• ブランド
    特設サイト
ガジェット 公開日 2022/10/17 14:20

中国が台湾に侵攻したら、米軍がTSMCを爆撃するシナリオが一部で検討されている

台湾の国家安全局長「それほど単純じゃない」
Gadget Gate
多根清史
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
今月16日に5年に1度の中国共産党大会が開幕し、習近平総書記(国家主席)が台湾統一を公約するとともに「決して武力行使の放棄を約束しない」と語ったことで、国際的な緊張が高まっている。特に、台湾に拠点を置く世界最大手ファウンダリーTSMCは、武力侵攻リスクの矢面に立たされている格好だ。

そんななか、米政府関係者のなかには中国が半導体製造施設を手に入れるぐらいなら、TSMCの施設を爆撃した方が望ましいとの声もあるとの噂が報じられている。

米Bloomberg報道によると、米政府内ではロシアがウクライナ侵攻を開始したことで、中国が勢いづいて台湾に侵攻することが懸念されているという。そうしたシナリオを想定し、有事の計画を立て「ウォー・ゲーミング」(戦争シミュレーション)を行っているそうだ。

そのシナリオの1つが、TSMCごと避難させ、特に優秀なエンジニアを安全な場所に退避させることが最優先されるというもの。だが米政府関係者の中には、TSMCの施設を爆撃するという極端な選択肢を提唱している者もいるという。中国に世界の半導体供給の大部分を支配されるくらいなら、破壊したほうがマシだと考えているようだ。

このシナリオはあくまで仮説にすぎず、最終的に実行される計画というわけではない。しかし、台湾の陳明通・国家安全局長はこの極端なプランを聞きつけ、TSMCの施設を破壊する必要はないとの声明を出している。サプライチェーンは非常に複雑で、中国が台湾に侵攻した場合、半導体の生産は不可能になるというのだ。

陳氏いわく「TSMCのエコシステムを理解すれば、その考えは非現実的だ」とのこと。なぜならTSMCが最先端チップを製造する前に「グローバルな要素を統合」する、つまり全世界から先端機器を調達する必要があるからだ。たとえばオランダ企業ASMLの極端紫外線(EUV)露光装置などの高度な機材がなければ、TSMCが生産を続けられないというわけだ。

陳氏は、米国やオランダのサプライチェーンが利用できなくなれば、TSMCの工場は使い物にならなくなるという。そして中国が施設を接収したとしても、半導体を生産する手段がないとも付け加えている。

しかし米AppleInsiderは、TSMCの工場には最先端の半導体製造装置や機械がふんだんに設置され、使われていることを指摘している。いま現在、中国は米国に由来する高度な半導体技術に直接アクセスできないため、侵攻によって高度な装置を手に入れること自体が深刻な問題になり得るというのだ。

さて陳氏の談話に戻ると、米国が自らTSMCの施設を占拠したり、技術者を引き抜くというプランにも否定的だ。「TSMCのエコシステムをもっと理解すれば、彼らが考えているほど単純ではないことに気づくはずだ。だからインテルはTSMCに追いつけないのだ」と辛らつである。

米国家安全保障会議は、中国の侵攻によりTSMCが消滅した場合は、世界経済に1兆ドル以上の損失をもたらすと試算している。習近平氏は異例の3期目政権を正当化するため、台湾統一を公約せざるを得ないとの指摘もあるが、くれぐれも熟慮を望みたいところだ。

Source: Bloomberg
via: AppleInsider

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 King & Prince、サブスク解禁。まずはニューシングル表題2曲から
2 Amazonの読み放題「Kindle Unlimited」が2ヶ月99円!表示された方のみ対象
3 いらない「非通知着信」を一括シャットアウト!すぐできる設定方法
4 <HIGH END>フルテック、弩級電源タップ「NCF POWER VAULT」/シルテックのフラグシップライン「Master Crown」
5 ハイセンス、4K液晶テレビ新エントリー帯「U7N」。上位機譲りの144Hz駆動や機能を搭載
6 【ミニレビュー】オルトフォンのアルミ無垢材スタビライザー「Record Stabilizer」
7 Bluetoothもレコードもイケる「今ドキ」スピーカー。カナダ発・Kanto Audio「YU4」のコスパがスゴい
8 この謎が解けるか?『007』シリーズのダニエル・クレイグが探偵を演じるノンストップ・ミステリー
9 高まった装着感とリーズナブルな価格。Shokz「OpenFit Air」は“ながら聴き”イヤホン最良の選択肢
10 「2024 東京インターナショナルオーディオショウ」5/29 10時より来場予約受付スタート
5/21 10:50 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー192号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.192
オーディオアクセサリー大全2024~2025
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2024~2025
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.21 2023 WINTER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.21
プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.31(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2023受賞製品お買い物ガイド(2023年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2023年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX