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公開日 2017/02/03 10:30
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第177回】Westoneの新たな挑戦!20万円の超ハイエンド機「W80」をレビュー

高橋 敦

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過去を打ち砕く、新たな挑戦の結晶!

Westoneが「W60」を発売したのは2014年の半ばだった。そこから2年以上を経て、先日2016年秋に発売されたのが、今回紹介するユニバーサルタイプの新たなハイエンド機「W80」だ。実売価格は20万円程度。

見た目の雰囲気はこれまでのWシリーズと変わらず、裏から見てもやっぱり変わらない。そこもポイント

ご存知のように同社はインイヤーモニターというジャンル、その源流のひとつと言える存在だ。その評価は確立されており、我々が外側から見た時の印象として王者か挑戦者かといえば、迷わず王者の側に置くブランドだ。矢継ぎ早の新製品投入で話題を集めるといった必要はない。

しかし彼ら自身からは、もちろん源流でありトップブランドであるという自負はあるだろうが、常に挑戦者であるという意識、実際にそうである姿勢も感じる。つまり、W60からW80までの2年を超える空白は王者の余裕からではなく、「当時に達成した高みを超える次の高みをイメージし、それを具現化するという挑戦にそれだけの時間が必要だった」、そういうことなのではないかと思えるのだ。

それでは、今回このモデルにおいて挑戦され実現された「高み」とは何なのだろうか?サウンドとしてはさらにナチュラルな広がりであり、そのための技術要素として、ドライバー構成をW60の低域2基 + 中域2基 + 高域2基から、低域2基 + 中域2基 + 高域4基に拡張している。

高域のドライバーを増やしているわけだから、その主な狙いは高域ドライバー単基ごとへの負担の低減と、より透明感の高い伸びやかな高域再生といったところだろう。音楽再生においては単純に、より自然で心地良い響きや空間性を期待できる。

しかしこのジャンルを注視してきた方なら、数年前に同社が当時のカスタムハイエンド「ES5」のドライバー構成を説明する際に、『5基を超えるドライバーを搭載してもその効果は少なく、またユニバーサルモデルのシェルに収めることは5基でも難しい』というように語っていたのを覚えているかと思う。その後のW60、そして今回のW80に、その時の発言との矛盾を感じたかもしれない。

だが、同社が王者でありながら挑戦者でもあり続けていると感じるのは、まさにそういった部分だ。当時においてのその話も、「6基や8基を搭載した試作機も製作したがうまくいかなかった」という実際の挑戦を経てのものだったという。

しかし彼らは、その「当時の自分たちには達成できなかった挑戦」の中にある可能性を捨てたわけではなく、当時にクリアできなかった課題をしっかりと持ち越して挑戦し続けてきた。その成果がW60でありW80なのではないだろうか。なお、今回も8基に落ち着くまでに、9基や10基や11基といった構成も試したとのことだ。

実際に、特にシリーズ従来のコンパクトで装着感に優れるシェルのデザインやノズルの細さを崩すことなく6基さらには8基と搭載ドライバー数を増やすことには、相当に苦労したようだ。

この細いタイプのノズルも同社がこだわっているポイントとのこと

限られたスペース内での適切なドライバー配置が重要

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