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ボーズ「Lifestyle」が復活。ワイヤレススピーカー/サウンドバー/サブウーファーの3種で最上位「Ultra」発売
山本 敦ボーズから新「Lifestyleコレクション」登場
BOSE(ボーズ)が、ホームオーディオの新シリーズ「Lifestyleコレクション」を発表した。日本では2026年5月15日に発売を予定しており、同社直販サイトでは5月5日から予約受付を開始する。
ラインナップの内訳は3モデル。Wi-Fi/Bluetooth対応のワイヤレススピーカー「Bose Lifestyle Ultra Speaker」が55,000円、サウンドバー「Bose Lifestyle Ultra Soundbar」が154,000円、ワイヤレスサブウーファー「Bose Lifestyle Ultra Subwoofer」が110,000円となる(いずれも税込)。
カラーは各製品ともブラックとホワイトスモークがある。加えてLifestyle Ultra Speakerのみ、ホワイトオーク無垢材ベースを採用した、BOSEストア限定色の「ドリフトウッドサンド」も展開する。そして、ワイヤレススピーカーのための専用スタンドも発売する。
なお、本機はバッテリーを内蔵していないため、使用時には付属の電源ケーブルで給電す
る必要がある。
“Lifestyle” の名を冠したホームエンターテインメントシステムとしては、2017年の「Lifestyle 650 system」「Lifestyle 600 home entertainment system」以来の本格的な“シリーズ再始動”となる。
かつてのLifestyleは、ボーズらしいコンパクトな筐体設計と、部屋全体を包み込むサウンドでホームシアターの敷居を下げた人気製品だった。
今回の新生Lifestyleコレクションは、その思想を現代のストリーミングオーディオ、Dolby Atmosによるイマーシブオーディオ、そして生成AI音声アシスタントの「Alexa+」にまで拡張して、大きな飛躍を遂げている。
新製品を組み合わせてひとつのシステムとして楽しめる
新しいLifestyleコレクションは、単体で完結する製品群でありながら、すべてを組み合わせることで段階的にシステムの拡大が図れる。
Lifestyle Ultra Speakerは単独でワイヤレススピーカーとして使えるほか、2台をペアリングすればステレオ再生に対応する。さらにLifestyle Ultra Soundbarと組み合わせる際はリアスピーカーとしても機能する。
Lifestyle Ultra Soundbarは単体で5.0.2構成のイマーシブ再生に対応する。ワイヤレスサブーファーを加えれば5.1.2になり、さらに2台のUltra Speakerをリアに加えることで7.1.4chのホームシアターシステムへ発展する。
例えばリビングではサウンドバーを中核に映画を楽しみ、書斎やキッチンにはUltra Speakerを置き、必要に応じてマルチルーム再生を構築するといった、ライフスタイルに合わせた使い分けができる。
ボーズ伝統の技術を採り入れながら、革新を果たしたサウンドバー
ホームシアターの中核を担うのはLifestyle Ultra Soundbarだ。1台の筐体内には6基のフルレンジドライバー、センターにトゥイーター、ほか2基のPhaseGuideユニットで構成される計9ドライバーのスピーカーシステムを内蔵する。
6基のフルレンジドライバーのうち、2基は天井向きのハイトスピーカーとしてレイアウトした。残りの4基はフロント向きに配置される。
デジタルインターフェースは4Kパススルー対応のHDMI(ARC/eARC対応)が1基。ワイヤレスオーディオはWi-Fi 6、Bluetooth 5.3に対応する。音楽ストリーミングの再生手段としてはGoogle Cast、Apple AirPlay、Spotify Connectに対応する。
マンハッタン市内に設けられた発表会場「Bose Townhouse」では、それぞれの新製品のサウンドを、家庭のリビングルームを模した環境で体験することができた。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』のデモでは、砂嵐が左右方向へ広がり、天井方向から降ってくるようなリアリティに息を吞んだ。ダイアローグも極めてクリアだ。迫力あふれるBGMが部屋全体を包み込む。サブウーファーの重低音がとてもタイトに引き締まっている。
イベントでは、ボーズにとって10年以上ぶりの大規模なサウンドバーの再設計が行われたことが強調された。その鍵を握るのが、ボーズのファンにはおなじみの「PhaseGuideテクノロジー」だ。
PhaseGuideは、実際にはスピーカーが配置されていない空間にも音像を定位させるボーズ独自の技術だ。本機の場合、単体のサウンドバーでありながら、マルチスピーカーを配置した空間のように横方向・奥行き方向へ広い音場をつくる。
スピーカーグリルの役割を兼ねた、抵抗性のあるファブリックを介して段階的に放射することで、音を空間へ配置する仕組みを採用している。
Dolby Atmosによるイマーシブオーディオにも対応する。同フォーマットにより、ネイティブで収録されているイマーシブオーディオの再生だけでなく、独自の「Bose TrueSpatialオーディオプロセッシング」(以下:TrueSpatial)を組み合わせることで、ステレオ音源にも豊かな広がりと立体感を加える。
イマーシブオーディオへの注目を喚起するTrueSpatial
この機能は、本機ではデフォルトで常時オンに設定されているため、あらゆる音源がイマーシブオーディオ的に拡張される。
今回のLifestyleコレクションで、ボーズがその魅力を特に強調していたのがTrueSpatialだ。イベントでは英国のシンガーソングライター、Jacob Collierのステレオ収録の楽曲をリファレンスに選び、ボーカルを中央にしっかりと定位させて、楽器やパーカッションの音色が縦横無尽に広がるバーチャル・イマーシブオーディオのデモを聴かせた。
ボーズの担当者は、単に音場を派手に拡散するだけではなく、ステレオの定位感を保ちながら自然な空間表現を創り出すところにTrueSpatialの真髄があると語った。
その背景には、Lifestyleコレクションに質の高いステレオ→イマーシブオーディオ変換機能を載せることにより、単体のコンポーネントからのシステムプランニングを積極的に促す意図がある。
ワイヤレススピーカーのLifestyle Ultra Speakerにおいても、このTrueSpatialはとても重要な役割を担う。
小さな筐体には上向きのドライバーが内蔵されており、高さ方向に音場の広がりをつくる。
創業者であるアマー・ボーズ氏が提唱した「Direct/Reflecting(ダイレクト/リフレクティング)」のテクノロジーと設計思想に、現代のDSPとイマーシブオーディオのテクノロジーによる解釈を加えて、再解釈したリスニングスタイルを新しいLifestyleコレクションが共有している。
単体で立体音響を再現するLifestyle Ultra Speaker
ワイヤレススピーカーのLifestyle Ultra Speakerは、今回のコレクションで最も多用途な製品だ。
外形寸法は117W×185H×168Dmm、質量は1.6kg。コンパクトな筐体の中に前向きに2基、上向きに1基の計3基のドライバーユニットを搭載する。
ボーズが長年培ってきたDirect/Reflectingスピーカー技術の最新形として、単体で空間全体を包み込むサウンドを再現する。
イベントで行われたデモンストレーションでは、単体再生時にもスケールの大きな音場を描き、Wi-Fiによるステレオペア再生では音像が鮮やかに空間に浮かぶ力強いサウンドを聴かせてくれた。
音楽ストリーミングの再生手段としてはGoogle Cast、Apple AirPlay、Spotify Connectに対応する。さらに背面には3.5mmアナログオーディオ入力があり、イベント会場ではアナログレコードプレーヤーと組み合わせたサウンドデモも行った。
小型な筐体で充実の低音再生
新しいLifestyleコレクションの全製品に共通する技術が、「CleanBass」と「QuietPort」だ。ボーズはこれらの技術が小型のスピーカーで低域再生を強化する際に、課題になりやすい歪みやポートノイズを抑え、深くコントロールされた低音を再現するものであると説明している。
発表会の技術説明では、QuietPortテクノロジーのデモも行われた。一般的なポートでは、空気の流れによってリンギングや共鳴が生じ、音楽再生時には息漏れのようなノイズとして現れる。
QuietPortでは、ポート内部の特定位置に音響的な損失を意図的に設けることで共鳴を抑え、余計なノイズが増幅されないようにする。低音を増強するだけでなく、コンパクトな筐体で低域を稼ぎながら、音の濁りを抑えるためのボーズらしい物理的な音響設計のたまものだ。
Lifestyle Ultra Subwooferは、このCleanBassとQuietPortを重低音再生のためさらにブラッシュアップした。
筐体の外形寸法は295W×327H×295Dmm、質量は15.3kgという、比較的コンパクトなワイヤレスサブウーファーだ。
5GHz Wi-Fi 6と3.5mm有線接続に対応し、サウンドバーと組み合わせることで5.1.2chのシステム構成がつくれる。
ワイヤレス接続のカバー範囲は9.1mとされ、設置自由度も確保した。先に紹介した『DUNE』のデモンストレーションでは、スムーズでありながら起伏に富んだ豊かな低音再生を楽しませてくれた。
AI解析で人の声を聞きやすくする
サウンドバーには「Bose SpeechClarity」という、新しいAIベースのスピーチエンハンスメント解析機能が搭載された。作品本来のオーディオミックスや臨場感を損なうことなく、セリフだけを分離・強調する技術だ。
ユーザーがそのレベルをHigh、Medium、Lowの3段階から好みに合わせて調整できる。
イベントでは映画『Ray』のワンシーンから、雑踏の中を歩くキャストのダイアローグが、SpeechClarityをオンにすることによって明瞭度が増し、ストレスなく聴ける “実力” を披露した。夜間に音量を下げて映画やテレビ番組を視聴する際にもこの機能が効果を発揮する。
「Bose CustomTune」は、かつてLifestyleシリーズが搭載した「ADAPTiQ」を継承する自動音場補正技術だ。iOSまたはAndroidのデバイスのマイクを使って、部屋の大きさ、壁の形状、家具の配置、座る位置などを解析する。
従来のボーズのサウンドバーでは専用のヘッドセットを装着して、ユーザーが部屋の中を歩き回らなければならなかったので、同じことがスマホで完結する使い勝手の良さに好感が持てた。
さらにiOS/Androidに対応する「Boseアプリ」も、新しいLifestyleコレクションの発売にあわせてアップデートされる。各デバイスの初期設定がシンプルに行えるほか、設定後の音楽再生、ソース選択、EQ設定などもアプリから一元的に管理できる。
3つのLifestyleコレクションの製品を組み合わせて、7.1.4ch相当のイマーシブ再生環境を構築する際にも、セットアップはBoseアプリから簡単に行える。
サードパーティのホームオーディオで初のAlexa+対応
加えて、サウンドバーとワイヤレススピーカーがアマゾンによる生成AIベースの音声アシスタントである「Amazon Alexa+」に対応することにも注目したい。
ただし、Alexa+は2026年4月時点ではアメリカのほか、カナダ、メキシコ、英国、イタリア、スペインで提供を開始しているが、日本にはまだ上陸していない。5月15日の発売時点では、現在のAmazon Alexaによる対応になる。
発表会では、ボーズがAmazon以外のサードパーティメーカーとして、ホームスピーカー製品でAlexa+を提供する最初のパートナーになると説明された。
Alexa+はアマゾン独自設計のLLMを基盤にした次世代の音声アシスタントで、従来のAlexaよりも会話的で、文脈理解や意図把握に優れる点を特徴としている。
筆者もLifestyle Ultra SpeakerでAlexa+との会話を試した。会話が自然に交わせるだけでなく、ユーザーの意図を理解しながら適切な答えを返してくれる、使い勝手の良さが実感できた。
現時点では、Alexa+でLifestyleコレクションの本体設定を行うことは検討されていないという。また、アプリから返される応答は「音声のみ」になる。Boseアプリを表示するスマホやタブレットの画面に、答えがテキストベースでも返されればかなり使い勝手がよくなりそうだ。
ボーズのエンジニアに訊ねてみたところ、「それは良いアイデアなので、ぜひ検討してみたい」という回答を得た。Alexa+の日本上陸と合わせて、Lifestyleコレクションで生成AIアシスタントがますます快適に使える環境が整うことを楽しみにしたい。
良質なホームオーディオの再発見を促す
新しいLifestyleコレクションは、ただ名作シリーズを懐かしむために復活したのではない。「良質なホームオーディオ」を、現在の最先端にあるテクノロジーをベースに再構築した意欲的なラインナップが出揃った。
長年のボーズファンから、初めてボーズの製品やサービスに触れるユーザーまで広く受け入れられるだろう。
一方で、筆者はサウンドバーのサイズがやや大きいことが気になった。1,105W×67H×126Dmm、質量は約6.7kgというサイズ感は、Bose Townhouseに設置された75型のテレビとサイズマッチしていたが、日本の家庭でより広く普及する55〜65型のテレビには少し大きいように見える。
ボーズの担当者にそのことを伝えたところ、「これはLifestyleシリーズの新たな始まりの第一歩です」という前向きな答えが返ってきた。
最上位のUltraを筆頭に、Lifestyleコレクションもこれから広がりが見られそうだ。ニューヨークに欧米と日本のジャーナリストを集めて華々しく復活を遂げたLifestyleコレクションの、今後の展開に熱い期待を寄せたい。