公開日 2022/01/03 07:00
フェーズメーション 鈴木信行氏:金賞獲得のフォノイコライザーアンプ「EA-1200」の魅力を語る
オーディオ銘機賞2022 受賞インタビュー
オーディオ銘機賞2022
受賞インタビュー:フェーズメーション
国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる“真の銘機”を選定する一大アワード「オーディオ銘機賞2022」において、金賞を獲得したフェーズメーション。同ブランドを展開する協同電子エンジニアリングの会長 鈴木信行氏に、オーディオ開発に対する思いを伺った。

協同電子エンジニアリング株式会社 取締役会長 鈴木信行氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■「EA-2000」のスピリットを受け継ぎ、ハイファイのすぐれた再現力をもつ「EA-1200」

ーー オーディオ銘機賞2022 金賞の受賞誠におめでとうございます。受賞製品EA-1200につきまして、同じフォノイコライザーアンプのEA-2000は最高峰の位置付けで、そのスピリットをもっとお求めやすい価格帯で実現したのがEA-1200かと見ておりますが、いかがでしょうか。
鈴木信行氏(以下、鈴木) おっしゃるように、EA-2000では最上級のフォノイコライザーアンプをつくりましたが、もっとお求めやすい価格帯に展開していきたいとEA-1200の製作に着手しました。つくる上で、どうすればどんな効果が出るか、そこにどれほどコストがかかるかを考慮し、コストをあまりかけずに大きな効果を出す方法をうまく組み合わせたのです。EA-1200はこれが的を射たと実感します。
EA-2000とEA-1200にはカラーの違いがあると思っております。一般的な表現では、EA-1200はハイファイ的な音と言えるでしょうし、EA-2000はしっとりした表現力といいますか、深いところまで掘り起こしていく正確さがあると言えるでしょう。そのあたりは、評論家の先生方の聴き分けと記事の表現にお任せしたいところですが。
EA-2000は、ソースに収録されている音楽のありのままを表現するのに長けていると思います。EA-1200は、より聴き心地のいい表現となる。それは聴く方のお好みで選択していただくのがよいと思いますし、EA-1200のようにハイファイ的な表現力を好むお客様はたくさんいらっしゃると思います。
私自身は自宅のシステムに独自のチャンネルアンプを組み込んでいます。スピーカーの個性に関わらず対応できますので。このシステムで聴くと、EA-2000のよさが際立つ思いがします。そういう意味では、チャンネルアンプのシステムをお持ちの方にはEA-2000をお勧めしたいですし、フルレンジのスピーカーを使っておられる方にはEA-1200をお勧めしたいですね。また音楽の観点でいいますと、EA-2000はアコースティックの楽器の再生により有利だと思います。

フェーズメーションを展開する、協同電子エンジニアリング株式会社 取締役会長 鈴木信行氏(中)、オーディオ事業部 事業部長 八ツ橋雅晴氏(右)、オーディオ開発部 部長 斉藤善和氏(左)
オーディオ開発部 部長 斉藤善和氏(以下、斉藤) エンジニアの立場から言わせていただきますと、EA-2000とEA-1200には、表現する情報量に差があると思っています。再生機が拾った信号の情報量を100とすれば、それがパワーアンプに到達できる情報量は、EA-2000では98、EA-1200では95という感じです。その差が現れるのは、音楽の微小レベルの表現、細かい情報のところです。
たとえばアコースティックの楽器は細かい倍音成分を含んでいて、細かい情報がたくさんありますので、なるべく情報を失うことなく再生したい。電子楽器の音は電気でつくられるので細かい情報はそれほど多くなく、情報を失うことに神経質にならなくとも再生に影響はあまりないと考えます。各地の試聴イベントではEA-2000とEA-1200の聴き比べデモを行っていますが、ぜひ多くのお客様に体感いただきたいと思っております。
ーー 今回は昇圧トランス「T-320」も銅賞を受賞されています。こちらはEA-1200とは価格帯も全く違うモデルですね。
斉藤 商品である以上、お客様にとって値段は非常に重要な要素です。T-320の値段は約5万円ですが、その価格帯に位置する市場の商品群の中でT-320を選んでいただくためにどうするか、ということです。我々はもちろんそこに可能な限りの技術を注ぎ込んでいますが、それは我々が蓄積したノウハウがあってこそです。
鈴木 お金をいくらでもかければいいものはつくれるけれども、限られた中でつくる方がより一層難しいのです。EA-2000などはまさにコストの制限も設けず、我々のもつ技術をすべて注ぎ込んだものです。T-320は、コストがあまりかからず効果の大きい技術を組み合わせたものと言えます。
■ブランド創設20周年に向けて、パワーアンプをはじめとする記念モデルを計画中
ーー 昨今の状況はいかがでしょうか。
斉藤 何と言っても、部品の供給不足による影響がかなり大きくなっています。部品が不足しているだけでなく、高騰していますね。しかし我々は企業努力でなんとかそれを吸収し、商品の値段は上げておりません。
お客様については、コロナ禍で在宅時間が長くなり、じっくり音楽を聴くようになって、オーディオを追求した聴き方になっておられるようですね。ここをもっとよくしたい、というような欲が出てきて、あらためてオーディオに向き合う方が増えていると思います。我々にとっても嬉しいことです。
ーー 今後のお取り組みはいかがでしょうか。
鈴木 2022年は、フェーズメーションの20周年です。その記念にパワーアンプを出します。それ以外にもいくつか用意しておりますので、ご期待いただきたいです。
たとえば、性能の同じパワーアンプでも、10Wのアンプと20Wのアンプでは出る音が違う。それは、スピーカーの鳴らし方が違うからです。いいスピーカーはパワーを必要とします。パワーアンプはそれに合わせ、大きな出力の、しかも質のよい信号を送り込む必要があるのです。
現代のいいスピーカーの多くは「大飯喰らい」の傾向があります。対するパワーアンプは、小さいパワーで良質な信号を出すのは比較的やりやすいですが、ハイパワーで良質な信号を送るのは容易なことではありません。ユニットにも相当良質なものを使う必要があります。今は製作に向けて実験を重ねているところです。私自身はチャンネルアンプで対応しているわけですが、これを一般の方々に向けて商品化するのは非常に難しいですから・・・。
ーー さまざまなお取り組みを伺うことができ、来年以降も楽しみですね。ありがとうございました。
受賞インタビュー:フェーズメーション
国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる“真の銘機”を選定する一大アワード「オーディオ銘機賞2022」において、金賞を獲得したフェーズメーション。同ブランドを展開する協同電子エンジニアリングの会長 鈴木信行氏に、オーディオ開発に対する思いを伺った。

協同電子エンジニアリング株式会社 取締役会長 鈴木信行氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■「EA-2000」のスピリットを受け継ぎ、ハイファイのすぐれた再現力をもつ「EA-1200」

ーー オーディオ銘機賞2022 金賞の受賞誠におめでとうございます。受賞製品EA-1200につきまして、同じフォノイコライザーアンプのEA-2000は最高峰の位置付けで、そのスピリットをもっとお求めやすい価格帯で実現したのがEA-1200かと見ておりますが、いかがでしょうか。
鈴木信行氏(以下、鈴木) おっしゃるように、EA-2000では最上級のフォノイコライザーアンプをつくりましたが、もっとお求めやすい価格帯に展開していきたいとEA-1200の製作に着手しました。つくる上で、どうすればどんな効果が出るか、そこにどれほどコストがかかるかを考慮し、コストをあまりかけずに大きな効果を出す方法をうまく組み合わせたのです。EA-1200はこれが的を射たと実感します。
EA-2000とEA-1200にはカラーの違いがあると思っております。一般的な表現では、EA-1200はハイファイ的な音と言えるでしょうし、EA-2000はしっとりした表現力といいますか、深いところまで掘り起こしていく正確さがあると言えるでしょう。そのあたりは、評論家の先生方の聴き分けと記事の表現にお任せしたいところですが。
EA-2000は、ソースに収録されている音楽のありのままを表現するのに長けていると思います。EA-1200は、より聴き心地のいい表現となる。それは聴く方のお好みで選択していただくのがよいと思いますし、EA-1200のようにハイファイ的な表現力を好むお客様はたくさんいらっしゃると思います。
私自身は自宅のシステムに独自のチャンネルアンプを組み込んでいます。スピーカーの個性に関わらず対応できますので。このシステムで聴くと、EA-2000のよさが際立つ思いがします。そういう意味では、チャンネルアンプのシステムをお持ちの方にはEA-2000をお勧めしたいですし、フルレンジのスピーカーを使っておられる方にはEA-1200をお勧めしたいですね。また音楽の観点でいいますと、EA-2000はアコースティックの楽器の再生により有利だと思います。

