ハイクラスのヘッドホン/イヤホンにじっくり浸る!フジヤエービック「9社合同試聴会」レポート
フジヤエービック主催の9社合同の試聴会が9月5日、中野にて開催された。同じく同社が主催している「ヘッドフォン祭」とは異なり、事前予約制として参加人数を絞り、ハイクラスのイヤホン/ヘッドホンを中心にゆったりした環境でしっかり試聴してもらおうという、オーディオマニア向けのイベントだ。
これまでにも複数回開催されてきたが、今回はより広い新会場に移り、完実電気/飯田ピアノ/ブリスオーディオ/オリオラスジャパン/ブライトーン/ミックスウェーブ/ナイコム/コペックジャパン/finalの9社が集結した。こだわりたっぷりの本イベントから、各出展社の注目製品をレポートする。

完実電気
完実電気は、Meze Audio/Audezeの2大ブランドの新製品をメインに出展。Meze Audioの目玉となったのは、開放型平面磁界ヘッドホンの新フラグシップモデルとして登場予定の「ARTA」。7月のヘッドフォン祭で初公開したところ、試聴待ちの整理券が即配布終了したという注目モデルを聴ける機会が再び訪れた。
ウクライナRinaro Isodynamics社が新開発した平面磁界ドライバー「MZ5 HΩ」を搭載することが特徴のひとつ。225Ωもの高インピーダンス設計のため相応にパワーのあるアンプが必要だが、その分振動板全体をより均一に駆動し、また振動板にかかる熱などの負担を低減することが可能になった。これによりどんな音量で聴いても、低歪かつ自然で滑らかな音色を奏でられるのだという。
ハウジング外側を覆うグリルも、美観と音質の両面を考慮してブレード1本1本の角度にこだわったとのこと。ほか、2種類の付属イヤーパッドそれぞれで音の傾向が変わる点もメーカー一押しポイントで、ミックス素材はハイレゾ向け、アルカンターラ素材は少し柔らかめの音になるそうだ。
国内での発売は9月末から10月中、価格は1,100,000円前後を見込んでいる。
Audezeからは、先日発表されたばかりの平面磁界ヘッドホン2機種が登場。一方の「MM-520」は、グラミー賞を複数回受賞した腕利きエンジニアのマニー・マロクィン氏と共同開発したプロフェッショナル・モニターヘッドホン。もう一方の「LCD-5s」は、深い没入感を味わわせる音楽鑑賞向けモデルとなる。
どちらも独自技術「SLAMテクノロジー」の投入がトピックで、これにより中域の精細さと低域のタイトさを高めているのが特徴となっている。
隣にはフォステクスが展開し、新製品「T50RP-BT」を展示していた。独自の平面磁界ドライバー「第4世代RPドライバー」を搭載する「T50RPmk4」をベースにワイヤレス接続に対応させたモデルで、付属トランスミッターを使用した低遅延性能も含めて体験することができた。
“RPシリーズ” のワイヤレス化は、50年を超える歴史上これが初めてとのことで、ベースモデルになったT50RPmk4も並べて展示。また、ダイナミックドライバーを搭載する “THシリーズ” もフラグシップモデルを含めて試聴環境が整えられており、まさにフォステクスを味わい尽くせるラインナップとなっていた。
飯田ピアノ
飯田ピアノでは、8月より新たに取り扱いを開始した北アイルランドのValphonicsブランドより、密閉性の低いイントラコンカ(インナーイヤー)型でありながら低音が充実したイヤホン「LANDER 20Hz」が展示。ヘルムホルツ共鳴の原理を用いた設計により、20Hz付近まで沈み込む低域再生を実現する。
同じく8月より新たに取り扱いを開始したポーランドのCustom Artブランドからも、ダイナミック×1/BA×2/平面磁界×2の中位モデル「FIBAE 5」、ダイナミック×2/平面磁界×1の「Hybrid 3 Pro」を展示。
本ブランドの特徴は「FIBAE」という独自技術で、繋ぐ機器のインピーダンス次第で音のバランスが変わりやすいという多ドライバーイヤホンの欠点を克服したという。つまり、どんなDAPやアンプと組み合わせても、設計者の意図通りの音のバランスが体験できるということだ。
そして飯田ピアノブースに姿を見せた意外なブランドが、平面磁界ヘッドホンを得意とする米ABYSSだ。同ブランドは現在国内代理店がついていない状態だが、先ごろ香港にて開催されたオーディオショウで知り合ったことが縁となり、本イベントに飯田ピアノブースで参加することになったという。
今回持ち込まれたのは、コンパクトタイプの平面磁界ヘッドホンの最上位モデル「Diana TC Signature」(約5,000ドル)と、エントリーモデル「JOAL」(約1,800ドル)。それぞれ異なる平面磁界ドライバーとチューニングを採用しているが、フレーム部分の設計は共通。
薄く軽いハウジングと、しなやかなヘッドバンド、マグネットで着脱可能な厚手のイヤーパッドの合わせ技で、どんな頭の形にも柔軟に追従できる点が長所として挙げられている。
このほか、埼玉のオーディオブランドDVASのアナログヘッドホンアンプや、飯田ピアノが今後取り扱いを予定している台湾COS EngineeringのDAC/アンプなども出展されており、多彩な組み合わせが楽しめた。
ブリスオーディオ
ブリスオーディオブースでは、ブランド設立10周年を記念する、ポータブルオーディオシステム「FUGAKU」の特別仕様モデル “10th Anniversary Edition” が目玉。
イヤホン+専用アンプ一体のポータブルオーディオシステムFUGAKUをベースに、10周年記念のケーブルNISHIKIや新素材の投入、アクティブクロスオーバーの再チューニングなどを実施。付属の音源接続用のケーブルもNISHIKIの線材にこだわっているとしている。
イヤホンのドライバー構成は超高域にxMEMS社のMEMSドライバー×1/高域にKnowles社製BAドライバー×2/中域にKnowles社製BAドライバー×2/中低域にSonion社製BAドライバー×1/低域に8mm液晶ポリマー振動板ダイナミックドライバー×2、合計8ドライバー/トライブリッド構成を採用。
専用アンプはベースとなるFUGAKUのディテール表現/リアリティと、NISHIKI線材の穏やかで余裕のある音調をかけ合わせた。入力端子に4.4mmバランス(GND結線)と3.5mmアンバランスを装備し、出力端子に専用丸型9ピンプッシュコネクター×2を搭載する。
手軽さをより重視したサブブランドBrise Worksからも「MIKAGE」などの製品が並ぶほか、これまでのオーディオイベントでも度々出展していた開発中の卓上ヘッドホンアンプを最終バージョンで展示。今後発売される量産版と同じ音で試聴が可能だった。
スタッフによると、発売時期についてはまだ未定だが、価格は20万円未満になるとのこと。スタッフ自身普段使いするほどコンパクトかつ音も良い反面、仕事中に聴き入ってしまい作業が進まないこともある、と魅力を語ってくれた。
オリオラスジャパン
イベントごとに新しい製品を披露してくれるオリオラスジャパン。今回はEvoAriaブランドから、USB-DAC/Bluetooth受信機能も備えたCDプレーヤー「EvoEra」を展示した。
Nutube真空管を採用したアナログ回路、完全対称/フルバランス/フルディスクリートのアンプ設計、ディスクリートString-R2R DACとAKMのDACチップ「AK4497」を使い分けられるデジタル回路など非常に多くの要素を盛り込んだポータブルシステム。日本円では20万円から30万円程度が見込まれるという。
また、PW AUDIOからも初公開となるイヤホンケーブル「藍錦(Ainishiki)」を披露。引き締まった音で中低域が伸びやかだという。
手配できない可能性もあると事前アナウンスされていたものの、無事会場に到着していたForteEarsのプレミアムイヤホン「Violetta」。多層チタン振動板を備えた独自開発の10mm フルレンジ・ダイナミックドライバーを、トリプル・チャンバーやトリプル・マグネットでチューニング。シングルドライバーのポテンシャルを追求した1本となる。
ブライトーン
ブライトーンの出展の中心となったのは、今年7月から取り扱いを開始したフランスYBAブランドの “YBA Designライン” 。
