公開日 2010/08/13 18:44
第11回:坂田 明さんが語る「ピットイン」のステージの快感<後編>
【連載】PIT INNその歴史とミュージシャンたち
今回は、山下洋輔トリオとして「新宿ピットイン」に数多く出演し、その後も様々な形態でピットインのステージで活躍。ピットインの輝かしい歴史を彩ったミュージシャン、坂田 明さんに登場していただき、佐藤良武さんとの対談形式で、ピットインとの関わりや出演時の思い出、今後の方向性などを語ってもらう(前編を読む)。
山下洋輔トリオの時に「ピットイン」を満杯にできれば
どこのステージでも、大丈夫だということが分かった
山下洋輔トリオでのステージで3、4回は遊体離脱を体験した
佐藤:前回は、坂田さんが山下洋輔トリオに加入した、というところでちょうど終わりました。山下トリオは安保の時代に誕生し、過激派のお客さんも多かった。音楽と時代の勢いがマッチしていました。坂田さんが加わってから、そういう背景はあまり関係なく、音楽的に深まったという感じがありましたね。坂田さんが入ってから完成したというのかな。山下洋輔、坂田明、森山威男の3人がピタッとはまった。とにかくあのトリオは衝撃的でした。
坂田:とんでもないバンドだった。ああいう演奏は、いまの自分はもうできないね。
佐藤:精神的にも肉体的にもピークですよね。失神して倒れるお客さんが必ずいたし。
坂田:あれは若くないとできない。ヨーロッパで演奏して、カミカゼとかタイフーンとか言われたけど、そういう感じだった。
佐藤:坂田さんが、どこかに飛んで行っちゃうようだった。首筋の血管が浮き出てきて。
坂田:本当にそんな感じ。「坂田、死ね」と野次が客席から飛んでくるわけですよ。こっちは「おもしろい。死んでやろうじゃないか」って(笑)。
佐藤:山下さんのバス弦が飛んできて、本当に危ない。
坂田:あと、森山さんのブラシがバラバラになって飛び散るんだ。
佐藤:みんな断末魔のような叫び声をあげていて、総毛立ちました。あんな衝撃はないですよ。
坂田:3、4回は遊体離脱を経験した。無重力状態でふわっと身体が浮いて、すべてがスローモーションに見える。自分が宇宙か天国かどこか違うところに行っちゃった。
佐藤:そうなんですか。
坂田:ランナーズ・ハイみたいなことは、毎回のステージで体験するんだけど、それは滅多になかったね。
佐藤:確かにお客さんと一体になって、パワーを結集しているようなところはありました。相撲の取り組み中にお客さんがどんどん土俵へ上がって押し合うような。
坂田:確かに格闘技だからね。お客さんが無反応では、あのステージはとても実現できないでしょう。
山下洋輔トリオは7年間続けたがやはり自分の店を開かなきゃだめ
佐藤:結局、山下トリオには何年間いたんですか。
坂田:7年間かな。79年の大晦日まで。
佐藤:バンドとしてやるべきことはすべてやったという感じだったんですか。
坂田:そう、やっぱり組織のポテンシャルは時間が経つと消費されていくように思う。
佐藤:あの音楽を維持していくのも並大抵のことではないですしね。毎日はできないですよ。
坂田:それがやっていたんだよ。ひとたびツアーに出ると。嘔吐しながらでも(笑)。でもこっちは演奏の合間に休めるからまだいいよ。森山さんは、ずっと叩きっぱなし。広島で演奏した時、両親が見に来てね。「コラ、明、ほかの人がやっているときに、なんもせずに立ってていいのか」って言われた(笑)
佐藤:山下トリオの音楽を、ご両親はどう思っていたんでしょうね。
坂田:知りませ〜ん(笑)。知らないけど、広島の大きなホールで一杯だったし、NHKにも出たこともあって、これはたいへんなことになっているなとは思っていた。まあ、認めざるをえないだろうね。
佐藤:あの頃の印象に残っているステージはありますか?
坂田:72年ぐらいだったかな。トリオじゃなくて山下さんのオーケストラなんだけど、土岐英史(サックス)や大友義雄(サックス)が、譜面を見て演奏しているなか、ぼくはずっとなにもせずに座っているんだ。譜面なんか読めないからね。で、山下さんがポンと背中を叩くと、突然立ち上がってギョエーって即興のソロを吹き出す(笑)。かなり異様な光景だった(笑)。
佐藤:そしてトリオを辞めた79年以降は、坂田さんがご自身のオリジナリティで勝負することになりました。
坂田:やっぱり自分で店を開かないとダメだからね。
佐藤:そこからですよ、また違った坂田明が暴れ出すのは。
坂田:Wha-ha-haとか、宴会芸をレコーディングしちゃうとかね。
佐藤:あの宴会芸は、いまでも夢に出て来ますよ。85年の「ピットイン」20周年記念の打ち上げのときのね。田中角栄の物まねパフォーマンス。いまやってもらえませんか。
坂田:(実際の物まねで)まあね、そのお、ジャズですか、そんなものね、アンタね、知らないですよ。
佐藤:ガハハハ。いやあ、最高。また夢に出てくるなあ。
山下洋輔トリオの時に「ピットイン」を満杯にできれば
どこのステージでも、大丈夫だということが分かった
山下洋輔トリオでのステージで3、4回は遊体離脱を体験した
佐藤:前回は、坂田さんが山下洋輔トリオに加入した、というところでちょうど終わりました。山下トリオは安保の時代に誕生し、過激派のお客さんも多かった。音楽と時代の勢いがマッチしていました。坂田さんが加わってから、そういう背景はあまり関係なく、音楽的に深まったという感じがありましたね。坂田さんが入ってから完成したというのかな。山下洋輔、坂田明、森山威男の3人がピタッとはまった。とにかくあのトリオは衝撃的でした。
坂田:とんでもないバンドだった。ああいう演奏は、いまの自分はもうできないね。
佐藤:精神的にも肉体的にもピークですよね。失神して倒れるお客さんが必ずいたし。
坂田:あれは若くないとできない。ヨーロッパで演奏して、カミカゼとかタイフーンとか言われたけど、そういう感じだった。
佐藤:坂田さんが、どこかに飛んで行っちゃうようだった。首筋の血管が浮き出てきて。
坂田:本当にそんな感じ。「坂田、死ね」と野次が客席から飛んでくるわけですよ。こっちは「おもしろい。死んでやろうじゃないか」って(笑)。
佐藤:山下さんのバス弦が飛んできて、本当に危ない。
坂田:あと、森山さんのブラシがバラバラになって飛び散るんだ。
佐藤:みんな断末魔のような叫び声をあげていて、総毛立ちました。あんな衝撃はないですよ。
坂田:3、4回は遊体離脱を経験した。無重力状態でふわっと身体が浮いて、すべてがスローモーションに見える。自分が宇宙か天国かどこか違うところに行っちゃった。
佐藤:そうなんですか。
坂田:ランナーズ・ハイみたいなことは、毎回のステージで体験するんだけど、それは滅多になかったね。
佐藤:確かにお客さんと一体になって、パワーを結集しているようなところはありました。相撲の取り組み中にお客さんがどんどん土俵へ上がって押し合うような。
坂田:確かに格闘技だからね。お客さんが無反応では、あのステージはとても実現できないでしょう。
山下洋輔トリオは7年間続けたがやはり自分の店を開かなきゃだめ
佐藤:結局、山下トリオには何年間いたんですか。
坂田:7年間かな。79年の大晦日まで。
佐藤:バンドとしてやるべきことはすべてやったという感じだったんですか。
坂田:そう、やっぱり組織のポテンシャルは時間が経つと消費されていくように思う。
佐藤:あの音楽を維持していくのも並大抵のことではないですしね。毎日はできないですよ。
坂田:それがやっていたんだよ。ひとたびツアーに出ると。嘔吐しながらでも(笑)。でもこっちは演奏の合間に休めるからまだいいよ。森山さんは、ずっと叩きっぱなし。広島で演奏した時、両親が見に来てね。「コラ、明、ほかの人がやっているときに、なんもせずに立ってていいのか」って言われた(笑)
佐藤:山下トリオの音楽を、ご両親はどう思っていたんでしょうね。
坂田:知りませ〜ん(笑)。知らないけど、広島の大きなホールで一杯だったし、NHKにも出たこともあって、これはたいへんなことになっているなとは思っていた。まあ、認めざるをえないだろうね。
佐藤:あの頃の印象に残っているステージはありますか?
坂田:72年ぐらいだったかな。トリオじゃなくて山下さんのオーケストラなんだけど、土岐英史(サックス)や大友義雄(サックス)が、譜面を見て演奏しているなか、ぼくはずっとなにもせずに座っているんだ。譜面なんか読めないからね。で、山下さんがポンと背中を叩くと、突然立ち上がってギョエーって即興のソロを吹き出す(笑)。かなり異様な光景だった(笑)。
佐藤:そしてトリオを辞めた79年以降は、坂田さんがご自身のオリジナリティで勝負することになりました。
坂田:やっぱり自分で店を開かないとダメだからね。
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坂田:Wha-ha-haとか、宴会芸をレコーディングしちゃうとかね。
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坂田:(実際の物まねで)まあね、そのお、ジャズですか、そんなものね、アンタね、知らないですよ。
佐藤:ガハハハ。いやあ、最高。また夢に出てくるなあ。
| 「連載:PIT INN その歴史とミュージシャンたち」は、音元出版発行のアナログオーディオ&Newスタイルマガジン「季刊・analog」からの転載記事となります。「季刊・analog」のバックナンバーはこちらから購入いただけます。 |
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