Google純正スマホ「Pixel 3a/3a XL」レビュー。動画再生やカメラ性能を徹底チェック！

■イヤホンジャックの搭載はモバイルゲーマーにも朗報

オーディオはPixel 3シリーズでは省かれていた3.5mmイヤホンジャックがPixel 3aシリーズに搭載されたことに注目したい。ミドルレンジクラスのスマホは音楽プレーヤーとしてだけでなく、ポータブルゲーム機としても特に学生など若年層のユーザーに活用されるケースが増えるだろう。ゲームコンテンツの音声の遅延がプレイの成果を左右するシューティングゲーム、または音ゲーについてはBluetooth対応のワイヤレスイヤホン、ヘッドホンでは如何ともしがたい伝送遅延が発生することがある。有線接続のイヤホンなら映像と音のズレに悩まされることなく、あらゆるゲームコンテンツを快適にプレイできるはずだ。

なおPixel 3シリーズはパッケージに同梱していた純正の「Pixel USB-Cイヤホン」がPixel 3aシリーズでは省かれているため、別途イヤホンの用意が必要だ。

日本でのサービス提供についてはまだ方針が明らかにされていないが、グーグルは今年に入って独自のクラウドゲーム配信のプラットフォーム「STADIA」を発表した。Pixel 3aシリーズはグーグルのリファレンススマホとして、STADIAで提供されるコンテンツを快適に遊べる推奨デバイスの一つになるだろう。

ほかにもサウンドについては、Pixel 3シリーズでは本体のフロント側に向いていた内蔵ステレオスピーカーが、Pixel 3aシリーズでは本体を縦に構えた際にボトム側に位置するスリットが、フレームの側面に向けたデザインに変わっている。スマホを横に構えてNetflixのコンテンツなどを視聴してみると、ダイアローグはセンターの位置に定位するが、効果音のバランスはフロント側に向いている方のスピーカー側にやや傾いているように感じられた。ソフトウェアによる信号処理でバランスを補正できる機能などが追加されることを期待したい。

■Pixel 3aシリーズは、ガジェットマニアだけでなく一般ユーザーにもおすすめだ

作年秋にフラグシップのPixel 3シリーズが発売された当時は、端末の値段が高価だったこともあって、どちらかと言えばガジェット好きの方、あるいはAndroid OSの最新バージョンが提供するアップデートを最も早く体験したい感度の高い方向けのスマホとして評価した。今回発売されるPixel 3a、Pixel 3a XLはより広く一般のスマホユーザーにもおすすめできそうな端末だ。

何より値段がとても手頃になるので、元もとのシンプルな機能と操作性が特長として引き立ってくる。またグーグルの最先端のAIテクノロジーを搭載したスマホとして、他の端末にない魅力もある。グーグルのオンラインストアでSIMフリーの端末も発売されるので、iPhoneと2台持ちでiOSとAndroid OSの最先端を両方楽しみたいガジェットファンにもおすすめだ。

Pixel 3aシリーズとiPhoneとの違いについては元のキャラクターやコンセプトが相当異なっているので並べて比較することは難しい。でも手頃な価格のミドルレンジクラスのPixel 3aシリーズが登場したことでサムスン、ファーウェイの端末とともにまた国内でのAndroidスマホのシェアが伸びてくることも考えられそうだ。

Pixel 3aシリーズがヒットすれば、もしかするとアップルにとって本来はロードマップになかった“廉価版iPhone”をやらざるを得ない状況になるかもしれない。そうなると、この頃少し落ち着きをみせていたミドルレンジクラスで質の高いスマホどうしの競争がヒートアップして、ユーザーにとっては選び甲斐のある端末が増えてくれば願いかなったりだ。

ちょうど今年の秋に端末の買い替え時を迎えるiPhone 7、iPhone Xのユーザーも多いと思う。手ごろな価格で高性能、安定したパフォーマンスを備えるグーグルのPixel 3aシリーズは積極的に次の端末として候補に入れていいと思う。

（山本 敦）