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公開日 2022/04/16 10:51

Twitter、マスク氏の買収表明に「ポイズンピル」で対抗を表明【Gadget Gate】

言いたいことも言えないこんな世の中は…
Munenori Taniguchi
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Twitterの取締役会は、イーロン・マスクが提案した430億ドルでの企業買収への防衛策として、期間限定の株主権利計画(ライツプラン)を採用し、既存株主に対して、事前に新株予約権を発行することを決めたと発表した。

これはいわゆる「ポイズンピル(毒薬)」とよばれる手法で、既存の株主に新株予約権を与え、これを行使して新株を発行することで株式数を大幅に増やし、買収を試みる者の持ち株比率を低下させる。これによって、買収を試みる者が支配権を獲得するのが難しくなるという仕組みだ。


Twitter取締役会は「Twitterを買収しようとする未承諾で拘束力のない提案を受け」たため、この計画を実行することで「公開市場での買い集めを通じて、いかなる団体、個人、グループもTwitterの支配権を獲得する可能性を低減させる」とプレスリリースで述べている。

ただしTwitterは、取締役会が会社と株主にとって最善の利益になると判断した場合は、ライツプランは買収提案に応じることを妨げないと説明。なお、米証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、この計画は1年間有効とされる。

イーロン・マスク氏は4月4日にSECに提出した書類で、Twitterの株式を9.2%取得し、筆頭株主になったことを明らかにした。そしてマスク氏はTwtterの取締役会入りの権利を得て、その経営に加わることがTwitter CEOパラグ・アグラワル氏によって発表された。しかしこのときにTwitterがマスク氏に提示した条件は、取締役としての任期中および退任後90日間、マスク氏はTwitter株式を全体の14.9%以上所有しないと約束するものだった。

マスク氏は、アグラワル氏が取締役会にマスク氏を迎え入れると発表した翌日、このオファーを辞退することを明らかにし、SECへの提出書類を修正して、株式買い増しを可能とした。この動きはマスク氏がTwitterの買収に動く可能性を示唆していた。

ちなみにマスク氏が買収を表明した15日、Twitterの株価は下げ基調で推移し、終値は1.7%の下落となった。またCNBCによると、米投資銀行Stifelのアナリストは、Twitterが“イーロン・サーカス”に巻き込まれているとして、株を“売り”に格下げしたとのことだ。

「18%のプレミアム価格で買収を提案されたと報じられた企業が、そのニュースのせいで株価が下がるなどということは、そうあるものではない」とCNBCは伝え、投資家がマスク氏によるTwitter買収を快く思っていない、もしくは実現性が低いと見ている可能性が高いとした。

イーロン・マスク氏には熱狂的なファンがいることは間違いなく、また本人はテスラとSpaceXという、どちらもかつては実現不可能と言われた事業を軌道に乗せて来たカリスマ的起業家といって差し支えない。

しかし近年のウォール街におけるマスク氏の評価は、甘い見通しで彩られた実現不可能そうな目標や製品開発スケジュールを威勢良く宣伝するだけで、予定どおりに行くことはほとんどないという見方が多く、特に大きな金融取引となると、それを完遂する意志があるか懐疑的な見方をすることのほうが多いとCNBCは伝えている。またSpaceX、テスラ、The Boring CompanyのCEOを務めるマスク氏がTwitterを買収したとして、「その経営や改革に集中できる時間は限られることが懸念される」とみずほ証券のアナリストはCNBCに述べた。

一方、マスク氏の資産についても懐疑的な見方が出ている。マスク氏の資産は約2,650億ドルあるが、そのほぼすべてがSpaceXとテスラの株式保有に絡んでいるとも言われている。マスク氏はSECへの提出書類で、財務アドバイザーとしてモルガン・スタンレーを雇ったと述べているが、他に資金計画の後ろ盾となる会社との提携があるのかは述べていない。

またマスク氏は、Twitter買収の提案を明らかにした同日、カナダ・バンクーバーで開催されたTED 2022カンファレンスでトークゲストとして出演した際、MCから買収提案が拒否された場合の「プランB」はあるのかと尋ねられ、「ある」と回答している。ただそれでも、実際にTwitterを手に入れられるかどうかは「わからない」と述べた。

株式調査会社New ConstructsのCEOデヴィッド・トレーナー氏は、今回の入札は「Musk氏が注目を集めるための必死の試み」であり、Twitter社の価値を高めるため真面目にやっているものではないと指摘している。

Source:PRNewswire
via:The Verge, CNBC(1), (2)


※テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」を近日中にローンチ予定です。本稿は、そのプレバージョンの記事として掲載しています。

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