PR 公開日 2025/12/30 07:00

揺らがぬ音像、性能を極めたスピーカーケーブル。AUDIOQUEST「Lone Ranger」のオーディオ的愉悦

スリムな線径でモデレートな音調を獲得
超高額化の進むスピーカー市場に呼応するように、ハイクラスのケーブルを矢継ぎ早に投入しているAUDIOQUEST(オーディオクエスト)。この度、新たにFolk Hero(英雄シリーズ)の「Lone Ranger」(ローンレンジャー)が登場した。「Brave Heart」に続き、園田洋世氏にそのサウンドを解説いただこう。

単線導体などクエストらしさを活かしつつ線径はスリムに

AUDIOQUESTの新製品スピーカーケーブル、「Lone Ranger」。 “Folk Heroes(伝説のヒーロー)シリーズ”の最上位機「Brave Heart」に次ぐ位置を占めるモデルだ。
 
AUDIOQUEST スピーカーケーブル「Lone Ranger」(509,300円/2.0m/ペア・577,500円/3.0m/ペア)※いずれも税込

これでもか!というほど最新かつ高度な素材と技術が投入されていたBrave Heartはその圧倒的な内容を圧倒的な音質で納得させる弩級機であったから、弟分Lone Rangerへの期待は否が応にも高まる。正直すぐにでも繋いで聴きたいところだが、まずはその内容からチェックしてみよう。

内容は兄貴分Brave Heartと相似形と言っていい。

(1)導体は、最高レベルの精製度を誇る無酸素銅に2度の焼きなまし処理を施すことでパーフェクトに近い表面構造を持たせたという「PSC+」(=Perfect-Surface Copper+)の単線だ。導電経路の品質には導体の純度や結晶構造だけでなく導体の表面が大きく影響すると考えるAUDIOQUESTが採用する銅の導体中、最高クオリティを誇るのが「PSC+」である。

AUDIOQUESTケーブルの導体に関する基本的な考え方。製品開発の基本理念。単線導体、方向性を持つこと。さらに、「Perfect-Surface Copper+」と呼ぶ導体表面を磨き上げる技術も搭載されている

同導体を採用するBrave Heartの導体径が12AWG(2.53mm)であるのに対してLone Rangerのそれは14AWG(2mm)とやや細身。しかし導体のスリム化に加えて、前者で初めて採用されたプラス導体・マイナス導体がそれぞれ独立した構造をLone Rangerでも採用することで、取り回しをさらに改善。同時に、電磁的な干渉を起こしがちな両極間の物理的な距離を確保してフォーカス性能をも高めている。

(2)絶縁体(誘電体)には「DBS」(ダイエレクトリック・バイアス・システム/誘電体バイアスシステム)を装備。Brave Heartと同じ強力な72V仕様である。信号電圧を大きく超えるDC電圧を加え続けることで、絶縁体に宿命的なノンリニアな充放電をリニア化。歪みと損失を大幅に減少させている。

オーディオクエストのケーブルの特徴でもある72VのDBS。電池が内蔵されており、ボタンを押して光ると電池残量があることがわかる

さらに、 “Mythical Creatures”、“Folk Heroes”両シリーズのみに採用されている「ZEROテクノロジー」がLone Rangerにももちろん採用されている。

「ZEROテクノロジー」はプラス導体にはAIR-TUBEを、マイナスの3導体にはカーボンを構造上最適な絶縁体として使用することで両極の絶縁体間の相互作用をキャンセルし、ケーブル自体に特性インピーダンスを持たせない。これによりコントラストはよりダイナミックになり、トランジェントのレスポンスも劇的に改善するという。

(3)シールドの構成もBrave Heartと同様だ。グラフェン+カーボンメッシュのネットワークを採用してRF(=Radio Frequency)ノイズを強力に除去。さらに銀を分厚くコーティングしたシールドドレインワイヤーを、アンプでなくスピーカーのマイナス側にのみ接続。RFノイズの消散性能を高めて、信号の変調を劇的に抑え歪みの発生を防いでいる。

(4)その他にも、ケーブルの導体と両端プラグの導通部との接続を冷間溶接とすることで電気的・機械的に完全な接続を実現し、導電率その他の特性を一般的なハンダ付けによる接続より大幅に高める等々、AUDIOQUESTの技術とノウハウが惜しみなく投入されている。

AUDIOQUESTのケーブルには方向性が設けられている。端子部に「SPEAKER」「AMP」と記載されているので接続の向きも分かりやすい

歪みが激減して、音像へのフォーカスが高まる

Qobuzを再生して試聴してみよう。スピーカーはB&W「802 D4」、ネットワークプレーヤーはエソテリック「N-05XD」、プリアンプはアキュフェーズ「C-3900S」、そしてパワーアンプは同「P-7500」である。

B&W「802 D4」とアキュフェーズのパワーアンプ「P-7500」の間に接続して試聴開始

「Hoist The Colours(Bass Singers Version)」は背景の電子音がノイズでぼやかされたり他の音像とかぶったりすることなく非常に明瞭に聴き取れる。バスヴォーカルの音像がギュッと引き締まってタイトになり、しかも滲みがスッキリ解消する。バスドラムも歯切れ良く、鋭いアタックでも滲まない。

滲まないのはいかにも「単線」という感じだが、上記した導体・絶縁体・シールド等に投入された技術や素材によって相当にS/Nが向上し、歪みが激減して、音像へのフォーカス性能が大幅に高まった結果でもあるだろう。ただ単線にしただけでこれほど各音像の描写がクリアになるものではない。

ケイティ・メルア「Piece By Piece」は冒頭、水を打ったように静かな音場にギターがきわめて立体的に立ち現れる。そしてしっとりと歌い始めるメルアのセンチメンタルなヴォーカルにかけられたリヴァーブが、まったく滲まない。リヴァーブが滲まない=ノイズで混濁せずしかも解像度がきわめて高くなると、繊細さを増すだけでなく、直接音に伴って発せられてから静かな音場に完全に消えゆくまでの時間的・空間的な過程が克明に聴き取れるようになるのである。

アキュフェーズのパワーアンプへの接続部

B&Wの「802 D4」側の接続部。DBSはスピーカー側に取り付けられている

タン・ドゥン『交響曲1997「天、地、人」』冒頭のたくさんの鐘の音も同様だ。アタックも余韻もまったく滲まない。しかも音像が揺らがない。そして倍音成分のなんと美しく豊かなこと!さらに児童合唱はノイズ由来の雑味が一掃されてテクスチャーがとても瑞々しく、太鼓群も音像が滲まずアタックが鋭く決まって音圧が強烈である…。

底無しのエネルギー感と圧倒的なダイナミクスを聴かせたBrave Heartと比べると、Lone Rangerはある意味常識的でモデレートな音調とは言える。しかしその超高性能はやはりBrave Heart直系のものだ。オーディオ的快楽と音楽的愉悦をバランス良く聴かせてくれる銘機である。

「Lone Ranger」のパッケージ。アメリカの西部劇の孤独なヒーローからインスパイアされて名付けられている

(提供:ディーアンドエムホールディングス)

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