4K UHD BD『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』、ファン以外にもおすすめしたい! 名盤の制作過程をDolby Atmosで追う
4K Ultra HD Blu-rayの注目タイトルをプロの評論家が画質と音質の評価チャート付きで紹介する連載企画。今回のタイトルは現在発売中の『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』。画質と音質の見どころを、大橋伸太郎氏が自宅のホームシアターで徹底的にチェックした。
『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』
STORY
『明日なき暴走』、『ザ・リバー』の商業的成功、ツアーも盛況でロックスターに上り詰めたスプリングスティーン。しかし、彼の心に映るものは頂上からの眺めでなく、自身の内面、少年時代の父との相克に根ざした心の闇だった。社会を震撼させた殺人犯が主人公の小説を手にした彼は、アウトローの心情を音楽で表現してみようと思いたつ。歌の語り手を「彼」でなく「俺」の一人称にした時、名作『ネブラスカ』は産声を上げる…。
映像は陰影豊か、音声は名盤『ネブラスカ』制作プロセスで魅せる
ブルース・スプリングスティーン1982年の『ネブラスカ』のベーストラックが、ティアックの「144 Portastudio」(市販のアマチュア用4トラックカセットレコーダー)を使い、自宅リビングで録音されたことは知られている。最初から宅録を考えたのではない。スタジオで本番の録音を進めていくうちに、内省的でシリアスな曲調とサウンドが乖離し始め、デモテープの音源をそのまま活かすことにした。
転機となった『ネブラスカ』制作時の葛藤を描いた作品である。だから、ロックスターのサクセスストーリーを描いた映画ではない。父親との愛憎に傷つき、自身のルーツとアイデンティティを探す一人のアメリカ人青年…。彼の名がブルース・スプリングスティーン。その意味で異色の音楽家映画と言える。
アメリカ映画は舞台となった時代の自国映画のトーンを再現することが多く、本作も1980年代の落ち着いたフィルムトーンを彷彿させる陰影感豊かな映像だ。
サウンド面の聴き所は『ネブラスカ』の音作りのプロセスに尽きる。「元に戻せない」という反対を押し切って「サンレコード時代のエルヴィスのように」エコー成分を付けるCH9、『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』のスタジオでの一見非の打ち所のないバンド演奏CH11、技師の根気強い努力でカセットテープからマザーが完成するCH14などなど、名作アルバムのサウンドの成長を丁寧に追う。スプリングスティーンファン以外にも薦めたい良心作。
SPEC
●製作:2025年/米 ●ジャンル:洋画ドラマ ●監督:スコット・クーパー ●出演:ジェレミー・アレン・ホワイト、ジェレミー・ストロング ●本編ディスク:約120分、スコープ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos ●字幕:英語、日本語 ●特典:同梱のBDに収録/ザ・ライナーノーツ:メイキング(ACT 1:小説からスクリーンへ/ACT 2:音楽を超えて/ACT 3:スプリングスティーンを演じる/ACT4:本物へのこだわり)




