フェーズメーションを展開する、協同電子エンジニアリング株式会社 取締役会長 鈴木信行氏(中)、オーディオ事業部 事業部長 八ツ橋雅晴氏(右)、オーディオ開発部 部長 斉藤善和氏(左)
オーディオ開発部 部長 斉藤善和氏(以下、斉藤) エンジニアの立場から言わせていただきますと、EA-2000とEA-1200には、表現する情報量に差があると思っています。再生機が拾った信号の情報量を100とすれば、それがパワーアンプに到達できる情報量は、EA-2000では98、EA-1200では95という感じです。その差が現れるのは、音楽の微小レベルの表現、細かい情報のところです。
たとえばアコースティックの楽器は細かい倍音成分を含んでいて、細かい情報がたくさんありますので、なるべく情報を失うことなく再生したい。電子楽器の音は電気でつくられるので細かい情報はそれほど多くなく、情報を失うことに神経質にならなくとも再生に影響はあまりないと考えます。各地の試聴イベントではEA-2000とEA-1200の聴き比べデモを行っていますが、ぜひ多くのお客様に体感いただきたいと思っております。
ーー 今回は昇圧トランス「T-320」も銅賞を受賞されています。こちらはEA-1200とは価格帯も全く違うモデルですね。
斉藤 商品である以上、お客様にとって値段は非常に重要な要素です。T-320の値段は約5万円ですが、その価格帯に位置する市場の商品群の中でT-320を選んでいただくためにどうするか、ということです。我々はもちろんそこに可能な限りの技術を注ぎ込んでいますが、それは我々が蓄積したノウハウがあってこそです。
鈴木 お金をいくらでもかければいいものはつくれるけれども、限られた中でつくる方がより一層難しいのです。EA-2000などはまさにコストの制限も設けず、我々のもつ技術をすべて注ぎ込んだものです。T-320は、コストがあまりかからず効果の大きい技術を組み合わせたものと言えます。
■ブランド創設20周年に向けて、パワーアンプをはじめとする記念モデルを計画中
ーー 昨今の状況はいかがでしょうか。
斉藤 何と言っても、部品の供給不足による影響がかなり大きくなっています。部品が不足しているだけでなく、高騰していますね。しかし我々は企業努力でなんとかそれを吸収し、商品の値段は上げておりません。
お客様については、コロナ禍で在宅時間が長くなり、じっくり音楽を聴くようになって、オーディオを追求した聴き方になっておられるようですね。ここをもっとよくしたい、というような欲が出てきて、あらためてオーディオに向き合う方が増えていると思います。我々にとっても嬉しいことです。
ーー 今後のお取り組みはいかがでしょうか。
鈴木 2022年は、フェーズメーションの20周年です。その記念にパワーアンプを出します。それ以外にもいくつか用意しておりますので、ご期待いただきたいです。
たとえば、性能の同じパワーアンプでも、10Wのアンプと20Wのアンプでは出る音が違う。それは、スピーカーの鳴らし方が違うからです。いいスピーカーはパワーを必要とします。パワーアンプはそれに合わせ、大きな出力の、しかも質のよい信号を送り込む必要があるのです。
現代のいいスピーカーの多くは「大飯喰らい」の傾向があります。対するパワーアンプは、小さいパワーで良質な信号を出すのは比較的やりやすいですが、ハイパワーで良質な信号を送るのは容易なことではありません。ユニットにも相当良質なものを使う必要があります。今は製作に向けて実験を重ねているところです。私自身はチャンネルアンプで対応しているわけですが、これを一般の方々に向けて商品化するのは非常に難しいですから・・・。
ーー さまざまなお取り組みを伺うことができ、来年以降も楽しみですね。ありがとうございました。
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