公開日 2016/04/26 10:00

【第154回】iPhoneのイヤホン端子がなくなったらどうなる? エレコムの中の人と語ってきた

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

■Bluetoothは新コーデックで音質向上!

というわけでLightningの厄介微妙な話は片付いたということにして、ここからはまた遠藤氏に復帰してもらってBluetoothの話に移ろう。今後のBluetoothについて考えるときに無視できないのは、新たに登場してきた新コーデックだ。

コーデックとは音声や映像といったデータの圧縮方式のこと。前述のようにBluetoothでの音声伝送は、Bluetooth規格が高速通信に対応していないため、音質ロスを伴う圧縮が必須。その際の圧縮方式としては従来は、

●SBC |対応必須の基本コーデック。
●AAC |オプション。SBCより音質ロスが少なく高音質。
●aptX|オプション。高音質かつ低遅延。


高音質コーデック、aptX

の3つのコーデックが用意されていた。AACまたはaptXへの対応はBluetoothオーディオの高音質化における大きな要素なわけだ。

なおAACについては今回の取材の「番外編」的な内容をこの本編に先立って記事としているので、そちらも参照してみてほしい。そして最近になってそこに登場してきたのが、

●LDAC |ソニーから登場。96kHz/24bit対応。
●aptX HD|CSRから登場。48kHz/24bit対応。


ソニーが発表したLDAC

という新コーデック。「LDAC」はソニー製品にすでに数多く実装されており、その力を実際に示している。しかもソニーとしてはこれを自社だけで使うのではなく、ライセンス展開も考えているとのことだ。「aptX HD」は名前の通りに「apt X」の上位強化版。これを開発したCSR社はBluetooth機器に汎用的に搭載されるチップ等のメーカーで、しかも現在はクアルコム社の傘下にある。クアルコムといえばスマートフォン用チップの最大手だ。なのでもちろんこちらも幅広くライセンスされていく見込み。

まずは両者とも「96kHz」や「24bit」の部分、つまりいわゆる「ハイレゾ」への対応が目立つだろうし、実際ハイレゾ音源の再生に大きな力を発揮する。

遠藤氏「LDACもaptX HDも24bitというところの効果の大きさは特に感じます。例えば音楽の後ろの暗騒音、空気感のようなところの再現性では、これまでのコーデックとの違いを明らかに体感できますね」

そして見落とせないのは、限られた帯域での無線伝送に向けての圧縮アルゴリズムの最適化や、伝送速度の最大限の利用といった基本性能の底上げの効果は、ハイレゾに限らずあらゆる音源の再生音質向上に効果を発揮するという面だ。ハイレゾに興味のない方でもこれらのコーデックには注目してほしい。

またaptX HDは48kHzまでの対応だが、サンプリングレートの部分でデータ容量がかさばらない分だけ圧縮率は下げられ、トータルで考えると逆に有利になる場面もあるかもしれない。

例えばだが、96kHz/24bitの音源を圧縮して伝送する際、96kHzまでフルに生かしたままであるビットレート(データ量)に圧縮するのと、96kHzから48kHzに落とした上でそれと同じビットレートに圧縮する場合を考えてみる。サンプリングレートとそれに由来する情報量を維持するという面ではもちろん前者が有利だ。しかし圧縮率を低くできるという面では後者が有利。

このあたりは常にどちらかが有利とは判断し難い。それぞれの考えがあってその仕様にしたのだろう。また日本とアメリカでは業界のいわゆる「ハイレゾの定義」が異なるので、そこも判断に影響しているかもしれない(RIAA=アメリカレコード協会等のハイレゾロゴの要件は「ロスレスで48kHz/20bit以上」)。

しかし「優劣つけ難い」となると、ユーザーとしてはどちらを選べばよいのか悩ましい。とりあえずはどちらのコーデックにも対応する機器が増えていってくれればベターなのだが…

遠藤氏「実は今の時点では両方に対応する機器の開発は難しいのです。どちらのコーデックもベーシックなチップには組み込まれていないのでオプションとして追加する形になるのですが、開発環境が一致しないことなどでそれが難しくて…」

残念。まあ「今の時点では」という言い回しだったので、少し先の話として期待しておこう。

さてそして今回の話としては「iPhoneには採用されるの?」というのが重要なポイントなのだが、もちろん現時点では全く不明だ。しかしAppleはMacにおいてはaptXに対応しており、aptX側については採用実績があるにはある。こちらも期待はしておきたい。

次ページAppleの「高音質」戦略はどうなる?

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