公開日 2022/05/26 06:30

ケンウッドの2カメラ型ドライブレコーダー「DRV-MR570/MR575C」を試す。「基本機能を重視した人にオススメ」

「本来の機能をとことん突き詰めたことが伝わる」

機能としてつい忘れがちになるのがSDカードの管理だ。ドライブレコーダーは作動中、常にデータの書き換えを行っているだけにSDカードへの負担は極めて大きく、エラーも発生しやすい。そこで本来なら定期的なフォーマットが必要なのだが、本機では書き込みエラーが起きにくい独自システムを採用しており、付属SDカードあるいは推奨品を使っている限りそれを不要としているのだ。この安心感は大きい。

安心して使えるという意味では、LED信号機の記録で無信号状態にならない対策を施していることも見逃せない。実はLED信号は肉眼では感じられないスピードで点滅しており、これと記録フレームレートが同期すると一時的に信号が点灯しないように記録されることがあるのだ。本機はそのフレームレートを27.5fpsとし、東西の電源周波数いずれにも同期しないよう設定している。それでも点滅するようには記録されるが、連続して無信号状態にはならない。この対応は今やドライブレコーダーには欠かせない機能と言えるだろう。

HDRの効果を試すためにトンネル内を走行。明暗差があってもバランスの良い映像として捉えた

■「ドライブレコーダー本来の機能をとことん突き詰めたことが伝わってくる」

また、本機は長時間記録を目的として、このフレームレートを変更できる機能も備える。通常記録の27.5fps以外に13.7fps(長時間モード1)、3.4fps(長時間モード2)の2モードを用意。これにより、128GBのメモリーカードを使えば最長で43時間(3.4fps記録時)もの連続記録が可能になるという。本来はタクシー、トラック事業者の労務管理用に使うモードであって、記録は粗めになると思うが、個人が使ってももちろん構わない。

ドライブレコーダーとしては駐車中の監視機能も重要な役割だ。そこで本機では常時電源に接続する車載電源ケーブルを付属した(DRV-MR570では別売の「CA-DR100」で対応)。エンジンをOFFにすると駐車録画機能が待機中になり、最長24時間にわたって車両の衝撃を監視。録画時間の設定のほか、バッテリーの電圧が設定値より下回ると録画を自動的に停止する機能も備える。もし、駐車監視機能を重視するなら、DRV-MR575Cを選ぶことをお勧めしたい。

エンジンを切った後の駐車監視を継続する車載電源ケーブルを付属。一方でシガーライター-アダプターを付属するのは「DRV-MR750」となる

この監視中の記録では、衝撃前の5秒前+15秒後の映像を切り取って駐車監視フォルダに保存する。動体検知には対応していないが、これに対応していると記録する回数はおのずと増えることになるため、個人的には懸命な対応なのだと思っている。なお、購入時は駐車監視をするフォルダが用意されていない。駐車監視を機能させるにはその駐車録画を行うための記憶域の割り当てを事前に行い、その上で駐車監視機能をオンにする必要がある。

ディスプレイは本体サイズがコンパクトなだけに2インチにとどまるが、録画した内容を一覧から選べる程度の解像度は備える。GPS受信にも対応し、これは位置情報の記録だけでなく、正確な日時記録や速度を把握するのにも役立つ。専用ビュワーソフトの「KENWOOD ROUTE WATCHER II」(Windows/Mac両対応)を使えば、前後の記録映像を同時再生するとともに、GPSやGセンサーに基づいた情報を確認することも可能となる。これもぜひ使いこなしたい。



今回は車載電源ケーブルを付属した「DRV-MR575C」を選んで体験した。総じて感じたのはドライブレコーダーとして使いやすさに極めて優れていることだ。

画質としては解像度重視に振った画作りをしており、想い出を残す映像としては少し物足りない。機能面でこれといった“飛び道具”的なものもない。ただ、車載電源ケーブルを付属して駐車監視にもフル対応し、ドライブレコーダー本来の機能をとことん突き詰めて開発されたことが本機からは伝わってくる。簡単取り付けを重視するなら「DRV-MR570」を選べばいいわけで、ドライブレコーダーの基本機能を重視した人にオススメの1台と言っていいだろう。

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