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PRVGP2026金賞の完成度の高い“ながら聴き”イヤホン

トップクラスのながら聴きイヤホンにさらなる機能性がプラス!Shokz「OpenFit 2+」レビュー

公開日 2025/12/12 06:30 折原一也
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骨伝導イヤホンのパイオニアとして市場を牽引し、その名を轟かせてきたShokz。同社が「空気伝導」というアプローチで挑み、多くのユーザーに支持された「OpenFit」が、今年1月に「OpenFit 2」へ、そして8月に機能面をより強化した「OpenFit 2+」へと正統進化を遂げた。

Shokz「OpenFit 2+」(グレー/ブラック)価格:27,880円(税込)
<VGP2026 Bluetoothオープンイヤー型イヤホン/左右独立型(2.5万円以上3万円未満)金賞>

完全ワイヤレスイヤホン市場において、耳を塞がず周囲の音が聞こえる “ながら聴き” というジャンルが定着し、各社が製品を投入する激戦区となった2025年。OpenFit 2+は、その中でもハイエンドを明確に目指したモデルだ。

国内最大級のオーディオ/ビジュアルアワード「VGP2026」でも金賞に選出された本機。カタログスペック上の数値以上に、実機からは “オープンイヤーの完成形” を目指したメーカーの作り込みが随所に感じ取れる。

 

進化したユーザビリティ。物理ボタンとスタミナ性能にワイヤレス充電も加わる

まず最新のアップデートポイントであるユーザビリティの面を深堀りしよう。

前世代モデルのOpenFitからOpenFit 2/2+にかけての最大の変更点であり、多くのユーザーが歓迎するであろう要素が、タッチ操作に加えて「物理ボタン」が搭載されたことだ。

前世代モデル「OpenFit」ではロゴ部分周辺のタッチセンサーで操作していたところ、OpenFit 2/2+ではハウジング上部に物理ボタンが追加搭載された

実際にOpenFit 2+を装着して操作してみると、その利便性はすぐに理解できる。タッチセンサーのみの機種では、汗ばんだ指での操作や、髪の毛が触れた際の誤反応がストレスになることがある。しかし本機では、再生・停止やスキップといったメインの操作を、クリック感のある物理ボタンに割り当てることが可能だ。

一方で、タッチエリアは「音声アシスタントの起動」専用となり、アプリ経由で有効化して使用する仕様だ。基本は物理ボタンで確実な操作を行いつつ、必要な時だけタッチでアシスタントを呼び出す設計は、誤操作を避ける目的において非常に扱いやすい。

音楽再生の操作などは物理ボタン、音声アシスタントはタッチ操作と棲み分けることで、誤操作のストレスを低減している

バッテリー性能も大幅に向上した。連続再生時間はイヤホン単体で最大11時間、ケース併用では最大48時間。毎日の充電習慣から解放されるだけでなく、これだけの長時間再生なら普段からつけっぱなしの運用も視野に入る。

10分の充電で約2時間使用できる急速充電機能も利用可能。そのうえOpenFit 2+の充電ケースは、USB-C有線充電に加えてQi認証のワイヤレス充電に対応した。実用性の面で大きなアップデートポイントと言える。

OpenFit 2+ではケースのワイヤレス充電に対応。充電パッドの上に置いておくだけで次の使用の準備が整うのは、見た目以上に快適だ

独自の「DualBoostテクノロジー」によるサウンドと、運動しても揺るがないイヤーフック型の絶対的な安定感

サウンド面でOpenFit 2+の核となるのが、独自の音響設計「DualBoostテクノロジー」だ。21×11mmという完全ワイヤレスとしては極めて大型の楕円形低周波ユニット(17.3mmの円形ユニット相当)と、繊細な高音を担当する独立した高周波ユニットを搭載している。

21×11mmの低周波ユニットと高域用ユニットの「DualBoostテクノロジー」により、“ながら聴き” であってもサウンドのクリアさと迫力を両立させた

一般的にオープンイヤー型は、構造上どうしても低域の量感が不足しがちだ。しかし本機では、大型ドライバーと「OpenBass 2.0アルゴリズム」の組み合わせにより、耳を塞ぐことなくダイナミックな低音再生を狙う。気になる音漏れに関しても、逆位相の音波を利用する「DirectPitch 2.0」技術によって制御することで、周囲への配慮を両立させている。

ブランドが独自に培ってきた技術も投入し、耳を塞がない形状ながら低音の迫力を確保し、かつ周囲への音漏れを抑えている

実際にOpenFit 2+を装着して屋外へ連れ出してみると、その「絶対的な安定感」に驚かされる。

Shokzが「ゴールデンスパイラル(黄金比)」から着想を得たというイヤーフックは、柔軟なニッケルチタン合金とウルトラソフトシリコンで構成されており、耳の形状にしなやかにフィットする。9.4gという軽量設計も相まって着け心地は軽快だ。

しなやかで重量バランスが考えられたフックは、眼鏡と同時に着けても耳から押し出されたり、不安定さを感じることがない

イヤーカフ型との決定的な違いを感じたのは、運動をした際の安定感だ。ランニング時の上下の激しい動きや、屋内でストレッチをする際の急角度でも、フック部分が耳から外れる気配はない。万が一イヤホンが手などに接触しても位置がズレにくい、このイヤーフック型ならではの物理的なホールド感はやはり安心感がある。IP55の防塵・防水性能もあり、トータルでのタフネス性能も優秀だ。

オープンイヤーの常識を覆す圧倒的な低音と表現力。「Dolby Audio」で音の広がりもプラス

OpenFit 2+のもうひとつの評価ポイントは、オープンイヤー型の常識を覆すサウンドクオリティだ。

まず、宇多田ヒカルの「BADモード」を再生してすぐに耳を奪われたのは、リッチに響く低音の質感だ。単に量感があるだけでなく、引き締まった「ゴリゴリとした低音」が芯を持って鳴り響く。それでいてボーカルは耳の外側にナチュラルに定位しており、声の微細な質感もしっかりと伝わる。カナル型のような密閉感はないものの、周囲の環境音と高音質な音楽が違和感なく同居する感覚は、本機ならではの没入感と言える。

周囲の物音に気を配りながらも、しっかりと音楽を楽しめる。クオリティの高い“ながら聴き”が体験できる

続いてYOASOBIの「アイドル」では、情報量の多いサウンドでも十分に鳴らせることを確認した。音の雑味や混濁はなく、スッキリと音が耳の周囲に広がるようなイメージを持った。ボーカルが埋もれることなく明瞭に立って聴こえるのは、独立した高周波ユニットの恩恵だろう。

さらに特筆すべきは、米津玄師&宇多田ヒカルの「JANE DOE」における表現力だ。男性ボーカルの深み、女性ボーカルの質感の良さはもちろん、二人の声がクロスする際の定位感も見事に再現されている。予想外だったのはピアノの響きのリアルさで、アコースティックな楽器の余韻までも伝わる表現力がある。

そしてOpenFit 2+では、Shokzアプリから「Dolby Audio」を有効にすることが可能だ。アプリから機能をオンにするとサウンドに空間的な広がりが付与される。映画鑑賞やゲームなど、没入感を優先したいコンテンツで活用したいところだが、意外にもステレオの音楽試聴やトーク系コンテンツでも有効だ。好みに応じて試してみてほしい。

OpenFit 2+で新たに対応した「Dolby Audio」機能。サウンドの広がりが増すことで、迫力や聞き取りやすさが向上する

OpenFit 2+の実機を試して思うことは、やはりトップブランドの持つ圧倒的な作り込みのノウハウだ。ユーザビリティ、装着感、音質すべてが一級品。周囲の音が聞こえる “ながら聴き” というジャンルの中でも最も完成度の高いプロダクトと言える。

Shokzは現在、よりカジュアルなイヤーカフ型「OpenDots ONE」(27,880円/税込)も展開している。価格でも機能面でもOpenFit 2+と肩を並べるモデルだが、比べてみるとアクセサリー感覚で軽快に装着でき、耳への負担がより少ないイヤーカフ型に対し、OpenFit 2+はスポーツ時の激しい動きにも追従する安定性にアドバンテージがある。

Shokzが展開する「OpenDots ONE」は、OpenFit 2+と価格も機能面も同等のイヤーカフ型モデルだ

「手軽さ」か、「安定性」か。それぞれに明確な長所とキャラクターが存在するため、どちらが優れているかというよりは、自身のライフスタイルにどちらがフィットするかという視点で選ぶべきだろう。

あるいは、シーンによって使い分けるためにOpenFit 2+とOpenDots ONEを両方揃えるというのも、今のShokz製品の充実ぶりを考えれば、十分に現実的で魅力的な選択肢と言えるはずだ。


(協力 : Shokz)

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