テクノロジーで音質をイノベートする。DEVIALETのプリメイン「Expert 220 Pro」の本質を徹底追求
2022/01/21
フランス・ DEVIALET(デビアレ)のオールインワン・プリメインアンプ「ASTRA」。同社の250以上にわたる特許技術を進化させた、ひとつの到達点とも言えるモデルである。長年にわたり導入を検討していた角田郁雄氏が、ついに美しきゴールドリーフ仕上げを自宅に迎えることとなった。その導入ストーリーと魅力をお伝えしよう。
私にとってフランスのオーディオブランド、DEVIALETは憧れのひとつである。思えば2010年のこと。どこにも類を見ない美しいフラットなデザインのD-Premierというプリメインアンプが登場し、強い衝撃を受けた。
特に注目したのはA級アンプとD級アンプをハイブリッドにしたADH(アナログ・デジタル・ハイブリッド)出力段。実に高密度で空間描写性の高い音を引き出してくれる技術である。ただしこの技術はまだまだ進化するであろうと思い、この段階ではまだ製品の導入までには至らなかった。
やがて輸入元が完実電気に変わるタイミングで、次の世代の「Expert-Pro」が登場した。私はデビアレのさらなる進化を探りたいと考え、輸入元の理解を得て半年ほど自宅で試用させていただいた。
本格的なUSBやネットワーク再生ができ、ネット上のコンフィグレーターにより、スピーカーの低域制動力を向上させるSAM(スピーカー・アクティブ・マッチング)や入力端子のレイアウトまで簡便に設定できることも魅力であった。
内部技術も調べたが、回路の適正な配置と美しさに感動した。ネットワークの制御部やデジタルオーディオの制御部、そしてDAC内蔵のADH出力段が干渉なく配置され、これらがダイナミックレンジの広い高解像度な再生を実現してくれるのだ。Expert-Proはドライブ力もさらに進化していたが、まだ伸び代はあるはずと思い、導入は先延ばしにした。
そして2025年3月に新製品の発表会を迎えることになる。その時目にしたのはさらに美しいデザインに進化した「ASTRA(アストラ)」であった。とりわけ、著名なパリ国立オペラ座とコラボした‟オペラ・ドゥ・パリ”をイメージした金の葉を散りばめたような仕上げは圧巻であった。
内部技術に関しては電源部やデジタル処理部、ADH出力段が従来モデル以上に干渉なく見事にレイアウトされていた。
詳しい技術については下記記事も参照されたいが、ADHは中央付近に配置。これは2階建て構造になり、表の基板にはバーブラウンのDACチップであるPCM1792を2基搭載し、DSDにも対応。ここからの電流出力を抵抗で電圧変換し最短距離でDCオフセット増幅する。これが独自の“マジック・ワイヤー”という技術である。
ADHはバイポーラ・トランジスタでクラスA級増幅し、下段のクラスDアンプで最終増幅する仕組みだが、この立体基板構成により、DACからスピーカー端子までの増幅距離はたったの5cmである。
これらの技術が導き出す音はまさに高出力な純A級アンプに匹敵する。私はこの製品の発表会で開発総責任者のジャン=ループ・アフレーヌ氏に「直熱3極管300Bのように倍音が豊かですね」と言ってみたが、とても納得されていた。
また、本機はオーディオ特性も素晴らしい。出力は300W/4Ω。歪み率も極めて低く、ダンピングファクターは2000。周波数特性はDC〜80kHzというワイドレンジで、S/N値も‐117dBという優れた性能値を実現する。
使い方もより簡便になった。ネット上のコンフィグも洗練された。また今回新たにQobuzにも対応するようになり(Qobuz Connect対応)、TIDAL、UPnPも含めたネット接続をはじめ、同軸、USB、アナログライン、フォノ、デジタル入力などのコネクタ接続も簡単に設定でき、音量調整も可能。
そして美しいリモコンの存在も見逃せない。音量や再生、停止、前後の選曲などの操作が実にスムーズである。
デビアレの技術と音質の進化はまさにこのASTRAで結実したのだ。‟オペラ・ドゥ・パリ”という美しい仕様にも魅了され、ついに導入を決心した。
同じタイミングでPARADIGMのスピーカー、「Persona 7F」も導入した。ASTRAとともに私が次の世代に提唱する「ワンアンプ、ワンスピーカー」を自ら実践したいという思いもあった。この組み合わせによるサウンドは透明感と濃厚さが見事に両立。豊潤な倍音表現もたまらない。
ASTRAはPersona 7Fのダブル・ウーファーを完璧にドライブする。クラシックの壮大なグランカッサの響きは生演奏に迫るほどの高い音圧を示す。さらにパイプオルガンの低音はまさに地を這うかのようだ。解像度も高く、奏者や歌い手をリアルに描写し、弱音の透明度も高い。まさにこの音は ASTRAの搭載された技術が導いた優れたオーディオ諸特性の効果である。
スピーカーの低域制動力を向上するSAM(スピーカー・アクティブ・マッチング)は「Persona 7F」専用のプロファイルが用意されている。0%から100%までSAMの強度を調整することができ、低域と高域をパラメトリック・イコライザーのようにリアルタイムで可変できることも魅力。私の場合は再生する曲に応じて楽しんでいる。
フォノイコライザーのRAM(レコード・アクティブ・マッチング)はレコードプレーヤーの信号をリアルタイムにデジタル処理する機能で、こちらも専用アプリにより使用するカートリッジ特性に合わせてイコライザー設定を最適化し、盤の特性に合わせた補正を実現する機能。
こちらもぜひ試してみたい機能だが、現在はもっぱらQobuzでECMの曲や新譜のハウスミュージック、クラシックの往年の名盤を聴くことが多い。さらにオーディオサーバーともリンクさせ、これまで集めてきたデータ音源も楽しんでいる。
エソテリックのSACDプレーヤー「Grandioso K1X SE」もアナログ接続しているのだか、こちらも非常に鮮度の高い音質を実現できている。
さらに驚きはブルートゥース接続時の音の良さだ。試しにオーディオテクニカのコンパクトレコードプレーヤー、サウンドバーガーでレコード再生を行ったが、その音は決して侮ることができないほど素晴らしい音であった。ブルートゥースの高音質再生にも手抜かりがないのである。
私はASTRAの音質とデザインにすっかり魅了されてしまった。少し月日はかかるだろうが、本機をモノラルアンプとして使用するため、2台目を追加することも脳裏に浮かび上がっている。
(提供:完実電気)
※本記事は『季刊・オーディオアクセサリー 201号』からの転載です。