マイケル・ジャクソンを“レコード”で聴く意義。世界最高峰の才能が作り上げた、シングル盤・貴重盤も紹介!
栗原祥光マイケル・ジャクソンの軌跡を描く映画『Michael/マイケル』が全国公開された。この機会に、今一度マイケル・ジャクソンの音楽に触れてみては如何だろうか。できればパッケージメディア、特にレコードで……。
MJをレコード聴くべき理由とは?
なぜ不肖はマイケル・ジャクソンをレコードで愉しむのか。それは『Off the Wall』(1979年)、『Thriller』(1982年)は言うに及ばず、2001年にリリースした最後のスタジオアルバム『Invincible』までレコード盤を販売していたからだ。
特に『BAD』(1985年)以降は、アナログよりもCDの方が売り上げが多かったことは想像に難しくない。にも関わらずレコードを出し続けていた。
彼が活躍した時代は、パッケージメディアがレコードからCDへと変化した時期でもある。だが、デビューから他界するまでアナログ盤をリリースしていたのだから、彼はレコードに何かコダワリがあったのではないか? それが、レコードで聴いた方が好ましいのではないかと思う理由である。
またレコードのほうがジャケットが愉しめるというのもある。特に『Dangerous』(1991年)は、「ポップ・シュルレアリスムのゴッドファーザー」と呼ばれるアメリカ人画家マーク・ライデンの手による53cm四方のアクリル画で、制作に半年がかけられたという大作だ。
12cm四方の小さなCDジャケットよりも、30cm四方のレコードジャケットの方が段違いの美しさだ。
またシングル盤を集めるのも楽しい。これらには、この盤でしか聴くことができないリミックスバージョンが収録されているのだ。
そのどれもが一流品であり、オリジナル楽曲とは違う魅力を放っている。こうしたリミックス曲は配信で聴くことができないものが多く、それゆえ見つけたら即買いしてしまう。
MJのシングル盤からフェイバリットを紹介!
ここから先は、個人的に好きな楽曲をご紹介する。1曲目は『BAD』の12インチ・シングル盤「SPECIAL 12” SINGLE MIXES」に納められている「BAD(DANCE EXTENDED MIX INCLUDES “FALSE FADE”)」だ。
不肖はEU盤と国内盤を所有しており、EU盤はこのバージョンとカラオケ、アカペラ(音声トラックのみ)の3曲、国内盤はさらに7インチシングルミックスと「BAD(DANCE EXTENDED MIX INCLUDES “FALSE FADE”)」のショートバージョン「DANCE REMIX RADIO EDIT」が収録されている。
一見国内盤の方がオトクだし厚紙ジャケットで綺麗なのだが、EU盤の方がキレのある音がして好みだ。
「BAD(DANCE EXTENDED MIX INCLUDES “FALSE FADE”)」の魅力は、8分30秒の中に様々なインスト・プレイが織り交ぜられていること。ちなみにオルガンを演奏しているのはジミー・スミスである。
そして“FALSE FADE”(嘘の終わり)の名の通り、フェードアウトしたと思いきや曲が始まるのが楽しい。この楽曲でしか聴けないマイケルの歌声もある。比較的手に入りやすい点も魅力だ。
リミックスにも注目「Remember the Time」
2曲目は『Dangerous』の第2弾シングル「Remember the Time」。アルバムの共同プロデューサーであり、ニュー・ジャック・スウィングの開祖でもあるテディ・ライリーと共に作り上げた、R&Bとヒップホップを融合させた躍動感のあるビートに美しいメロディが乗ったダンスナンバーだ。
そのリミックスアルバムは、当時人気のリミキサーであるエリック・ミラー(E-Smoove)とスティーブ・“シルク”・ハーレーによるもの。
このアレンジも当時の空気を漂わせて楽しい。だがメインはB-2に納められたテディ・ライリーの手による12 Main Mix。これこそ彼が作りたかったであろう 「Remember the Time」であると、不肖は勝手に解釈している。とにかく出来栄えが素晴らしいのだ。
この 「Remember the Time」のシングルカットには、2枚組のプロモ盤が存在する。これにはさらに凄いヴァージョンが入っているのだが……。とにかく手に入らない!
不肖は偶然見つけて手に入れることができたが、一部傷などがあり、もう1セット買わねばと思っている次第。ココまでくると沼なのだが、それがいまだ入口だったりする……。
超貴重!私家盤 「Man in the Mirror」
個人的に最も好きなマイケル・ジャクソンの曲が「Man in the Mirror」だ。アルバム『BAD』からの第4弾シングル曲で、『BAD』に収録されている曲中、自作ではない2曲のうちの1つである。
作詞は「I Just Can't Stop Loving You」のデュエット相手で、クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子であるシンガーソングライターのサイーダ・ギャレット。「Man in the Mirror」でも、その歌声を披露している。
マイケル・ジャクソンはこの曲が気に入っていたようで、『Bad World Tour』、『Dangerous World Tour』、『THIS IS IT』のフィナーレに選んでいた。
そのUS盤12インチ・シングルを長年探し続けているのだが、見たことがない。そこで本稿では私家盤と思われる1枚をご紹介させて頂く。これこそが沼の中の沼である。
この盤には、イギリス出身の世界的DJであるマーク・ロンソン主宰レーベルAllidoに所属するライムフェストによるヒップホップバージョンが収録されており、それもそれで面白いのだが、目玉はサイーダ・ギャレット本人によるアカペラ・バージョン。どこで録られ、なぜ収録されているのかもワカラナイが、これが感動モノの出来栄えなのだ。
ゴスペルのようなバックコーラスを従え、R&B系歌手らしさのある堂々としたパフォーマンス。でありながら、どこかマイケルっぽさを感じさせるところも面白い。ともあれクインシー・ジョーンズの秘蔵っ子と呼ばれる所以も理解できる1曲だ。
◇ ◇ ◇
と、3曲を紹介したが、思うのは「マイケルも凄いが、回りに集まった人もまた凄い」ということだ。
当時の世界最高峰の才能がキングの元に集まり、最高の音楽を創り上げた。それがマイケル・ジャクソンの音楽なのだと思う。レコードを通して、彼の“ヒストリー”を辿ってみてはいかがだろうか。
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