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公開日 2021/10/08 06:30
【特別企画】ユーザビリティの高さも兼ね備えた隙のなさ

これぞデノン、音質最優先。ブランド初完全ワイヤレス「AH-C830NCW/C630W」レビュー

野村ケンジ

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デノンから、ブランド初となる完全ワイヤレスイヤホンが2モデル同時に登場した。ハイブリッドANC(アクティブノイズキャンセリング)機能搭載の「AH-C830NCW」と、スタンダードモデル「AH-C630W」だ。

「AH-C830NCW/C630W」

現在、完全ワイヤレスイヤホンは、オーディオメーカーに限らず、スマートフォンメーカーやアクセサリーメーカーなど様々な会社から発売されている。そんな状況の中にあってデノンは、どちらかというと“後発”といえるタイミングでの発売となったが、逆にそれを積極的に活かしているのだろう、高いユーザビリティを有している。

たとえばイヤホン本体のデザインは、メインボディからスティックが伸びた、完全ワイヤレスイヤホンとしては主流のひとつといえるデザインを採用しているが、ひとたび装着してみると、既存の製品に対して高いフィット感を実現していることに気がつく。

これは、メインボディを独特なデザインで設計し、片側5g前後というかなりコンパクトなサイズにまとめ上げられているため。ドライバーはもとより、通信系やデジタル部まで内蔵しなければならない完全ワイヤレスイヤホンで、このサイズ感というのはなかなかに優秀だ。

一見すると普通のスティック型完全ワイヤレスだが、他にはない独特のデザインとなっている

実際、デザインの決定までには3Dシミュレーションを繰り返し、24もの実物サンプルを試作するなど、徹底した検証を行ったという。おかげで、装着感がとても良好で、ちょっとした運動をしていても落ちにくい絶妙な形状に作り上げられている。耳の小さな女性であっても、違和感なく収まってくれるのは嬉しいかぎりだ。

ブラックとホワイトというボディカラーのためか写真では分かりづらいかもしれないが、結果として、他社製品とは印象の異なる独特な外観に仕上がっているのも好印象。似通った製品が並ぶなか、このような、実用性を伴った個性派デザインを採用している点は、大いに歓迎したい。

また、片側だけでの利用も可能だったり、IPX4の防滴性能を搭載していたりと、日常的な使い勝手のよさにも十分な配慮がなされており、日本メーカーならではのきめ細やかな造りの良さが垣間見られる。

AH-C630W(左)はマット仕上げ、AH-C830NCW(右)は光沢仕上げを採用。830NCWはスティック先端部に銀の飾りパーツが施されている

特に上位モデルのAH-C830NCWは、フィードフォワード+フィードバックのハイブリッドANCに加え、駅でのアナウンスを聞きたいときや買い物レジなどで重宝する「周囲音ミックス機能」や、片側3つのマイクとビームフォーミング技術、エコーキャンセル技術などによって実現された良質な通話音声、バッテリー持続時間の向上や音漏れ防止に効果的な装着センサー、Google Fast Pair対応による簡単接続など、かなりの魅力と充実度を誇る、インテリジェントな機能性を備えている。

特に周囲音ミックス、一般的には「外音取り込み」などとも呼ばれる機能に関しては、まわりの話し声の方向や声色などがリアルに感じられる絶妙な調整に仕上がっていて、大いに感心させられた。これほどまでに自然な外音取り込みは、現在の最新モデルを見回しても滅多に存在しないレベルだ。

一方で、ANCや周囲音ミックス機能への切り替え時には短い効果音が鳴るだけで、音声アナウンスがないことにも触れておきたい。これは駅のアナウンスなど、とっさの外音に反応して周囲オンミックスへと切り替えても、音声アナウンスが邪魔して結局聞き逃してしまうことがあるためだという。こういったユーザビリティに関する細やかな配慮もさすが日本メーカー、さすがデノンといえる部分だ。

ケースの裏にはペアリング用のボタンも装備。細かいところにユーザビリティの高さが窺える

大口径ドライバー&サウンドマスター山内氏チューニングの“音質最優先”モデル

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