ガジェット 公開日 2024/01/29 14:32

iPhoneの新機能「盗難デバイスの保護」に重大な欠陥との報告。ただし対策方法あり

「よく知っている場所」を編集できないのが問題
Gadget Gate
多根清史
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
先週、アップルはiOS 17.3をリリースした。その新機能の1つが「盗難デバイスの保護」機能であり、iPhoneがパスコードごと盗まれた場合にセキュリティー対策の壁をもう1枚追加するものだ。

このオプションを有効にすると、保存されたパスワードやクレジットカードへのアクセス等、一部の操作にはFace IDやTouch ID認証が必須となる(有効にする方法は、設定アプリ>[Face IDとパスコード]>[盗難デバイスの保護]をオンにする)。

また、iPhoneにひも付けられたApple IDのパスワード変更など、特に機密性の高い操作には「セキュリティ遅延機能」が及ぶ。こちらはFace IDまたはTouch IDで認証した後、その1時間後に再び生体認証が求められる仕組みだ。

しかし、この機能について、早くも致命的な欠陥を発見したとテック系YouTuberが報告している。

そもそも「盗難デバイスの保護」は、The Wall Street JournalがレストランやバーでiPhone泥棒が増加しており、1件につき30万ドルもの被害があったと報じられた後に発表された。

これら犯行の手口は、まず被害者がパスコードを入力するのを盗み見しておき、その後にiPhone本体を強奪する。さらにApple IDのパスワードをリセットし、「iPhoneを探す」をオフにして追跡やリモートのデータ消去を封じる。

それからiCloudキーチェーンに保存されたパスワードを使い、被害者を銀行アプリ等のアカウントから締め出し、預金や暗号通貨を引き出すというものだ。

だが、新機能の「盗難デバイスの保護」機能を有効にすれば、iPhoneをパスコード込みで盗まれた後も、持ち主の顔や指なしに重要なデータにつきアクセス・改変できない。また、何らかの手段により生体認証を解除させた後も、1時間後にユーザー本人がいなければ、Apple ID関連の重要な操作は不可となる。

ただしこれらは、iPhoneが自宅や職場など、よく知っている場所にある場合は適用外となる。今回の指摘は、それが抜け道になるということだ。

iOSは、ユーザーが訪れる頻度と時間に基づき、「利用頻度の高い場所」を判定する。このデータは通常、Siriの提案や写真アプリの「思い出」などに使われるが、盗難デバイス保護にも使われているらしく、特定のバーやカフェでは無防備になる可能性があるとテック系YouTuberのThioJoe氏は述べている。

たとえばThioJoe氏のiPhoneでは、35の「利用頻度の高い場所」が表示された。最も新しい場所は、週末に一度だけ、数時間しか訪れていない場所だったという。

この情報は、設定アプリ[プライバシーとセキュリティ][位置情報サービス]最下部にある[システムサービス][利用頻度の高い場所]から確認できる。実際、手元のiPhoneでも286件の記録があり、1時間程度いた場所でも表示されていた。

問題は、iPhoneが行き着けの飲食店や公共のたまり場を「よく知っている場所」と判定している場合に発生する。実際、米9to5Macのライターは、ほぼ毎日仕事をしているコーヒーショップ(利用頻度の高い場所)でFace ID認証に失敗した後、パスコードにより「盗難デバイスの保護」機能を無効にできたという。

つまり、「よく知っている場所」の判定は「利用頻度の高い場所」に基づいていると推測されるわけだ。すべての「利用頻度の高い場所」が「よく知っている場所」とイコールかどうか分からないが、少なくとも一部は重複しているようだ。

この「利用頻度の高い場所」は、一括してオンオフを切り替えられるだけで、ユーザーが編集することはできない。オフにすれば泥棒が生体認証なしにオンに戻すことはできないが、ユーザー本人が自宅でも2回のFace IDを要求されることになる。

今後アップルが「利用頻度の高い場所」を編集可能にするかどうかは不明だが、プライバシーと透明性を重視する方針からいえば、対応することが自然にも思われる。今後、iOS 17.4ベータで修正が加わるのか、続報を待ちたいところだ。

Source: ThioJoe(X)
via: 9to5Mac

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX