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公開日 2008/08/01 15:50

デノンのオーディオ技術を投入した“CXシリーズ”の一体型モデル「RCD-CX1」

SACD/CDプレーヤーとステレオアンプを一体化
大橋伸太郎
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デノンはこれまで“CXシリーズ”で、音質はハイコンポの枠から抜け出し、コンパクトネスでフルサイズに差をつけた。しかも、プリメインアンプPMA-CX3シリーズには、音にハイブリッドらしい新鮮さがあった。今回このCXシリーズに一体型モデルの本機が加わった。プリメインアンプとSACDプレーヤーを一体化した新しいいでたちである。コンパクトネスの方を一気に進めた、新機軸の製品と言っていい。

RCD-CX1

同じシリーズの単品モデルであるPMA-CX3は、同価格のフルサイズ単品を超える性能を実現することを目標に置いていたアンプだった。そのために、増幅段はアナログ波形比較型パルス幅変調方式、電源部は安定化電源別回路のスイッチング方式というハイブリッド形式をデノンで初めて採用した。このアンプ形式をそっくり移植したのが、RCD-CX1である。

増幅段は、ICE powerと考えて良い。ICE powerはデンマーク工科大学のニールセン教授が開発したPWM(Power Wave Moduration)を使ったデジタルパワーモジュールである。共同開発企業のB&Oを始め、ジェフ・ローランド、パイオニアなど多くのオーディオメーカーが採用することから推察される通り、音質革命を果たしたオーディオ用デジタルデバイスである。デノンは、オーディオ機器としてミニマムサイズのRCD-CX1にそれを大胆にも採用したのである。

RCD-CX1でもう一つ注目したいのは、SACD再生に引き続き対応したことである。プレーヤー部からアンプへの入力形式はPMA-CX3同様にアナログなので、一体型構成を生かした信号の伝送上の特徴があるわけではないが、前作の手法を引き継いだということだろう。それでは、最初にデノンがシステムとして推奨するスピーカーシステム、DALI MenuetIIと組み合わせて試聴を始めよう。

まず、RCD-CX1でなければ聴けないSACDから。曽根麻矢子の「バッハ平均律クラヴィーア曲集第一巻」は、色づきがなくシャープで繊細な音像がやや奥まって表現される。音色には寒色系の色気がうっすらあって、この描写はCX3で聴いたもの。チェンバロの分解能も高い。この演奏はプレーヤーの能力が低いと、両手が演奏する音の位置が左右にふらつき散らばるが、RCD-CX1はコンパクトなシステムにして一音一音の低位が安定し、全体に曇り、濁りがない。

同じデノンのアナログプレーヤーDP-1300MkIIを接続した。今回聴いたLPはジョニ・ミッチェルのフュージョン期の名盤「逃避行」。スピーカーをB&WのCM1に交換し、もう一度聴き直すと、ボーカルの生々しさ、バックの楽器の音像の奥行きの深さと高さといった空間表現、ジャコ・パストリアスのエレクトリックベースの重量感とも格段に向上。CM1のバッハ平均律はなかなかの聴き物だった。チェンバロの一音一音が克明でリアリティがあり、音像がタイトで響きも自然で過剰にならない。S/Nに優れ音が虚空に見えるように描かれる。バッハの秩序だった宇宙を透視していくようである。

モニターオーディオのGSに交換すると、高さと容積の余裕の分、バッハは大きく豊かな音場である。チェンバロの紡ぎ出す音の低位は実に安定してふらつきがいない。CM1のような内省的な美はないが、力強さと憂愁を併せ持っている。建築は「凍れる音楽」なのだそうだが、その中をゆるやかに吹き抜ける風を感じさせるような音楽である。

デノンのRCD-CX1は、CXシリーズの新展開に恥じない音楽美を持ったオーディオ機器である。そのオーディオ的部分を補足しておくと、デジタルアンプにもウォームアップが必要である。このアンプも約3時間を費やした試聴が進むほど、音質から荒さが消えてきた。コンパクトで合理的構成を実現したRCD-CX1だが、こうした僅かばかりの手間は惜しまずに使ってほしい。それも、オーディオの楽しみの一部なのだから。

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