明らかに線が太くなって 実体感の高さが普通でない

【製品批評】PENAUDIO「CHARISMA SIGNATURE」 ― ロングセラー機が大幅グレードアップ

井上千岳
2017年10月06日
製品批評


スピーカーシステム
PENAUDIO
CHARISMA SIGNATURE
¥860,000(ペア/税抜)



ペナウディオはサミ・ペンティラ氏が主宰するフィンランドの世界的なスピーカーブランドである。1999年に設立されているが、そのごく初期のモデルで、わが国に初めて入ってきたのが「Charisma」である。2002年に発売されて2013年に一旦生産終了したが、ユーザーからの強い要望を受けて翌年復活。2016年まで発売された。これが「Chrisma Basic」である。

本機はそのシグネチャー・バージョンである。「Cenya」や「Sara S」と同じく、キャビネットに特別な素材を使用し、いっそうの高精度化を図ったシリーズだ。ペナウディオの大きな特徴は、フィンランド・バーチ材を積層にしたキャビネットにある。これはデザイン上も大変魅惑的だが、木材としては非常に貴重だ。

本機ではその中でも特に希少とされるビザ・バーチ(フィンランド・カーリーバーチ)を併用。従来の積層の間にビザ・バーチの層を設け、ダンピングと振動拡散をさらに有効にしている。内部の側壁にはビチューメン・シートを装着し、共振抑制も計算に入れた構造である。

トゥイーターはSEAS製HEXADYMマグネット・システム搭載のファブリック・ドーム。ウーファーは同じくSEAS製12pのマグネシウム・コーンで、磁極の上下に重量級の銅リングを装備している。

「CHARISMA SIGNATURE」のリア部。シングル仕様でWBT製の高級端子が装備されている

以前より明らかに線が太くなり、一音一音に伴うエネルギーが格段に向上しているのを感じる。スピーカーから音が完全に離れて、エネルギーだけが飛んでくるような感触である。

ピアノはタッチがクリアなのは確かだが、現実のピアノに匹敵するような重さがある。存在感と言うべきかもしれないが、手応えがずっしりとしているのだ。動きは速く立ち上がりもシャープだが、変に軽々しくはない。そのエネルギーのまま音が上下に伸びてゆくため、実体感の高さが普通ではないのだ。フォルテでも弱音でも変わりはなく、音の実在を感じさせる鳴り方である。

室内楽もエネルギーに満ちている。オーケストラも目が覚めるようで、ティンパニーのすさまじさ、トランペットやホルンの峻烈さ、低音弦の厚さと瞬発力など、どこからこんな音が出てくるのかと思うようなスケールと量感がある。ジャズは肉質感の厚みと力、弾力に富んだ手応えが生々しい。こんなにも生き生きしている弾んだ再現は、そうあるものではない。

(井上千岳)

Specifications
●形式:2ウェイ、スタンド・マウント、リフレックス・ロード●ドライブ・ユニット:29mm 磁性流体冷却式布地ドームトゥイーター(HEXADYMマグネット・システム、SEAS EXCELCRESCENDO)、120mm カスタムメイドマグネシウム・コーン・ミッドレンジ/ベース(SEAS EXCEL)※重量級銅リング(ポールピース上下)+放射状補強エッジ●クロスオーバー:4,400Hz●スロープ特性:アコースティカル4オーダー●周波数帯域:標準室内42Hz‐30kHz●感度:85dB/1m/2.83V●公称インピーダンス:8Ω●サイズ:150W×255H×313Dmm●質量:各6.5kg●その他:マグネット式グリル、WBT製スピーカー端子、ポリプロピレン・コンデンサー、エア・コア・インダクタンスコイル、アルミ製リフレックス・パイプ、PENAUDIO特別仕様フィンランド・バーチ合板+MDF キャビネット、ビチューメン・ダンピング(側面壁)、フィンランド・カーリーバーチ仕上げ●取り扱い:シーエスフィールド(株)


※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから