100万円超のハイエンド・ネットワークプレーヤー4機種一斉試聴。エソテリック/スフォルツァート/dCS/LUMIN
ネットワークオーディオ強化月間最後の一斉試聴として、ネットワークプレーヤーの最先端を行く100万円 - 300万円のハイエンドモデルを取り上げる。エソテリック/スフォルツァート/dCS/LUMINの4ブランドの一斉試聴をお届けしよう。

「特に秀でた部分があること」がハイエンド機には不可欠
ネットワークオーディオを牽引するメーカーは、特別な価値の創出を目指して日々努力を重ねている。自社開発のDACを投入したり、異次元のノイズ対策を徹底するなど、手法はさまざまだが、前に進む姿勢を堅持しないと進化が著しい分野で生き残るのは難しいのだ。
完成させた技術を姉妹機に展開して膨大な開発費をカバーするとはいえ、フラグシップ機の価格が天井知らずなのはやむを得ないのかもしれない。
フラグシップに手が届かない場合はその次のグレードを検討するのが正攻法だ。上位機種の開発で得た成果を引き継ぐ最新世代ならベスト。価格対性能比も最大値を狙える。ここでは、フラグシップ2機種のほか、そのエッセンスを引き継いだ製品、合計4モデルのネットワークプレーヤーを紹介する。
今回ご紹介するネットワークプレーヤー
ESOTERIC「N-05XE」:1,100,000円(税込)
SFORZATO「DSP-Columba」:1,980,000円(税込)
dCS「LINA DAC X」:2,464,000円(税込)
LUMIN「X2」:2,750,000円(税込)
フラグシップ級と他のクラスの違いはどこにあるのか。音が平均を上回るのはもちろんだが、そこにとどまらず、特に秀でた部分があることがハイエンド機には不可欠だ。他の製品では聴けない表現力やディテール描写など、音に優位性があるのが理想だが、デザインや使い勝手も無視できない。所有する悦びが長く持続する製品を選び、充実した音楽生活を手に入れよう。
エソテリック「N-05XE」 - 重心低く静寂表現の底が深い
「Grandioso N1」の設計思想を最速で継承し、自社開発のディスクリートDACを最新世代(G2)に更新したネットワークDACプリアンプ。プリアンプ性能を単独機同等に追い込んだことが強みで、同社のパワーアンプと組めばエネルギーロスの少ない電流伝送も実現できる。
専用アプリ「ESOTERIC Sound Stream」でQobuz音源を再生した。「市民のためのファンファーレ」から骨太かつスケールの大きな音を引き出し、構えが安定し重心も低い。「アリスのためのタンゴ」の密度の高さとアグレッシブな表現も本機の得意領域で、大型スピーカーを含む本格オーディオの送り出しとして使いたくなる。静寂表現の底が深いのでダイナミックレンジに余裕があり、「聖母マリアのカンティガ」を再生すると弱音領域の混濁がきわめて少ないことに気付く。
息遣いや余韻の動きなど、繊細な情報の再現力はミドルレンジ以下のプレーヤーでは真似できないものだ。パワーアンプ直結のシンプルなシステムを構築したいミニマル派にも強くお薦めしたい。Amazon Musicへの対応は現状未定。
スフォルツァート「DSP-Columba」 - 技術志向でタイミングも正確
スフォルツァートは技術志向の強い日本のブランドで、独自の伝送規格ZERO LINKを提唱するなど、最先端を突き進んでいる。フラグシップのDSP-ColumbaはトランスポートとDAC間をZERO LINKでつなぐ2筐体構成で、別体化した付属モジュールからクロックを供給し、プレーヤーシステム全体の完全同期を実現する。DACのデジタル入力はUSB 1系統のみと最小限だ。
TAKTINAアプリでの選曲、「ファンファーレ」はブレスとアタックのタイミングがすべての楽器で正確に揃い、音が出る瞬間の音圧の大きさを強く印象付ける。
