公開日 2021/01/29 12:55

「腹筋の割れ目まで見える」8Kライブビューイングを体験! 和太鼓集団の全力パフォーマンスに圧倒

水やスモークなど特別な演出も
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
新型コロナウイルス蔓延の影響で、人を集めてのライブイベントは以前厳しい状況が続いている。無観客によるオンライン配信など新しい取り組みが広がる中で、「高臨場感ライブビューイング」という可能性に賭け新しい取り組みを続けているのが、映像コンテンツサービスを多角的に手がけるIMAGICAグループだ。

大分県を拠点に活動する和太鼓集団DRUM TAOが、IMAGICAと組んでROPPONGI EX THEATERで開催した「祭響 -RELIVE-」は、ライブビューイングの臨場感をさらに高めるさまざまな仕掛けを施した実験的なプロジェクトである。文化庁の「文化芸術収益力強化事業」委託業務として、国の助成金を得て実現したものである。

ROPPONGI EX THEATERで開催された高精細ライブビューイング「祭響 -RELIVE-」(以下、公演写真 (C)2021 IMAGICA GROUP Inc. All Rights Reserved.)

このライブビューイングは、昨年12月に大分県iichicoグランシアタで開催されたDRUM TAOツアーファイナルのライブパフォーマンスを、横12m×縦3mという超巨大スクリーンで8Kクオリティで観賞できるというもの。録画したステージをたんに再生するだけではなく、スクリーンの下に特設の「水」ステージを建設。和太鼓のリズムに合わせて波紋が動いたり、噴水ショウが行われるなど、シルク・ド・ソレイユの『オー』を思わせるような舞台装置が展開される。

カーヴしたスクリーンの前に特設の水ステージを用意。太鼓の鳴りに合わせて波紋や噴水が現れる

スクリーンへの投影には、パナソニックのPT-RQ32KJという業務用のレーザープロジェクターを2台使用。ステージ全景、寄り、真上など、4台のカメラで撮影した公演の模様を、このイベントのために特別に編集。DRUM TAOのステージの魅力は、ダイナミックな和太鼓の演奏に加えて、ステージ上を縦横無尽に動き回るダンスパフォーマンスにもある。殺陣やフラッグパフォーマンスといった小道具も効果的に使いながら、ミュージカルさながらの多幸感あるステージを繰り広げる。

巨大なスクリーンと8Kクオリティにより、メンバーのパフォーマンスをほとんど等身大に近いサイズで見られるのは壮観だ。綺麗に割れたシックスパックの筋まで確認でき、鍛え上げられた肉体美に惚れ惚れしてしまう。ある意味「見え過ぎてしまう」ほどの迫力である。

鍛え上げられた肉体のディテールまで確認できる!

楽曲によってはスモークによる演出も加えられる。篠笛や箏といった和楽器の音色により幽玄の世界に誘われ、リアルとバーチャルの境目が曖昧になってくる。

スモークによる演出で幽玄の世界をたゆたう

ライブビューイングにあたり、水やスモークといった仕掛けを加えるというアイデアは、クリエイティブ・プロデューサーを担当したIMAGICA EEXの諸石治之さんのアイデアによるもの。DRUM TAOは和太鼓の魅力を世界に広げるべくグローバルに活躍の場を広げているが、現在のようなパンデミックが広がる状況では、世界ツアーを行うことは困難を極める。しかし、「水」と「スモーク」ならば、どこの国でも現地調達できる。そういった海外でのライブビューイングの可能性も視野に入れて企画されたのだという。

「祭響 -RELIVE-」のクリエイティブ面を担当したIMAGICAの諸石さん(左)とビジネス面でのサポートを行った早川さん(右)

今回のイベントは、DRUM TAOの公式ファンクラブ向けに、座席数を限定し無料で開催されている。これは、助成金を受けての実験的プロジェクトだからこそ実現できたことではあるが、単に1回のプロジェクトだけて終わってしまっては、本来の意味のアーティスト活動の持続性には繋がらない。

IMAGICA GROUPビジネスディベロップメント部副部長の早川正祐さんも、「このようなライブビューイングに対し、チケット代をいくらいただくのが良いかは非常に難しい問題です」と頭を悩ませる。しかし、実際に体験をした方の意見では、コンサートと同等程度でも十分満足してもらえるのではないか、という手応えも感じているという。

映画館などでのライブビューイングそのものはコロナ禍以前からさまざまな取り組みがなされていたが、超高解像度かつステージセットにまでこだわったものは多くはない。IMAGICAはすでに寺田倉庫でロックバンド「MY FIRST STORY」の高精細ライブビューイングを開催、今後もいくつかのプロジェクトが進行中だという。新たなエンタメの可能性に期待したい。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX