HOME > レビュー > “これぞNothing!フラグシップに相応しい” マイク内蔵充電ケースの完全ワイヤレス「Ear (3)」を使い倒す

PRパターン加工振動板でサウンドも進化

“これぞNothing!フラグシップに相応しい” マイク内蔵充電ケースの完全ワイヤレス「Ear (3)」を使い倒す

公開日 2025/12/10 06:30 高橋 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

様々なガジェットにおいて最新製品としての機能性とその機能性を超えた魅力を兼ね備えるアイテムを提案してくる新世代ブランド、Nothing。主軸はスマホだが、いまやイヤホンも大人気。新登場「Ear (3)」はそのナンバリングシリーズの最新世代だ。

Nothing「Ear (3)」25,800円(税込)ホワイト/ブラックの2色展開

ぱっと見の外観はこれまでのデザインを継承した上で細部の洗練を進めたといったところに落とし込まれており、目新しくはない。だが、それでよい。Earシリーズのシースルーデザインはすでに強く認知されているアイコニックなものだ。その継承はむしろ歓迎されることだろう。

であるが中身は当然、基本性能の底上げから新機能の提案まで、大幅に強化されている。特にケース側に搭載された「スーパーマイク」は、機能性がありつつ、その機能性を超えた魅力も兼ね備えるという、同社アイテムらしさ全開のギミックだ。

Nothingのフラグシップに相応しいニューモデル。その詳細を見ていこう。

新型アンテナ、リアルタイムアダプティブANCなど各種機能を大きく強化

デザインにおいては、主に細部の磨き上げにより、そもそものデザインの完成度、フィジカルなアイテムとしての存在感がより際立たされている。

特に注目はケースのベース部分。ナノレベル精度の射出成形で接着剤なしでアルミニウムとプラスチックを接合した、シームレスなユニボディだ。そのビルドクオリティから生まれる精密感や手にした際の感触が、このアイテム全体の印象を引き上げている。

そのケースにイヤホンを収納した際の見え方も “Earシリーズ” の大きな魅力。イヤホンとケースの関係はアート作品とその美しさを映させる展示ケースのそれに似る。ケースを開けた際の雰囲気など、本当にハッとさせられるほどだ。

Nothingの“Phoneシリーズ”と組み合わせると、統一感のあるアイテムのコーディネートができる

最新世代機としての機能強化点の話に進もう。

まずはアンテナ性能の向上。薄さ0.35mmの新型カスタムアンテナを採用し、一世代前の「Ear」との比較で出力15%、感度20%の向上を果たしている。それにより、無線周りの消費電力低減、高音質コーデックによる高ビットレート接続の安定など、様々なメリットを得ていると推察できる。

ノイズキャンセリングも強化。最大45dBという数値はEarから変化ないが、従来は単に「アダプティブANC」とされていたのが本機は「リアルタイムアダプティブANC」となり、周囲の騒音環境に合わせたノイキャン自動調整の即応性が強調されている。周囲の騒音を600ms=0.6秒ごとに確認して調整とのことなので、確かにほぼリアルタイムだ。

実際に住宅街から駅前まで、騒音の具合が変化していく環境で試してみても、ノイキャンの効き具合が急に切り替わって違和感を覚える場面はなかった。0.6秒ごとにまで細かく区切っての微調整なので、切り替わりが認識されにくいということだろう。

専用アプリ「Nothing X」の画面。ノイズキャンセリングは「リアルタイムアダプティブANC」に加え、3段階の固定強度を選択することもできる

なおノイキャンと通話用のマイクは、イヤホン片側につきMEMSマイク3基と骨伝導ボイスピックアップユニット(VPU)1基を搭載。ビームフォーミングによる絞り込みと骨伝導ユニットの活用、膨大な利用シーンからのAI学習で構築された通話ノイキャンにより、周辺騒音や風切り音の除去を行う。

つまり、イヤホン本体での通話性能もハイレベルなのだが…。

イヤホン本体には、片側あたりMEMSマイク3基と骨伝導ボイスピックアップユニット(VPU)1基を搭載。これだけでも十分に高い通話性能を実現している

ケースに「スーパーマイク」を内蔵! 通話とボイスメモで使ってみた

さらに上の通話性能を実現すべく用意されたのが、新提案「スーパーマイク」機能だ。

イヤホンではなくケースに、MEMSマイク2基によるデュアルマイクシステムを搭載。通話時やボイスメモ時にイヤホン本体のマイクの代わりにそちらを利用でき、周囲の騒音を最大95dBカットできるというからすごい。ノイキャン兼用ではなく通話専用に設計されていること、そしてマイクを口に向けて使う前提で収音の方向性を調整されていることが、その性能の理由だろう。

「スーパーマイク」の位置は充電用USB端子の隣で、Ear (3)を使用中にTALKボタンを押している間はケース側の「スーパーマイク」がオンになる。使い方としては「通話中に自分が話すタイミングでケースを口元に向けてTALKボタンを押しながら話す」が基本。いわゆる“プッシュトゥトーク”だ。

なおTALKボタン2度押しで「スーパーマイク」オン固定も可能。長めのボイスメモなどではその使い方がよいかもしれない。

充電ケース側面に、MEMSマイク2基による「スーパーマイク」を実装

隣の側面にあるTALKボタンを押すことで「スーパーマイク」をオンにすることができる

実際に通話とボイスメモで試してみたところ、使いこなしのコツは「スーパーマイク」と口元の距離と話す声の大きさの調整と感じた。筆者の場合、口元から10cmほど離して普段の通話程度の声の大きさで話すと、周りの騒音はほぼカットされ、自分の声だけが相手に届く、もしくは録音された。自身の話し声の大きさや声質に合わせた使い方を見つければ期待通りの効果を発揮してくれるだろう。

通話と録音の音質については、おそらくは人の声の帯域に特化した設計のために、いわゆるオーディオ的な高音質ではない。しかし声の聞き取りやすさと騒音カットのおかげで、話の内容はもちろん聞き取りやすい。通話&ボイスメモに特化した実用音質だ。

なお「Nothing Phone」と組み合わせての利用では、Ear (3)Nothing PhoneBluetooth接続されている間はTALKボタンを押すだけでボイスメモ開始となり、しかもその内容は「Essential Space」アプリに文字起こしされる。メモ好き要注目のコンビネーション機能だ。

通話時に「スーパーマイク」を使うと、“プッシュトゥトーク”の容量で会話ができる

ボイスメモ用途で「スーパーマイク」を活用することもできる。録音した音声は「Essential Space」アプリで自動的に文字起こしされて保存される

次ページサウンドを検証! 進化のポイントは?

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: