない場合もあるので、イコライザー機能は積極的に使うことをおすすめする。


多種多様な “音もの” 機能で、サウンドをもっと自分好みに


EarFun Audioアプリには、ほかにもユニークな “音もの” の機能が揃っている。



EarFun Audioアプリのメイン画面


「適応イコライザー」はユーザーごとに異なる音の聴こえ方に合わせた、バランスの良いイコライザー設定を見つけて保存できる機能だ。8つの音域ごとに、音量スライダーをマニュアルで調整しながら聴こえ方に合わせたカスタマイゼーションを行う。うまく設定ができれば、とても鮮やかな音楽リスニングが楽しめる。







「適応イコライザー」は、再生されるテスト音にあわせてスライダーを操作していくことで、自分の耳の特性に “調度いい” バランスへ近づけられる


「シアターモード」はEarFun Clipによるサウンドに没入感を加えるイコライザーの一種。Bluetoothオーディオの品質設定で「音質優先」をオフにした時に「シアターモード」をオンにできる。音場が広がるだけでなく音圧もグンと高くなる印象を受けるが、映画やアニメ、ゲームのサウンドを楽しむ際に効果的だ。なお、アプリにはワイヤレス音声の伝送遅延を抑える「ゲームモード」の機能もある。


オープン型イヤホンの課題とされる “音もれ” を防ぐための「マナーモード」もある。試したところ、再生音量を全体に下げる方向に振る舞うようだ。使いたい時に都度アプリを立ち上げて切り替えるのは面倒なので、本体のボタンリモコンによる操作から素速く呼び出せるように登録すると便利だった。アプリのメニューに並ぶ「コントロールのカスタマイズ」から設定できる。本体のキー操作が安定していることも、このイヤホンの特長だ。



誤操作を防ぐため、あえてタッチ式ではなく機械式のボタンを採用している。音漏れさせたくない場所で音量を瞬時に下げる「マナーモード」などを呼び出せる


左右のイヤホンに搭載するコントロールキーが、それぞれに細かく操作方法をカスタマイズできたり、マルチポイントへの対応、紛失したイヤホンの探索など、本機は「かゆいところに手が届く」様々な機能をバランスよく備えている。イヤホンから自然の環境音やホワイトノイズを再生して集中力を高めたり、気分を落ち着かせてスムーズな睡眠導入を促す「環境音」は筆者のお気に入りだ。







ボタンで呼び出す機能のカスタマイズや、落ち着きたい時、集中したい時に役立つ環境音再生機能などなど、アプリの機能は実に豊富


イヤホン本体はIP55相当の防水防塵対応なので、場所を気にかけることなく使い倒せる。1万円をはるかに下回る手頃な価格設定でありながら、ユーザーの期待に全方位から応えるクリップスタイルの注目機が誕生した。



 




(協力:EarFun)

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