DALIのコンパクトスピーカー「KUPID」はテレビ横にも置きたくなる!エンタメサウンドも相性抜群
デンマークのHi-Fiオーディオブランドの名門であるDALIから登場した「KUPID(クーピッド)」は、その名の通り、音楽ファンとオーディオを結びつける “キューピッド役 ”を担うプレミアムコンパクトスピーカーだ。
同社のフラグシップモデル「KORE」の設計思想を受け継ぎつつ、ペア5万円台クラスという手が届きやすい価格帯に収めた、“もっとも小さなKORE” というコンセプトのモデル。純粋に音楽リスニング用のスピーカーとしての実力はもちろんだが、筆者は「テレビの横に置くHi-Fi」という観点にも注目している。
近年はVODサービスでの映像視聴が中心となり、Dolby Atmosなど立体音響フォーマットが採用されている作品も身近になってきたが、いまだにテレビ内蔵スピーカーで試聴しているケースも多い。
サウンドバーという選択肢があるが、音質を求めるなら「テレビボードに載るサイズの本格スピーカー+HDMI搭載プリメインアンプ」といったHi-Fiシステムも案に入り、そのシステムにKUPIDは打ってつけだ。
そこで本稿では、KUPIDのサウンドは映像コンテンツをどのように鳴らしてくれるのか、KUPIDの新たな魅力を掘り下げていく。
本物のHi-Fiスピーカーによるテレビサウンドが完成するサイズ感とデザイン性を備える
KUPIDは、強力なネオジウムマグネット・ドライバーを採用した、超軽量の26mm ソフトドーム・トゥイーターを搭載しており、粘性500cpという非常に柔軟性の高い粘性を導入した磁性流体によって、KOREの磁性流体を用いらないサウンド傾向を汲んでいる。
ウーファーには、KUPID専用に設計されたスフェリカル型(球型)の115mm ウッドファイバーコーン・ウーファーを投入。ボイスコイルボビンとコーンの接合部をアルミ製のカプラーを組み込んだことで、トランジェントの強化を成し得ていることもポイントだ。
KUPIDは、そのサイズ感とデザイン性も見逃せない。150W×245H×198Dmmのコンパクトな筐体と、ブラック・アッシュ/ダーク・ウォルナット/キャラメル・ホワイト/ゴールデン・イエロー/チリー・ブルーの5色展開という高いインテリア性を備えている。
コンパクトだからこそテレビ横にも置きやすく、またARC対応のHDMIを搭載するプリメインアンプと組み合わせても、テレビ周りに組み合わせやすいサイズ感なので、手軽に本物のHi-Fiスピーカーによるテレビサウンドが完成する。
では、早速テレビの横に置いて、KUPIDによるテレビシアターサウンドを検証していこう。テレビとKUPIDの間には、ARC対応のHDMIを搭載したマランツのプリメインアンプである「NR1200」を組み合わせた。ダブル・ディファレンシャル構成のD/A変換回路によって音質を高めただけでなく、ネットワーク機能のHEOSに対応するなど、音質だけでなく高機能も特徴のモデルをリファレンスとして使用した。
ドラマ作品ではセリフの定位と再現性が高く、情報量の多いシーンも余裕で鳴らす
『ウェンズデー シーズン2』(Netflix)を再生してみよう。第1話のイントロから再生を開始すると、まず感じるのは、テレビ画面とのマッチングの良さだ。KUPIDをテレビ左右に配置したシンプルなシステムだが、セリフが画面中央に適度な奥行き方向の距離感を伴って定位し、再現性が非常に高い。単に中央から聞こえるのではなく、声の高さまでほぼ画面上の口元と一致して感じられるほどだ。
冒頭、サスペンスフルな静寂をたたえるシーンでは、かすかな環境音や残響が画面の奥へと自然に広がり、空間の気配が伝わってくる。一転してコメディタッチの空港セキュリティゲートのシーンになると、アナウンスや人々の足音が左右に広がりつつ、セリフはしっかりとセンターに定位。音場も広く、情報量の多いシーンも余裕で全ての音を再現する。
特筆すべきは、スコアと環境音の共存だ。不気味さとコミカルさが同居する音楽は、チェレスタの金属的な響きの粒立ちから、オーケストラが描く重厚なスケール感まで、スピーカーサイズを超えた余裕の再現。
小型キャビネットとは思えないほど沈み込む重低音も驚きのポイント。ステレオ再生とは思えない臨場感とスケールを生み出せるのは、KUPIDだからこそ成し得る空間再現力の証明と言える。
