ガジェット 公開日 2023/01/05 19:59

垂直な壁をよじ登る犬型四脚ロボット「MARVEL」。“肉球”の磁性を瞬時に切替

磁石がくっつく場所ならおまかせ
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Munenori Taniguchi
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韓国の国立大学KAISTの研究チームが、鉄製の垂直な壁や天井を自由によじ登ったり、逆さまになって歩いたりすることが可能な犬型四脚ロボット「MARVEL」を開発した。MARVELとは「Magnetically Adhesive Robot for Versatile and Expeditious Locomotion」の略とのこと。

MARVELは便宜上、犬型とは表現したものの、その外観はBoston Dynamicsのロボット犬「Spot」のようにスッキリとしたものではなく、各部のメカがむき出しになった、ターミネーターで言えばエンドスケルトン状態。まだ開発途上のプロトタイプであることをありありとうかがわせるものだ。

だがこのMARVELは、すでにSpotやその他の類似ロボット犬にはできない芸当をひとつ持っている。それが鉄製の壁面や天井面をすいすいと歩く機能だ。

ある程度の知識をお持ちの読者なら「なんだ足の裏に電磁石を仕込んだだけか」と思われることだろうが、単純に電磁石を使って壁面に張り付いた状態を保とうと思えば、このロボット犬は常に電磁石に通電して磁力を維持しなければならない。とすれば途中でバッテリー切れを起こしてしまうと、地面に落下する最後を迎えてしまうことになる。MARVELはそうではなく、電力を消費せずに壁面や天井面に立った状態を維持する機能を備えているのが大きな特徴だ。

ではいったい、どうやってその機能を実現したのだろうか。研究チームは電気永久磁石(Electropermanent Magnet:EPM)と呼ばれる、永久磁石と電磁石の両方の特性を持つような磁気吸着機構と、磁気レオロジーエラストマー(Magneto-Rheological Elastomer:MRE)と称する鉄の粒子とウレタンゴムなどを混ぜ合わせた弾性材料を、このロボット犬の足裏、つまり肉球部分に採用した。

これによって、このロボットは少ない電力で足裏を着磁/消磁できるようになっている。また電力は磁気特性を切り替えるときにのみ消費される。つまり、磁力を維持するための電力を必要とせず、バッテリー消費が少ない。

足裏の磁力は十分に強力で、垂直方向に最大54.5kg、水平方向に最大45.4kgの外力が加わっても、壁や天井に立った状態を維持できるとのこと。参考までに記しておくと、MARVEL本体の重量は約8kgだ。

磁力の切り替えが非常に早いのも特徴的で、MARVELは鉄製の壁を最大70cm/sでよじ登り、天井面でも最大50cm/sで歩行できる。また壁面でも天井面でも5cmていどの障害物は乗り越えて行くことが可能だ。

さらに足裏に弾性があるため、たとえば経年劣化により塗装が浮いたり剥がれたりした鉄製の垂直面でも、速度はやや遅くなるものの問題なく歩行できることが実験で確認されている。これは船舶、橋梁、電波塔、貯蔵タンク、建設現場の鉄骨といった場所の保守点検や修理の場面において、このロボットが活躍できる可能性を示している。従来なら高所作業用の足場を組み、作業員が目視や打音などで点検する必要があった作業を、ロボットが代わりにこなすようになれば、足場からの転落などといった災害の発生リスクを減らすことができそうだ。

研究者は「歩行型ロボットの活躍の場を拡げ、その機動性を生かすための基盤技術になり得ると考えている」と述べている。

Source: Science Robotics
via: KAIST, New Atlas

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