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VGP2026受賞:エプソン販売 小宮正志氏

【インタビュー】エプソン、ブランド刷新でプロジェクターの新価値訴求を推進、エンターテイメントの幅を広げる

公開日 2026/03/13 06:30 編集部:徳田ゆかり
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VGP2026受賞インタビュー エプソン

日本メーカーとしての技術力を礎に、ホームプロジェクターの市場で高い存在感を示し続けているエプソン。コロナ禍以降ニーズが伸長する中で、従来の“dreamio”に代わる“Lifestudio”ブランドの展開を表明し、プロジェクターにおける新たな価値や楽しみ方を提案する。

そんな“Lifestudio”の最初の商品群として投入されたスマートプロジェクターEF-72 / EF-71 / EF-62 / EF-61が、アワードVGP2026において総合金賞を受賞。これを受けてエプソン販売の小宮氏に、同社のプロジェクター事業の近況と手応え、今後の方向性について伺った。

エプソン販売株式会社
マーケティング本部 VP推進部 部長
小宮正志

市場の変化がもたらした新たなブランドコンセプト

VGP2026で総合金賞を受賞したエプソンのスマートプロジェクターLifestudioシリーズ。EF-72(左下)、EF-71(右下)、EF-62(左上)、EF-61(右上)

 ーー  音元出版のアワードのVGP2026で、スマートプロジェクターのLifestudioシリーズ、EF-72 / EF-71 / EF-62 / EF-61が総合金賞受賞となりました。おめでとうございます。

小宮 栄誉ある賞をいただきまして大変嬉しく、あらためて御礼申し上げます。ホームプロジェクター市場はコロナ禍に入ってから伸び続けており、我々も毎年新しいプロダクトを出してきましたが、2025年度はエプソンのホームプロジェクター事業における大きな変化がありました。ブランドコンセプトを、従来のdreamioからLifestudioへと変えさせていただいたのです。

それは、ただ映像を視聴するだけでなく、プロジェクターのある生活で日々の時間や空間を彩っていくというコンセプトへの刷新です。プロモーションも含めて推進しておりますが、今回高い評価をいただけたのは大変心強く、この新たなメッセージを広く伝えていきたいと思っております。

ーー ブランドコンセプトを刷新された背景をお聞かせいただけますか。

小宮 エプソンのプロジェクターをご購入いただいたお客様の調査で、プロジェクターの使い方、楽しみ方が昨今大きく変わってきたと実感しています。

コロナ禍でおウチ時間を楽しむニーズが高まり、さまざまなメーカーさんが安価で手軽に楽しめるプロジェクターを投入されたこともあって、プロジェクターに興味を持つ人が増えました。

それに加えて最近は特に家の中で、リビングでも寝室でも、ご家族でもお1人でもと、プロジェクターのいろいろな楽しみ方が増えて、例えばファミリー層やこれから1人暮らしを始めるといった若年層の方々のご利用が広がっています。

我々が長い間取り組んできましたホームプロジェクターでは、dreamioの名称で高画質なプロダクトがシネマファン、特に年齢層の高い男性の方々に高くご評価をいただいてきました。

そして今我々が訴求するのは、さまざまな楽しみ方を求めておられる今のお客様のニーズに、エプソンがしっかりとお応えできるということ。

これを強いメッセージとして伝えるために、Lifestudioのネーミングに変えさせていただいたということです。特にOS搭載モデルについては今後、Lifestudioシリーズとして展開してまいります。

ーー  高画質プロジェクターの訴求にとどまらず、新しいコンセプトでは、日常的にプロジェクターを楽しむニーズにもますます応えていくということですね。

小宮 ここ数年のプロジェクター市場は、段階を経て変化してきました。申し上げたように、最初はコロナ禍のおウチ時間を楽しむニーズの中で安価なモデルが人気でしたが、次はもっと明るさが出るもの、OSが搭載されているもの、さらに天井に投写できるものといったように、お客様のやりたいことに応えられる要素が求められ、買い替え需要が進んできたのです。

さらにSNSの影響も大きいですね。OS搭載のプロジェクターなどを楽しむ魅力的な実例がたくさん発信されていて、そこに触発された方も数多くいらっしゃると思います。

顕著に見られるのは、これまでのプロジェクターのイメージとは違った、部屋に置いてあるだけでもおしゃれで可愛い実例で、思わず使ってみたくなり、実際に購入される方が増えていると見ています。

バージョンアップした商品群、新Lifestudioシリーズ

ーー dreamioの展開でも、オールインワンでディスクドライブやスピーカーを搭載し、スクリーンがなくとも壁や天井に投写して楽しめるといったカジュアルなコンセプトを提案されてきました。今回Lifestudioシリーズとして展開された商品の特長をご紹介くださいますか。

小宮 今回のラインアップは、フルHDプロジェクターのEF-61とEF-71、4KプロジェクターのEF-62とEF-72です。EF-61/62はコンパクトで脚のないタイプ、EF-71/72はスタンド一体型で角度調整が可能なタイプになります。

プロジェクターそのものの機能としては、光源に3色のLEDを搭載して3LCD方式と組み合わせた独自の光学エンジン「TRIPLE CORE ENGINE」を新たに投入しまして、鮮明な色表現やピュアな純白の描写などが進化しています。

サウンドでは、昨年7月にパートナーシップを締結したBOSE様と共同開発したSound by Boseテクノロジー搭載スピーカーを新採用しました。サウンドのチューニングをBOSE様が行い、出力の自然なバランスや豊かな低音表現が実現しています。

使い勝手においては、画面の台形歪みを自動で調整する自動台形補正機能や、壁面の時計やエアコンなどを自動認識し、投写映像を縮小して移動させ回避する障害物回避機能、スクリーンに合わせて映像の形状と位置を自動的に補正する自動スクリーンフィット機能、投写した壁の色に応じて色味を調整するホワイトバランス自動調整機能を備えています。

EF-71/72は縦105°/横180°の範囲で無段階に角度調整ができ、天井投写も手軽に行えます。さらにEF-72はUSB-Cポートを装備して携帯バッテリーでの駆動も可能です。

前回VGP2025で総合金賞をいただき、若い方々に大変ご好評を博したdreamioシリーズのEF-21/22がデザインの起点になったところはありますが、EF-72 / EF-71はさらに進化した存在です。

今回特に重要視したのは、生活に溶け込むこと。10代後半から20代前半ぐらいの若年層の方々の、1人暮らしのタイミングが購入のきっかけとなるケースが多いと見てメインターゲットに想定し、若年層の方々にとって部屋に置きたくなる、使い勝手のいいデザインといった視点で作り込みました。

デザイン性と使いやすさも大きくバージョンアップしたLifestudioシリーズを部屋に置いたイメージ

空間ノイズにならず、部屋に置きたくなるものを目指し、寝室でのニーズも多いことからベッドサイドでも違和感がない形としました。

さらにEF-72はアンビエントライトの機能を持たせ、間接照明としてもお使いいただけます。このように、デザイン性と使いやすさにおいて、今回のラインアップはかなりバージョンアップできたと自負しております。

楽しみ方が多様化し、広がるプロジェクター市場

ーー 昨年の受賞インタビューにて、プロジェクターの楽しみ方として映画やスポーツ、テレビ番組などのコンテンツを見るだけでなく、ゲームや“推し活”に活用するといった新たな用途が生まれているとお聞きしました。昨今の状況はいかがでしょうか。

小宮 おっしゃる通り、コンテンツ視聴だけではない楽しみ方は増えています。特に“推し活”は昨年にも増して広がっている手応えがあります。

そしてエプソンでは、プロジェクターだけではなくプリンターも含めて幅広い商品ラインアップを持っていますので、“推し活”を楽しまれる方に対して、たとえばプロジェクターの映像だけではなく、プリンターでグッズを作るなど楽しみの幅を広げる訴求も、ホームページ上などで行なっています。

皆様の生活をいろいろな場面で彩ることができるのも、我々の強みだと思っております。

ーー 昨年もお伺いしましたが、あらためてエプソンさんの中でのプロジェクター事業の位置付け、そして最近のプロジェクターの市場の動向をご説明いただけますでしょうか。

小宮 プロジェクターは、エプソンの中でも一定規模の事業になっており、その重要度はこれまでと変わりはなく、今後の需要を考えればさらに期待が持たれています。

国内では、昨年開催された大阪万博でのさまざまなプロジェクションマッピングや、パビリオン内での空間演出の一部にエプソンのプロジェクターが活用されましたが、これをきっかけに商業施設やミュージアムなどでの空間演出を希望されるお話も増えているところです。

先日横浜市にオープンした「ザ・ムービアム ヨコハマ」や、これから有明にオープンする「レーヴ・デ・リュミエール」などでもエプソンがのプロジェクターを使ったイマーシブ空間を作っています。プロジェクターが価値を提供する機会を今後も広げ、そこでの訴求をしっかりと行い、さらなる成長につなげていきたいと思っています。

また今回の商品も含めたホームプロジェクターのニーズも、今後も堅調に伸びていくと見ています。

他社さんのラインアップも増えてさらに盛り上がるでしょうし、現状でも売れ筋のモデルの平均単価が上がってきているのです。

お客様のニーズが多様化し、レベルが上がってきて、プロジェクターに対する期待が高まっているのが背景です。そこにプロダクトやサービスをしっかりとご提供し、引き続き市場を伸ばしていきたいです。

さらに、文教の需要は引き続き堅調です。2019年から文部科学省が推進するGIGAスクール構想で、小中学校で1人に1台タブレットの端末が配布されましたが、それ以来デジタル教材が非常に増え、教室で複数の教材を同時に投写したいというニーズがあります。

プロジェクターは2画面同時に投写できる機能でお役立ちを果たせますし、本体の場所をとらずに大きな画面で投写できるので、ご利用がますます多くなっています。

ーー お客様との昨今のコミュニケーション活動についてはいかがでしょうか。

小宮 我々のプロジェクター事業は、オフィス、学校、ご家庭、そして空間演出と幅広い領域で展開しており、それぞれのお客様に対してタッチポイントも手法も違います。

個人のお客様にはSNSを使ったプロモーションがメインですし、B to Bではお客様の行動や課題を把握した上で情報発信する必要があります。

空間演出では、映像設備を請け負う企業様や内装デザインの企業様との協業が重要ですし、文教ではベンダーさんを通じて、あるいは直接教育委員会さんとコミュニケーションを取り、現場の課題も把握した上でご提案をしていく。多様な動き方が求められるのです。

また個人のお客様に対しては、SNSでの情報発信、インフルエンサーの方々を起用したプロモーションはもちろん、商品の体感の場として従来からのレンタルサービスも有効です。

我々自身のサービスや電気店様のサービスに加え、女性層が多く使われている洋服のサブスクレンタルサービス「airクローゼット」上でも、昨年からエプソンのプロジェクターを展開していただいており、かなりの回転でリクエストが来ているということです。

これらは、お客様の日常の導線上に情報を出していく取り組みですね。プロジェクターを使われていない方、まだ興味をお持ちでない方に向けて、興味を喚起していきたいと思っています。

どの場合においても、軸はプロダクトではなく、あくまでもお客様。その上で何をご提案するかです。

たとえば文教での営業は、プロジェクターだけではなくプリンターやパソコンも含め、先生方の働き方改革のお役立ちをする視点で動いております。

授業の質の向上を目指すコンサル的な要素も含め、ご提案できるようにしたい。簡単ではありませんが、非常にやりがいのある仕事だと思います。

プロジェクター文化の定着へ、さらなる新商品投入

ーー 2月24日に新商品も発表されましたね。詳しく聞かせていただけますか。

小宮 今回賞を頂戴しましたLifestudioシリーズのラインアップの中で、最上位のEF-72がデザイン性や機能性においてもっともご好評をいただいています。

今プロジェクターを求めるお客様は、価格よりもやりたいことを実現できるかの観点でプロダクトを選ばれている傾向があります。

それで今回は、2つの新商品をご用意しました。1つめは、EF-72のデザイン性や機能性をさらに進化させたアップグレードモデル、Lifestudio Flex Special EditionのEF-73です。

ブラックを基調にアクセントとしてゴールドをあしらったデザイン、ガラストップパネルやゴールドパーツを採用して高級感を演出しています。さらにQi 充電機能搭載も新たに搭載し、フットの部分にスマートフォンなどを置いて充電できます。

新商品 Lifestudio Flex Special Edition EF-73

もう1つが短焦点のEH-LS800の後継モデルであるEH-LS970。リビングでのご使用を前提として、現行モデルと同様に黒と白の2色で展開いたします。

画質に関しては2軸シフトテクノロジーで4Kの高画質の投写ができます。EF-73もEH-LS970も同様にSound by Bose テクノロジー搭載スピーカーを採用し、いずれも高音質、高画質での映像体験をお楽しみいただけます。

新商品 短焦点モデル EH-LS970

これから、体験の場を少しずつ増やしながら多くのお客様にアピールしてまいります。

昨今では量販店様で、テレビ売り場を縮小してプロジェクター売り場を拡張するケースも出てきました。

これまでご家庭ではテレビがあるのが当たり前の光景でしたけれど、これからはプロジェクターがリビングにも寝室にも当たり前に存在し、生活に溶け込んで文化として定着することを期待し、活動を進めてまいります。

――  プロジェクターでのさまざまな体験とともに、享受できるエンターテイメントの幅が広がりそうです。今後のご活躍にも期待しております。ありがとうございました。

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