公開日 2022/07/28 15:15

裁判官もラクしたい? 判決文をWikipediaから引用する傾向が明らかに【Gadget Gate】

誰が書いたか分からないWikipedia、そのままの引用は危険
多根清史
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
調べる時間がない、できるかぎりラクをしたい……そんな時にWikipediaを頼りにするのは、学生やネット論客だけではなさそうだ。

Image:WESTOCK PRODUCTIONS/Shutterstock.com

MIT CSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)の研究チームによると、ある事件に関連するWikipedia記事が存在している場合、裁判での判決文で、事件への言及が20%以上も増えたという。この増加は、その事件が裁判官の主張を補強する場合に顕著であり、ときにはWikipediaのテキストそのものが判決に現れたこともあったそうだ。

まず研究チームは、法学部の学生にアイルランド最高裁の判決について150本以上の記事を書かせた。そのうちの半分は、裁判官、弁護士、事務員がアクセスできる場所に無作為に公開。残りはWikipedia記事がない場合との比較のため、オフラインで保管されたとのことだ。

公開をランダムにすることで、判決カテゴリの偏りをなくしたわけだ。その結果、Wikipedia記事が公開されていることと引用の間には、真の因果関係があることが示されたという。

またアイルランドの法制度は、理想的な実験場だったとも語られている。高等裁判所の判決が、下級裁判所に対して拘束力があることは米国と同じではあるが、もともとアイルランド最高裁の判決に関するWikipedia記事は米最高裁よりも少なかった。

そのためプロジェクトの結果として、「(アイルランド最高裁の)記事の数を10倍に増やすことができた」そうだ。つまり有意なほど記事を追加できたことで、因果関係も見えやすくなったのである。

そして引用が急増したのは、最高裁や控訴裁判所ではなく、主に下級審(高等裁判所)からだった。裁判官や書記官は多忙な裁判に対応するため、Wikipediaを使っているとCSAILは推測している。時間を節約するために、ありものの素材を活用していると示唆しているわけだ。

Wikipediaは必ずしも正確ではなく、時として思い込みや意図的な誤情報が混ざっている。裁判官は欠陥ある記事を元にして判決を下すかもしれないし、悪意ある何者かが、裁判結果を歪めようと記事を操作する可能性さえあるのだ。

この研究の共著者であるBrian Flanagan氏は、法曹界はオンラインの記事が包括的か、また専門家によるものか確認する必要があると述べている。このことは裁判官だけでなく、情報発信や責任ある判断を下す、全ての人たちが注意すべきことだろう。

Source: MIT News
via: Engadget

テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」のオリジナル記事を読む

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 女子プロゴルフ「ニチレイレディス」6/19から3日間の放送・配予定
2 NTTソノリティ、耳を塞がない集音器「cocoe Ear」一般発売開始。テレビ向け送信機も同時発売
3 音楽の熱量や快感までも引き出す。コスパ抜群、FOCALのアクティブスピーカーの可能性は無限大!
4 テレビの映りが悪い!真っ先に確認したい3つのポイント
5 7畳に4K/100型&5.1.4chを実現!Dolby Atmos対応の本格シアター
6 濃厚なアナログ・テイスト、aurender15周年記念の旗艦ネットワークプレーヤー「A1」の音楽性
7 <HIGH END>WiM、初のサウンドバー「WiM Bar」発表。ドルビーアトモス対応、リアスピーカーも追加可能
8 ヤマハの振動板技術が北日本音響のスピーカーユニットに採用。9cmフルレンジユニット「MS-TAMANEGI」
9 ゼンハイザー初のイヤーカフ型イヤホン「ACCENTUM Clip」。LDACにも同社初対応
10 Google、Gemini搭載の新スマートスピーカー「Google Home スピーカー」
6/19 10:49 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー 201号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.201
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • analog Grand Prix