手軽に臨場感が手に入る!レグザのワンボディサウンドバー「RA-B500」「RA-B100」を徹底レビュー
テレビの大画面化が進み、画質についても進歩が著しい。その一方で音質については画質面の進歩に対し、後れを取っているのが実情である。壁掛けなど、より薄く省スペースな提案性が求められているテレビは、スピーカーを理想的に響かせるための厚みやスペースを確保しにくい状況にあり、ハイエンドモデルと言えど万全とは言い難い。画質の進化に負けない音質の良さ、特に臨場感溢れるサラウンドを求める声も増える中、関心が高まっているのがサウンドバーである。
テレビブランドの中でもTVS REGZAは “重低音バズーカウーファー” を搭載するなど、従来より音質に対してこだわりを持ってきた。この数年80V型から100V型超のモデルをいくつも投入し、大画面化が進む中で、サラウンド感の強化を含め、音質についてもさらに向上させる必要があると考えているようだ。
そうしたきっかけもあり、2024年に単体サウンドバー「TS216G」、そして本年はじめに別体サブウーファーを組み合わせた重低音重視の「TS3100Q」と、レグザブランドのサウンドバーが展開されてきたわけであるが、より幅広いユーザーにフィットできる選択肢を増やすべく、ワンボディタイプのラインナップ強化が行われた。
今回、レグザブランドのサウンドバー新製品として投入されたのは、大画面に相応しい臨場感を提供する大型モデル「RA-B500」、コンパクトながらクリアで立体音響を実現するエントリーモデル「RA-B100」である。いずれもVGP2026にて評価され、優秀賞を獲得した。本稿ではこの2モデルを、それぞれのサイズにフィットしたテレビと組み合わせてレビューを実施。新モデルのクオリティをチェックした。
「RA-B100」 オープン価格(市場実勢税込価格18,700円前後)、「VGP2026」にて部門金賞に輝いた
大型テレビと組み合わせやすく、最新立体音響に対応する3.1.2chモデル「RA-B500」
まずはワンボディタイプ上位機となる「RA-B500」から紹介しよう。Dolby AtmosとDTS:Xのイマーシブサラウンドや、Dolby TrueHDに対応した3.1.2chサウンドシステムで、ハイレゾ対応のツィーターとフルレンジユニットを組み合わせた左/センター/右の3ペアと、底面下向きのBAZOOKAウーファー、左右1基ずつのトップスピーカーによる合計9スピーカー構成となっている。
左/センター/右に充てられた各2つのユニットに対し30Wずつ、トップスピーカーに20W×2、ウーファーに50Wとなる、最大出力270Wのマルチアンプで駆動するハイパワー設計だ。
レグザとの組み合わせで便利なレグザリンク・コントローラも採用。電源連動、音量調整がテレビリモコンで操作が可能な他、対応するレグザの設定メニューから「レグザサウンドシステム設定」が選択でき、EQモードなどの各種調整が可能となっている。
またBluetoothに対応しており、Bluetooth LE Audioもカバー。スマホに保存された音声ファイルを手軽な無線環境で高音質に楽しめる。eARC対応のHDMI出力端子を装備する他、背面に用意されたUSB Type-A端子では、USBメモリーに保存されているハイレゾを含む音楽ファイル再生も可能だ。
爆破シーンは迫力だけでなく緻密な描写性も備え、シームレスな空間再現性も好感
試聴では「RA-B500」に相応しいサイズの4Kテレビとして、65V型4K液晶レグザ「65Z770R」と組み合わせてみた。サラウンドのオン/オフ(ハイレゾファイルはサラウンド・オフで再生が可能)、6種類のEQモード(MUSIC/MOVIE/NEWS/SPORT/NIGHT/GAME)、低域調整BASS/高域調整TREBLE(0をニュートラルに±5段階の増減が可能)といった音質調整機能を有しており、付属リモコンの操作で切り替えできる。
サラウンドを有効にすると上方向や横方向への音の広がりが強調され、臨場感がより高まる印象だ。またMOVIEやSPORT、GAMEモードでもメリハリ良くライブ感溢れるサウンドとなる。MUSICはニュートラル基調でありながら、ヌケ感を持たせ、各帯域をバランス良く再生。声を聴きやすくしているNEWS、夜間音量を抑えつつ明瞭度も保つNIGHTもシーンに応じて活用したい。
『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(Netflix)では、タイトルが表示されるまでの冒頭のシーンから、ガンアクションや破裂音の迫力をチェックした。銃声の重みとキレのバランスが良く、ヘリコプターのエンジン音など、SEの密度、厚みもしっかりと再現。
BGMの回り込み、空間性も自然で、セリフの粒立ちも良い。大口径砲門の重みと破壊音の明瞭さによって爆破シーンもただ迫力良くパワーで押し切るのではなく、緻密な描写性を感じ取ることができた。
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(UHD BD/CH8)では声の質感やSE、BGMの空間表現について確認。声の厚みと存在感、その浮き上がりの良さが際立っており、口元のニュートラルな艶感によって適度な明瞭度も得られている。
SEもアタックのクリアさがあり、特に扉をノックする音は金属製の義手の硬さと重み、革の手袋があることで僅かなデッド感の描き分けも明確であった。上から降り注ぐ雨音の再現性やBGMの立体的な浮き上がり感も良好で、ストリングスのハリの良さ、程よくマイルドに浮き上がるピアノの回り込みも自然である。派手さはないが、シームレスな空間再現性に好感を得た。
ボーカルは厚みを持ちながら自然な音像感、ライブ会場の残響感もナチュラルに描く
『ボヘミアン・ラプソディ』(UHD BD/CH22)ライブエイドでクイーンが登場する場面から確認。EQモードはMOVIEを選択した。歓声の粒立ち、その厚みがしっかりと感じ取れ、スタジアムの回り込むような残響感も素直に表現。演奏シーンでは引き締まり良いベースとキックドラムの量感、シンバルやピアノの響きの浮き立ち良い表現によって、ステージの奥行きもしっかりと感じ取れる。
ボーカルのニュアンスはボトムの厚みもあり、自然な音像感を引き出す。口元のハリもスッキリと表現するが、EQモードのMUSICを選択すると一際ヌケ良く爽やかで、音像のダイレクト感が高まる印象だ。音楽をテーマにした映画ではMUSICモードで楽しむのも粋だろう。
音楽素材として、Official髭男dismのシングル「Universe」付属BD、『ONLINE LIVE2020 -Arena Travelers-』から2曲目の「宿命」をチェック。こちらのEQモードはMUSICを選んだ。ホーンセクションやエレキギターの爽やかに浮き上がるクリアな描写が印象的で、ボーカルはダイナミックマイクならではの声の厚みをストレートに表現。
口元の動きはヌケ良く爽やかに浮き上がり、透明度も高い。リズム隊の密度感、低域の押し出しも心地よいが、スラップベースのアタックよりはキックドラムや太鼓のリリースの厚みに重きを置いている印象だ。シンセサイザーの柔らかな響きも回り込み、ライブ会場ならではの残響感(このソフトは無観客収録)もナチュラルに引き出している。






























