公開日 2025/09/09 17:47

「BS4K放送民放撤退」報道について関係者に聞いた。赤字は事実も「何も決まっていない」

民放のBS4K制作はネット重視へ
編集部:太田良司
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BSの民放でキー局系列の放送局5社(BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSテレビ東京、BSフジ)が、4K放送の「BS4K」から撤退する方針を固めていると、8日に一斉に報じられた。

各社の報道に共通しているのは、BS4K放送から得られる収入に対して必要なコストが折り合わず、赤字体質が続いているという指摘だ。このため民放各社は2027年度からの放送免許更新を行わず、4K放送から事実上撤退を行う方針と伝えている。

2018年の放送開始記念セレモニー時の様子。推進キャラクターを務める深田恭子さんも参加していた

実際に、9月8日(月)に総務省主催で開かれた検討会「衛星放送ワーキンググループ(第15回)」にて提出された「(株)TBSホールディングス提出資料PDF」によると、BS4Kの課題として、大幅な赤字運営を提示している。

「7月の月間ライブ視聴1分リーチ率」のグラフでは、リーチ率でTBS放送が83%なのに対して、BS-TBSの4K放送は3.5%と極めて低く、根本的に視聴量が増えないことには、広告増にも結び付かないとしている。

BS4Kのリーチ力が少ない

また資料では、BS4Kを運営する費用についても、収入と費用の乖離があると指摘。事業収入が約1,200万円なのに対して事業費用が約8.6億円としている(2024年度)。また、現在保有しているマスター(設備機材)は保守期限の問題から更新が必要で、2027年の発注には、人材費や原材料費の高騰を背景に、現行マスター(約15億円)以上の費用がかかることが想定されるという。

BS-TBSはBS4Kで赤字続き

TBSホールディングスでは、BS4Kからネットの4K配信に移行することで、コストが大幅に抑えられるのに加えて、ユーザーと放送事業者の双方に新たな価値を生み出せるのではないかと記載している。

4Kネット配信の可能性について提示

ほかにも、日本ケーブルテレビ連盟がBS4Kの課題について記した資料には、「『4Kコンテンツ』が利用者への訴求ポイントとなっていない」と記載されている。また、衛星放送協会の資料においては「インフラコスト低減の効果の早期実現」を挙げている。

今回の民放各社がBS4Kから撤退するという報道の背景には、上記のようなBS4K放送に関する課題がある。

では、放送行政を所管する総務省は、今回の報道についてどう捉えているのか。

総務省放送業務課に問い合わせたところ「衛星放送ワーキンググループでの議論では、BS4Kの撤退といった話は一切ない。TBSの資料に関しては、あくまでそのような考え方もあるという例に過ぎない。民放各社のBS4K撤退について、各放送局が報道機関にそのように回答しているのかもしれないが、総務省としてそのような話は一切挙がっていない。また、放送局からそのような話も来ていない」と回答した。

資料提出を行ったTBSグループのBS-TBS高松氏にも問い合わせたところ、「撤退するかどうか、会社としてこれから話し合って決める内容で、現状はまだ何も決まっていない」との回答だった。

なお、今回の報道はあくまでBS4Kに関するものであることに注意したい。上記のTBSの資料でも、4Kコンテンツそのものには引き続き注力する旨が記載されている。NetflixやPrime Video、その他プラットフォームでの配信も見据え、地デジ向けのコンテンツであっても4K制作を強化する。

さまざまな課題を抱えたBS4K放送。今後、各社から見解や経営方針について正式な発表が行われるか注視したい。

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