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公開日 2017/07/13 10:40
ダイアモンド・コーティングしたトゥイーターを採用

【製品批評】MAGICO「S1 Mk2」ー 新ユニット採用など大幅刷新で表現力をさらに向上

角田郁雄



スピーカーシステム
MAGICO
MAGICO S1 Mk2
M-CAST仕上げ(6色):¥2,400,000(ペア/税抜)、M-COAT仕上げ(6色):¥2,800,000(ペア/税抜)



現代のスピーカー技術の主流は、スピーカーユニットの再現性を高めるため、キャビネットの不要な振動、共振を抑える手法を考え、空間にリアルな演奏のさまを描くことを、ほぼ共通のテーマにしている。私が愛用するMAGICO(マジコ)の「S1」もそのひとつだ。

その特徴と魅力は、ベリリウムトゥイーターの持ち味が活かされたブリリアントな輝きのある高域と緻密で厚みのある中域、サイズを超えたリニアに伸びる低域。そして、透明度の高い倍音と空間の再現性だ。壁に比較的寄せられる設置のしやすさ、電源が充実した50W以上のAB級プリメインアンプでも鳴らせることなども、S1の長所といえる。

このS1がさらに進化を遂げたのが、「S1 Mk2」だ。大きな変更点としては、トゥイーターの28mmベリリウム振動板にダイアモンド・コーティングが施された。これはマジコによる世界初の試みで、10周年記念モデル「M-Project」や「Q7」でも採用。S1 Mk2ではさらに最適化し、広い指向特性と低歪みを実現したそうだ。

エンクロージャーの内部。オリジナルS1は5層のブレースがエンクロージャーに向かってテンションを掛ける形で固定されていた。一方のS1 Mk2はブレースをエンクロージャーに溶接することで、シンプルかつ4層でも十分な剛性とダンピングを実現

7インチ・ウーファーは強固で軽量かつ多数の小さな気泡をもつロハセル素材をコーンの中心素材に使用し、表は黒色のカーボンナノチューブとしている。ここまではオリジナルS1と同じ素材だが、今回は後面に六角のハニカム分子構造を持つグラフェンを一枚追加した。各素材の厚みが異なるようで、従来よりも20%軽く、300%強度が増したという。

メインキャビネットは、約9.5mm厚のアルミ引き抜き材で、天板の厚みが増し、中心部に膨らみがある。内部振動と共振を低減させるために設計された5ヶ所の筋交い構造のフレームも、ネジ留めでテンションを加える方式から、十分なテンションの4ヶ所溶接固定方式に変更。内部空気の流れ、抵抗も最適化した。キャビネットベースの厚みも増し、一体プレート化された。

新形状の天板。エンクロージャーによる回折を最小限にとどめるために凸形状に加工されている

トータルで考えると、不要振動、共振の低減と内部の空気の流れまでも見直し、新ユニットのより正確な駆動力の実現が行われたことが、S1 Mk2の注目点だ。

その音については、前述のような鋭利なナイフをイメージするようなブリリアントな輝きは抑えられ、より自然な高域特性へと変化した。中低域の解像度、量感、音の密度もさらに増し、ピラミッド型の音質に近づいた。この点は、最新のネットワークを搭載したことにも関係するはずだ。S1が備えていた設置の柔軟性の高さ、比較的鳴らしやすいことは、S1 Mk2も継承している。

さらに進化したマジコ、S1 Mk2は、きっと、音楽とオーディオをこよなく愛する方たちのスター的な存在となるだろう。ぜひ一度、この新しい音に触れて欲しい。

(角田郁雄)

Specifications
●形式:2ウェイ2スピーカー/密閉フロアスタンド型 ●使用ユニット:1インチφMB7ダイヤモンドコート・ベリリウム振動板トゥイーター×1、7インチφM390G Graphene Nano-Tecミッドウーファー×1 ●再生周波数帯域:32〜50kHz(+/ー3dB)●推奨パワー:50W以上 ●能率:86dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:250W×230D×1090Hmm ●質量:38? ●取り扱い:(株)エレクトリ


※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」161号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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