取り扱い第1弾として発表したストリーマー「YM302」、ポータブルSACD/CDプレーヤー「Design One」に、9月2日に発表したばかりのSACD/CDトランスポート「YT302」とDAコンバーター「YD302」、さらには近く発表予定だというプリ/ヘッドホンアンプ「YP302」が並んだ。
試聴システムの組み合わせ例として、YT302からYD302を経由し、YP302にはZMF headphonesのヘッドホン「Tessidera」と「Bokeh」をセットアップしていた。
今回展示された “YBA Designライン”の製造には、いずれも中国SHANLINGブランドが携わっている。しかし最も重要な音質に関わる部分は、ブランド創業者であるイヴ=ベルナール・アンドレ氏がいまなお主導し、フランスの老舗ハイエンドブランドらしい音楽性が保たれているそうだ。
ミックスウェーブ
HiByのR2R-DACを核としたダーウィン・アーキテクチャを搭載したDAP「RS2」の後継機「RS2 II」と、ESS社製チップ「ES9038Q2M」をデュアルで採用した卓上DAC/アンプ「FD3 ll」がお出迎え。
いずれも発売日や価格はまだ未定だが、来月10月か、11月頃にはリリースを出したいとのことで詳細が楽しみだ。
Beat Audioからは、ブランドを代表するケーブルの新世代モデル「Vermilion MKIV」「Emerald MKIV」に加えて、絶賛開発中のプロトタイプモデルも交え、リケーブルを思う存分試せる機会を用意していた。プロトタイプは現状では発売時期や価格は未定とのことで、詳細を待ちたい。
ナイコム
イヤホンブランドKiwi Earsから、8月28日に発売となったトライブリッドイヤホン「Halcyon」がさっそく出展。高域にMEMSドライバーとBAドライバーを1基ずつ、中域にBAドライバーを2基、低域にダイナミックドライバー1基を配し、スタジオモニターライクなニュートラルなバランスに重低音を少し足した、幅広いコンテンツに対応できるサウンドを持ち味とする。
また発売前の製品として、ダイナミックドライバー1基+BAドライバー4基の「Stardust」を展示。担当者によると国内の発売日・価格といった正式な発表はまだ決まっていないそうだ。
10mmのダイナミックドライバーはポリウレタン(PU)と液晶ポリマー(LCP)の複合振動板で、ケーブルの入力端子は3.5mmのマイクあり/なし、USB Type-Cの3種類から選べる。
ほかにもGRADOやTHIEAUDIO、ZiiGaatにLETSHUOERと、多くのブランドのハイモデル機を試せるようになっていた。
コペックジャパン
国内発売前のポータブルCDプレーヤー/DACであるCayin「CP6」を参考展示。今年の秋から冬にかけての国内発売を予定しており、およそ15万円前後になる見込みだと担当者が案内してくれた。
Cayinは創業以来真空管アンプを作り続けてきたメーカーであるため、アナログの音作りを非常に得意としており、本モデルもCDをアナログ感豊かな音で楽しめることが魅力なのだとか。
内蔵バッテリーでの駆動モードと、汎用的なUSB Type-Cで給電できる外部バッテリーを使用するDCモードの切り替えがスイッチで可能。電圧の兼ね合いで音に関わるため、是非DCモードで聴いて欲しいということだ。
Cayinでは、通常の販売店では商品が並ばない受注販売の真空管搭載・純A級ヘッドホンアンプ「Soul 170HA」もじっくりと聴き込める環境になっていた。
final
finalブースでは、先ごろ世界初公開を果たした有線イヤホン「A8000 DC」がお出迎え。フラグシップの「A10000」に次ぐ位置づけとなるモデルで、ドライバーにマグネシウム振動板を採用するのが見どころだ。
ヘッドホンではトゥルーダイヤモンド振動板を採用した密閉型フラグシップモデル「DX10000 CL」に、米Schiit Audioブランドのヘッドホンアンプ「Mjölnir(ムジョルニア)」とDAC「Gungnir(グングニル)」を組み合わせた、最近のイベントではお馴染みとなりつつある試聴環境が整っていた。
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