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公開日 2022/05/23 13:36
すでにインドにてiPhone生産中

アップル、中国以外での生産を増やす意向か。ロックダウンや米中摩擦を避けるため【Gadget Gate】

Kiyoshi Tane
アップルが一部の委託製造業者に対して、中国以外での生産を増やしたいと伝えたとの噂が報じられている。

Image:Foxconn

米The Wall Street Journal(WSJ)の報道によると、その主な理由は、中国政府による新型コロナ禍への厳しい対策(ロックダウンによる工場の操業停止など)とのことだ。

すでにアップル製品の一部はベトナムやインドといった諸国で生産されているが、今なおiPhoneやiPad、MacBookなどの90%以上が中国の工場で作られている。新型コロナ対策以外にも、中国と米国との衝突により、アップルの中国への依存度の高さは潜在的なリスクになっているとも指摘されている。

WSJによると、アップルは2020年はじめに中国から生産拠点を分散させることを検討していたという。しかし、新型コロナの感染拡大により停滞を余儀なくされた。中国政府の厳しい新型コロナ対策により、サプライチェーンが目詰まりを起こしたことで、生産拠点を多様化する必要が再認識されたとのことだ。

ちょうど先日、アップルは新型コロナ禍の影響や半導体不足により、次四半期には40億 - 80億ドル(約5,200億 - 1兆4,000億円)相当の売上機会を失うかもしれないと警告していた。また上海市にあるMacBook Pro工場も操業を制約され、生産を重慶に移すことを検討しているとも報じられていた

とはいえ、アップル製品の膨大な発注に対応できるのは中国だけであり、他国が太刀打ちするのは難しい。すなわち「よく訓練された労働力、米国よりも低い人件費、何年も掛けなければ他の場所での再現が難しい部品サプライヤー網」という強みは替えがたいというわけだ。

それでもFoxconnなど主要な生産パートナーは、すでにインドに工場を設立し、主に国内市場向けのiPhoneを生産している。インドは中国政府との緊張関係から、中国の組立業者が拠点を移すのは難しい(インド政府に規制される)事情を抱えているが、ならばベトナムやその他の東南アジア諸国という選択肢もある。

有名アナリストのMing-Chi Kuo氏は「多くの欧米企業が中国で同じような問題に直面しているが、アップルはその規模から請負業者との交渉力がある」「アップルのような企業だけが、こうしたサプライチェーンの移転を求めることができるのです」と述べている。アップルの後に他の欧米企業も続けば、やがて「世界の工場・中国」は過去となるのかもしれない。

Source: The Wall Street Journal



※テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」を近日中にローンチ予定です。本稿は、そのプレバージョンの記事として掲載しています。

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