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公開日 2017/09/28 10:25

【製品批評】CREEK「EVOLUTION 100A/100P」 ー ハイCP思想から生まれた英国製アンプ

和み感ある楽しい聴き心地
石原 俊
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製品批評


プリメインアンプ/パワーアンプ
CREEK
EVOLUTION 100A
¥370,000(税抜) ※写真右
EVOLUTION 100P
¥290,000(税抜) ※写真左



クリークはイギリスのオーディオ・エレクトロニクス・メーカーだ。「ローコスト・ハイパフォーマンス」という設計思想の元、一貫して常識的な価格の高性能機を市場に供給してきた。

EVOLUTIONは同社のベーシックシリーズである。EVOLUTION 100Aはプリメインアンプの上位モデルだ。終段の二段ダーリントン回路は弟機50Aの倍の4回路で、バイアスは通常のAB級とはやや異なるG級方式を採用。この方式の回路は低い信号レベルで動作すると電源電圧が低くなるので、AB級よりも効率が良く発熱が少ない。一方、EVOLUTION 100Pは事実上100Aのパワーアンプ部を単体化させたものだ。

「EVOLUTION 100A」内部

オプションにはフォノカードやUSB-DACモジュールの「RUBY2DAC」が用意されている。RUBY2DACは優れもので、光/同軸/USB入力を装備しているのみならず、Bluetoothでスマートフォン等とワイヤレス接続が可能だ。今回の試聴ではMC専用フォノカードとRUBY2DACを装着した個体を用いた。

まず100AをCDプレーヤーと接続して聴いた。オーディオ性能は中庸なのだが、音楽に耳を傾けるのが楽しくなってくる音だ。平日夜に小音量で疲れを癒したり(トーンコントロールで低域と高域を補強するといい)、週末にのんびり聴くのにうってつけだろう。音楽的介入はどちらかというと行うタイプで、情報を取捨選択する部分もある。しかしこの滑らかな聴き心地に身をゆだねるのは一種の快楽だ。

ジャズは良く弾むベースの低音と華やかなピアノとドラムスの動きに乗って、ゴキゲンなブラスのメロディが展開する。ヴォーカルは音像のサイズが程良く、声の質感に健康的なエロティシズムが感じられる。高級なスピーカーケーブルを使えばより清楚な印象が得られるだろう。クラシックは能動的に聴くとかなりの情報量が得られるが、聴き流しても音楽的に重要なポイントは押さえられており、充実感ある聴き心地が得られる。

ここでメディアをLPに変更。LPはカートリッジの特質によって音質と音楽性が大きく変動するので一概には言えないが、同社のフォノカードは堅実な作りなので、指定範囲の出力電圧が得られるカートリッジであれば、アナログらしい豪快な低音やノリの良いグルーブ感が得られることは保証しよう。

MC専用フォノカード(左)とRUBY 2 DAC(右)を装着した個体を使用

次に、100Aに装着したRUBY2DACのUSB入力にサーバーを接続して聴いた。CD音質はCDプレーヤーとほぼ同じである一方、PCM192kHz/24bitのハイレゾ音源では情報量がナチュラルに増加し、良好なディテールの再現性が得られた。それでいて本機の基本的な聴き味である和み感は失われない。

最後に100Pを加えた。本来100Pは音量調整機能つきのデジタルプレーヤー「EVOLUTION 100CD」との組み合わせを意図したモデルだが、100Aとゲイン比も出力も変わらないため、組み合わせるとバイワイアリング対応スピーカーをバイアンプ駆動することができるのである。

音が鳴った瞬間、椅子からずり落ちそうになった。基本的には和み感ある楽しい聴き心地で、同じ傾向の音だ。しかしオーディオ的パフォーマンスがまるで違うのだ。聴感上のSN比が驚くほど高い。低音の伸びも増し、単によく出るだけではなくウーファーがガッチリとグリップされているような印象だ。情報量も増え、100A単体使用時よりもディテールの再現性がはるかに高い。このサウンドは100万円超クラスのセパレートアンプを凌駕するといえるだろう。

(石原 俊)


Specifications
【EVOLUTION 100A】●出力:110W/ch(8Ω)、170W/ch(4Ω) ●最大供給電流:±26A/0.5Ω、50mS ●歪み(THD):<0.002% 2/3 rated power 8Ω ●周波数特性:10Hz〜100kHz±2dB/Line、10Hz〜50kHz±2dB/Blanced ●利得:×46(33.3dB)/Line、×22.5(27dB) ●入力感度:410mV ●クロストーク:−80dB at 1kHz ●SN比:>102dB ●セパレーション:>80dB@1kHz ●消費電力:最大500W、待機20W ●サイズ:430W×60H×D280mm ●質量:9kg ●仕上げ:Silver(標準)、Black(受注生産+¥15,000)

【EVOLUTION 100P】●出力:110W/ch(8Ω)、170W/ch(4Ω) ●最大供給電流:±26A/1Ω、50mS ●歪み(THD):<0.002% 20Hz〜20kHz ●出力インピーダンス:<0.05Ω@1kHz ●SN比:>102dB ●周波数特性:10Hz〜100kHz±2dB/Line ●利得:×46(33.3dB) ●入力感度:650mV ●クロストーク:−80dB at 1kHz ●セパレーション:>80dB@1kHz ●消費電力:最大500W、待機<20W ●サイズ:430W×60H×280Dmm ●質量:9kg ●仕上げ:Silver(標準)、Black(受注生産+¥15,000) ●取り扱い:(株)ハイ・ファイ・ジャパン

※本記事の完全版は「オーディオアクセサリー」165号にてお読みいただけます、購入はこちらから

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