「タンゴ」はアコーディオンとヴァイオリンの楽器イメージが鮮鋭で立体感に富み、ベースの支えも力強い。金管アンサンブルの「ナブッコ」は大量の空気が瞬時に動く描写が巧みで、テューバの存在感は今回聴いた4機種のなかでも際立っている。セリアのヴォーカルでもベースの支えが厚いが、声にはかぶらず、セパレーションは高水準だ。
dCS「Lina DAC X」 -音像と空間の再現力が高い
ヘッドホンリスナー向けの「LINA Network DAC」をベースにフルサイズで再構成したネットワークプレーヤーだが、大型のボリュームノブを追加するなどプリアンプの機能性も追求している。
dCSとしては珍しいアプローチだが、それだけ身近な存在になったのは歓迎すべきことだ。独自のRING DACの音を堪能したいなら候補に加えておきたい。今回は固定出力をプリアンプにつないで再生した。
MOSAICアプリは操作時の反応が速く、使用頻度に合わせて機能アイコンを配置するなど、完成度が高い。音楽ファンの心理をよく理解した設計で、今回の4機種ではこれが一番使いやすい。鮮明で立体的な楽器イメージ、部屋を満たす余韻の質感など、音像と空間いずれの再現力も次元が高く、「ファンファーレ」の広大な音場と深々としたステージ描写は圧巻だ。
「聖母マリアのカンティガ」のハーモニーの透明度の高さ、声の微妙な起伏が生む豊かなグラデーションなど、繊細な表現に長けているだけでなく、オーケストラがトゥッティで繰り出す瞬発力も最大級。「タンゴ」のベースのグルーブも強靭だ。ジャンルを横断して音楽を楽しむリスナーにお薦め。
ルーミン「X2」 -自社開発DACで潤いと艶感を引き出す
ネットワークオーディオの経験が豊富なルーミンが満を持して投入した最新のフラグシップで、自社開発のディスクリートDACを採用したことが最大のトピックだ。電源を独立させた2筐体構成は最近のハイエンドプレーヤーのトレンドに沿うもので、ノイズ対策としても絶大な効果を発揮する。
可変出力も選べるが、今回はプレーヤーモードで試聴を進めた。昨年Amazon Music対応を果たしている。
LUMINアプリは一画面に表示される情報量が多いため、タブレットでの運用がお薦め。使用頻度の高いアイコンを大きくするなど、あと一工夫すれば使い勝手が向上するはずだ。J. ウォーンズとセリアのヴォーカルで感心したのは、なめらかで上質な声の感触。トリオ・ツィンマーマンの潤いと艶感をたたえた弦楽器の美しい音色とともに、本機を選ぶ大きな理由になりそうだ。
「ファンファーレ」は空気の揺らぎを思わせる超低音領域まで混濁がなく、見通しの良い空間を引き出す能力が抜きん出ている。ニュートラルな音色とフラットなバランスを重視するリスナーにお薦め。
音質設計の完成度が製品選びの鍵
今回試聴した4機種は100万円から300万円弱と価格レンジが広く、スフォルツァートとLUMINはフラグシップ、エソテリックとdCSは各ブランドのエントリー機という具合に位置付けも異なっている。一体設計とセパレート設計の違いもあり、グレードの高いネットワークプレーヤーの選択肢が多様化していることを物語っている。
音を判断するうえで決め手となったのは、プレーヤーシステムとして各社がどんな音を目指しているのかという「音質設計」の完成度だ。ノイズ対策やクロック精度の追求など、音質改善につながる要素はディスクプレーヤーよりも広範囲に及ぶが、目指す音の根幹はDACとオーディオ回路の設計に大きく左右される。
それぞれの試聴コメントで触れたように、今回聴いた4機種は予想以上に強い個性があり、各社が目指す音の違いが浮き彫りになった。ハイエンドオーディオの条件として最初に挙げた「唯一無二の秀でた部分」も随所に聴き取ることができた。




























