公開日 2019/11/29 06:00

ニコン「Z 50」レビュー。カメラで写真を撮る楽しさが、小型軽量ボディに凝縮!

Zマウント初となる、待望のAPS-Cミラーレス

■緻密でキレのいい描写、高感度性能も優秀


画質は、現行のAPS-Cミラーレスの中で、明らかにトップクラスの実力だ。まず感心するのは、そのキレ味。有効画素数は2088万画素と控えめだが、その画素数を最大に生かしきる、とても緻密でキレのいい写りだ。

もちろん、2000万画素クラスであれば、A3プリントも楽々こなせるので、実用上、なんの心配もないのだが、本機はPCで等倍表示をしても、驚くほど解像感のある絵に仕上がっている。実際、本記事の執筆にあたり、本機を一ヶ月以上じっくりと使ってみたが、その期間中、解像感に不満を感じることは皆無だった。

画素数を欲張っていないことと、最新の画像処理エンジンの搭載により、超高感度撮影時の画質がいい点も見逃せない。本機は最高感度ISO 51200という途方もない超高感度を実現しているが、もちろんこれは、単なるスペックの数値だけではない。


本機の最高感度となるISO51200で撮影した作例。流石にノイズが目立つ部分もあるが、被写体のディテールや、色の鮮やかさは十分に感じられるだろう。

ISOオートでの撮影中、暗いシーンではISO 51200になるケースもあったが、解像感や色調の低下はよく抑えられており、SNS用途などであれば、十分な仕上がりだ。もちろん、ノイズが目立つフラットなシーンでは、さすがに感度なりではあるが、それでもISO12800までは十分に許容範囲。APS-C機でこの高感度性能は十分に優秀といえる。

■小型軽量と高画質を両立した、魅力的なキットレンズ

また、本機の高い解像感を支えているのが優秀なキットレンズだ。本記事に掲載しているカットは、主に本機のキットレンズ標準ズーム「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」と、望遠ズーム「NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR 」を使って撮影した。

本機は、「Z 7」、「Z 6」と異なり、ボディ内手ぶれ補正機能は搭載していない。そのため、手ぶれ補正はレンズ側で行う。2本のキットレンズには、標準ズームで4.5段分、望遠ズームで5.0段分と、補正効果抜群の「光学式VR機構」が内蔵されている。どちらのレンズも望遠側のF値(明るさ)はF6.3とやや暗めだが、十分な手ブレ補正効果で撮影をサポートしてくれた。


標準ズーム「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」のレンズ内手ブレ補正の効果を試すべく、星空を手持ち撮影。シャッタースピードは1/10秒だが、優秀なレンズ内手ブレ補正により、ブラさずに撮影することができた。

また両レンズともに、携帯時にレンズの一部が鏡筒内に収納できる沈胴式を採用。そのため、携帯時のコンパクトさを維持しながらも、使用時には十分な全長が確保できており、高画質化も同時に実現している。

開発者によれば、口径の大きなZマウントは、沈胴させるスペースに余裕があり、高い光学性能を保ちながら、従来以上の薄型化が達成できたとのこと。Zシリーズの大口径マウントは、APS-C機に対しても大きなメリットがあったわけだ。

もちろん、純正のマウントアダプター「FTZ」を併用すれば、従来からの豊富なFマウントレンズを本機に装着することもできる。今回は「FTZ」経由で、FマウントのAPS-C専用レンズ数本を試してみたが、いずれも手頃な価格ながらも描写力は良好で、本機に装着するレンズの選択肢としては十分アリだと感じた。


マウントアダプター「FTZ」を使い、FマウントのAPS-C専用レンズ「AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G」で撮影した作例。一歩踏み込んだ使い方ではあるが、多彩なFマウントレンズを選択肢にできる有効な手段だ。

ただ「FTZ」の定価が36,500円(税抜)と、本機と組み合わせるアクセサリーとしてはやや高価なことが難点といえば難点。欲をいえば、キットモデルのバリエーションとして、「FTZ」を同梱した手頃なキットも発売してくれると嬉しいのだが…。

次ページじっくり試用して感じた、Z 50最大の魅力とは?

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